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【独学精神医学#3】人生の中で起こりうる精神疾患をまとめてみた

今回は、どの年齢でどんな精神疾患が多くみられるのかを簡潔にまとめてみました。それぞれの年代の社会的状況・課題を踏まえて解説しています。

あなたの年代・お子さんの年代はどんな疾患が多いのか?
人生の中で生じ得る精神疾患の特徴はどのように変化するのか?

最後には、それぞれの疾患の特徴もまとめていますので、そちらもご覧ください。


乳児期(0~1歳)

生まれてから言葉を発し歩き始めるくらいの時期をいいます。

この時期に親の親としての心理的な準備不足などによる虐待・ネグレクト(育児放棄)が発生すると、後の愛着障害につながる危険性があります。また遺伝的要因によって引き起こされると考えられる精神発達遅滞小児自閉症が発見されることもあります。


幼児期(1~6歳)

一人歩きをはじめてから小学校に入学するまでの時期です。

この時期は親から一定期間離れてほかの子供と遊ぶことができるようになるため、ほかの子と比較することで精神発達遅滞自閉スペクトラム障害などが明瞭になることがあります。

また、この時期の親の虐待・ネグレクト(育児放棄)は愛着障害をより高い確率で引き起こしてしまったり、親や周りとの異常なコミュニケーション不足が言語発達障害につながることもあります。(言語発達障害は遺伝的要因が原因になることもあります。)


児童期(6~12歳)

ちょうど小学生の時期にあたります。

この時期は、注意欠如・多動性障害(ADHD)学習障害、また抜毛やチックなどの神経性習癖を起こしやすいとされます。

これらの症状は、いずれも遺伝的要因が主な場合がほとんどですが、環境的要因もそれぞれの症状や発症リスク、重症度に影響を与えます。


思春期(12~18歳)

中学生(青年期前期)・高校生(青年期中期)の時期です。

特に中学生の年代は、親に対する第二次反抗期が顕著となり、他人の目などを意識し始める時期で、学校での仲間集団でのいじめ・対立も多くみられます。一方高校生の年代は、異性に積極的に接近し始めたり自分らしさを追求する半面、孤独を実感しやすい時期です。

これらの時期に多い精神疾患は、他人の評価に対する不安による摂食障害対人恐怖症、また過度なストレス・トラウマなどによる解離性障害統合失調症大うつ症双極性障害などです。


青年期(18~25歳)

多くの人が学校教育を終え、職業選択や異性のパートナー探しに真剣になる時期です。高校時代の純粋な仲間文化ではなくなり、異性や社会を意識した振る舞いをするようになります。

特に、高校・大学を卒業し社会人生活をスタートさせたタイミングで、新しい環境についていけないなどして慢性的なストレスを抱えてしまうケースも多くあります。

この時期は、他人の目線を過剰に意識してしまう摂食障害や精神的ストレスによる解離性障害統合失調症大うつ症双極性障害に加え、過保護や過剰に制限された育児環境が影響され引きおこる不安障害境界性パーソナリティ障害自己愛性パーソナリティ障害も発症のリスクが高まります。


若い成人期(25~40歳)

多くの人が職業などの生活基盤を安定させ、パートナーと協力しながら共同生活や育児に奮闘する時期に入ります。

この時期の精神疾患の原因は、「定職につけない」「永続的パートナーが見つからない」といった発達課題の失敗によるものが多く、統合失調症大うつ症双極性障害不安障害アルコールなどの依存症パーソナリティ障害が増えることが特徴です。


中年期(40~60歳)

子育てが安定し、自己の人生の目標の再構築などにあたる時期です。

この時、思春期や青年期に十分に反抗期を迎えるなどできなかった場合は、この時期にその課題が顕著になり、親との対立が激化したり子供の問題に過剰に巻き込まれるなどすることがあります。

統合失調症はほとんどなくなる一方で、これらを原因とするうつ病不安障害アルコール・ギャンブル依存が問題になります。


老年期(60歳~)

