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乗りと勢いと小鳥と鈴と 23.9.13
屋根を取っ替える日。
いつ手をつけようかと思案していた小屋のトタン屋根。9月に入って暑さも落ちつき、稲刈り日和の良い秋の日にでもと。そう思ったのが悪かったような不安定な天候が今日も続く。確かに涼しくはあるものの、それでもやっぱり例年のお盆過ぎ頃の気温から進展は無く、入道崩れの雲が裏山に湧いては通り雨を投げてよこす。
はて、これは本当に季節が遅いのか、それとも不意な気まぐれか。パッとしない秋の畑を眺めては、どうしたものか決めかねる日々。知らない土地に来たようだ。
しかしながらそうも言ってはいられない。うかうかしていれば良い季節は終わってしまう。烈夏の次が夏、その次が冬だ。そしてその次が初夏で、また烈夏。
もう良い。今、やろう。
ここへ来る前からあった小屋だ。井戸小屋だった時代から、もう40年は頑張ってきている。一度、トタンを貼り増したものの、それももうボロボロだ。建てるのは簡単だが、壊すのは腰が重い。でも、少しトタンを剥いでみて分かった。どのみちもう、半年ももたなかっただろう。
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指で崩せる程に脆くなっている。今年で良かったのだ。
度々からかう通り雨に慌てつつ、どんどん剥がす。雨が過ぎれば、焼けるような日差し。とはいえ、剥がしかけた屋根。そんな言い回しがあったか知らんが、止める訳にもいかなくなってしまった。
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トタン板の下の桟木を剥がして、垂木を止めてある五寸釘は面倒なので金切鋸で切り離す。無理に抜こうとすれば、大事な木材を傷めてしまうからだ。今はもうあまり見ることのない、芯ありの角の垂木だから大事にしたい。最近の、板に挽いたような垂木とは安心感が違うから。
垂木を外すと、柱は浮き、ふにゃふにゃの建物になった。よくこれで何十年も立っていたものだと思う程。今回は、屋根の葺き替えではなく、屋根の構造から作り直す算段をしている。なので初日の今日は、ブルーシートを掛けやすいようにほとんどバラしてしまおうと思う。
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シートを掛けるや雨が降ってきた。
もう少しの辛抱だ。じきに良い屋根が葺ける。いつも慣れ親しんだ景色だっただけに、なんだか少しばかり淋しい思いもした。明日は、雨なのだろうか?