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名作文学のあらすじを800字で Vol.1 夏目漱石「こころ」

日本で一番売れた本として有名な夏目漱石の代表作「こころ」
1914年に刊行されて以来、100年以上にわたって愛されてきた名作をざっくりと800字で紹介していきます。やっぱり100年以上も愛された作品は面白い!

◇800字のあらすじ

夏休みに鎌倉を訪れた「私」は、同じく鎌倉に訪れていた「先生」に出会う。知的な雰囲気と素っ気なさを併せ持つ先生と、私は交流を深めていく。

先生は奥さんと2人で暮らしで、仕事をしている様子もなく、世間から距離を置いて生活をしていた。先生は毎月、雑司ヶ谷にある友人の墓を参っていたが、生前どのような関係だったのか頑なに話そうとしない。

先生の助けもあり大学を卒業した私は、父の病気が悪化したことを受けて、一時的に実家に戻った。父の大病はどんどん悪化し、命もそう長くないという時に、先生から一通の手紙が届く。

「この手紙が届くころには私はもうこの世にはいないでしょう。」の書き出しで始まった手紙には、先生と友人の間に起きた悲劇が綴られていた。

その昔、先生と友人「K」は同じ女性を好きになってしまった。この女性は、先生とKが下宿していた宿の娘だった。Kはある時、先生に恋の相談を持ちかける。しかし、先生は優秀なKが娘と引っ付くことを恐れて「お前にはあわない」といって恋路の邪魔をする。

更に、先生はKに先を越されないように、娘の母親に話を通し結婚の約束まで取り付ける。Kはこの事実を知って、ナイフで頸動脈を切り自殺をする。

その後、先生は何年もの間、自分がKを殺したという気持ちに悩まされた。そして、自身の気持ちを誰にも打ち明けられずにいた。何度も自殺を考えたが、残された妻のことを思い、踏み切るには至らなかった。しかし、明治天皇が崩御されたことで、先生は遂に自殺の覚悟を決める。

覚悟を決めた先生は、自身の過去を知りたがっていた「私」に全てを打ち明けるため手紙を書いた。

手紙は最後まで妻のことを思っていた先生らしく「私が死んだ後でも、妻が生きている以上は、あなた限りに打ち明けられた私の秘密として、すべてを腹の中にしまっておいて下さい」の一文で締めくくられていた。

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◇宇宙ゴリラ的な読みどころ

「こころ」最大の魅力はタイトルにある通り、人の「心」についての描写です。先生が自身の欲望に負けて堕ちていく場面、そしてそれを後悔する描写は圧巻。先生のしたことは決して褒められることではないが、先生を責める気にもなれない。そんな不思議な感覚にあなたは襲われることでしょう。

◇この作品を一言で説明すると

「友人を裏切った男の一生」



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