社会的役割からの引退や自分の老いや死を受容し始める時期です。

うつ病、不安障害、アルコール・ギャンブル依存のほかに、脳機能の低下による認知症(アルツハイマー病・脳血管性認知症など)ピック症が表れるのが特徴です。


疾患ごとの特徴

愛着障害
安全で安定した人間関係を形成する能力に問題があり、他人との関係に対する信頼感や感情の調整が困難となる。
精神発達遅滞
知的能力や発達のスピードが遅れ、日常生活のスキルや学習に支障が生じる。
小児自閉症
幼児期における社会的相互作用の困難と、特異な興味や行動のパターンが特徴。自閉症スペクトラム障害の一部である。
自閉症スペクトラム障害
社会的コミュニケーションの困難と反復的な行動、限られた興味が特徴で、症状の現れ方や重症度が幅広くみられる。
言語発達障害
言語の理解や表現に遅れがあり、他人と効果的にコミュニケーションを取るのが難しい状態。
注意欠如・多動性障害(ADHD)
注意力の持続が難しく、過剰な多動性や衝動的な行動が目立ち、学業や日常生活に支障をきたすことがある。
学習障害
読み書き、計算、または特定の学習スキルにおいて困難があり、知的能力は正常またはそれ以上であるにもかかわらず学習に支障がある状態。
神経性習癖
無意識に繰り返す行動(例: 抜毛、チック)のことをいう。
摂食障害
食事や体重に対して異常な態度を持ち、過剰な食事制限や過食などの行動をとってしまう。
対人恐怖症
社会的な状況や他人の評価に対する強い不安をもつ。
解離性障害
現実感覚や自己認識が断絶することがあり、記憶の喪失や自分が現実から切り離されている感覚をもつ。
統合失調症
現実との接触が損なわれ、幻覚(特に声の幻覚)や妄想(非現実的な信念)があり、思考や感情の統制に問題が生じる。
大うつ症
持続的な抑うつ気分と興味の喪失、エネルギーの低下が特徴。
双極性障害
気分が異常に高揚した躁状態と、深刻な抑うつ状態の間で変動する。
不安障害
持続的な過剰な不安や心配があり、これが日常生活や仕事に支障をきたす状態。
境界性パーソナリティ障害
感情が非常に不安定で、対人関係が極端に変化し、自己像が不安定である状態。
自己愛性パーソナリティ障害
自己中心的で、過度に称賛を求め、他者を利用しようとする傾向があり、共感能力が乏しいことが特徴。
アルコール・ギャンブル依存
アルコールの摂取をギャンブルへの執着をコントロールできず、継続的に依存してしまう状態。
認知症(アルツハイマー病・脳血管性認知症など)
認知機能(記憶、判断力、思考など)の進行的な低下により、日常生活の自立が難しくなる状態。
ピック症
特定の行動変化や人格の変容(例: 社会的な行動の変化、感情の不安定さ)がみられる。


まとめ

今回は私たちのライフスタイルとそれに伴う精神疾患の関係性についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか?

個人的には、幼少期から児童期(~12歳)ごろまでに発症する疾患は比較的遺伝的要因を含む精神疾患が多いようでしたが、思春期以降に多く見られる疾患はそれまでの育児環境や周りの社会環境を原因とするものに変化していく傾向があると感じました。

また思春期の頃に思いっきり反抗期をできない環境だったり、そこで親との関係性をうまく構築できなかった場合、その影響が40~60歳の中年期に表れてくるというのも驚きました。

精神疾患は私たちの一生の中の、どのタイミングでも起こりうることです。ご自身の年代、もしくはお子さんの年代に多く発症する精神疾患を事前に知っておくことは、その発症を未然に防ぐことの一助になるかもしれませんね。

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ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

今回の記事を書いていて、それぞれの疾患のもっと具体的な原因やその治療法など色々気になることがまた出てきたので、引き続き本や論文を読んで執筆頑張ろうと思います。

余談ですが、毎度ありがたいことに私なんかの記事を読んでくれている人がいるんだぁ、勝手ながら心温まってます😂いつも本当に、ありがとうございます。

それではまた、次の記事でお会いしましょう!

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今回参考にした本はこちら ↓

精神医学の基礎が初心者用に分かりやすくまとめられていて、とっても愛用させていただいてます!少しお高いですが値段相応のおすすめ本です。
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