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【猪口由美の明日につなぐ食 vol.11】明石鯛の漁師漬け ―水揚げされたばかりの天然真鯛と“特製たれ”のベストマッチ

とある食品のバイヤー向け展示会で出会ったのは、他とは雰囲気が違う、どちらかというと商売っ気がなさそうな人たち。気になって聞いてみると「自分たちは明石の漁師」とのこと。なるほど、そう言われれば真っ黒な肌も無骨な感じも理解できる。
どんな商品を作っているのか尋ねると、「明石の港で水揚げされた魚を使っている」とのことで、後日サンプルを送ってくれました。届いた中で心惹かれたのは明石鯛の漁師漬けでした。ぶりっとした身の旨みは格別で、さすがは明石鯛。と同時に改良の余地があると感じ、生産者さんに連絡。早速現地取材に向かいました。

水揚げされたばかりの魚の競りが名物、明石浦漁協

現地を案内してくれた松本真依子さんは、ご主人が漁師グループのメンバーでもあり、海外で仕事をしていたこともあるキャリアウーマン。最初に案内されたのは、明石浦漁協でした。明石浦漁協の競りは毎日11時頃から始まるのですが、他と圧倒的に違うのは競りにかけられる魚のほとんどが「活魚」だということ。

そのため、競り場の半分が海水を常時循環させた生け簀になっていて、中には水揚げされたばかりの魚介が「ここじゃ狭いよ」と言わんばかりに元気に泳ぎ回っていました。全国各地の港の競りを取材してきましたが、活魚ばかりを競りにかける漁協は見たことがなく、まさにこの流通体制こそが明石浦漁協の強みなんだと思いました。
ちなみにこの漁港で水揚げされる真鯛は、すべて天然もの。よって明石鯛に“養殖もの”はいないのです。

天然物の明石鯛

漁協の取材のあとは、作業場に移動。小ぢんまりした作業場にはこの日水揚げされたばかりの明石鯛がずらり。淡いピンク色の明石鯛は、見るからに美味しそう。職人さんの見事な包丁捌きで鱗を引き、三枚におろし、たれが入った器のなかに身を入れて味をしみ込ませていく。
その一連の作業の取材が終わったあと、おもむろに松本さんに相談。

「たれを変えてもらうことってできますか?」

実は、試食として届いた明石鯛の漬けは、たれの味が強めで、せっかくの明石鯛の旨みが生かされていないように感じていたのです。味が濃いのには理由があって、漁師たちはもともと濃い味を好むから。ただ、“漁師漬け”とはいえ幅広い層に召し上がっていただくためにも、もう少し優しい味にしたいと伝えたところ快諾していただき、後日いくつかのたれのサンプルが会社に送られてきました。その中から明石鯛の旨みを生かしつつ、やや甘めでコクもしっかり感じられるものをチョイス。当時、担当していた通販でご紹介したところ、瞬く間に大人気商品に育っていきました。商品をさらにブラッシュアップすることで、より多くのお客様に楽しんでいただくのもバイヤーの仕事です。

たれが決め手の漁師漬け

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