「変態性とフェチシズム」谷崎潤一郎の名作『刺青』を紹介。
どうも。宇宙ゴリラです。突然ですが僕は刺青の入っている女性が大好きです。どこかセクシーな感じがしますし、魅力的に見えます。かの文豪も刺青に魅力を感じていたようで、刺青にちなんだ小説を書いています。その作品がこちらです。⇩
というわけで本日は、谷崎潤一郎の短編小説「刺青」について紹介していきたいと思います。※ネタバレありなので注意
簡単なあらすじ
人気の彫り物師である清吉は、「美女の肌に己の魂を彫り込みたい」と長年願望を抱いていたが、理想とする女は江戸中を探してみてもなかなか見つからなかった。あるとき清吉は自分の理想とする身体を持つ娘に巡り会う。
清吉は、「この絵にはお前の心が映って居る」と言いながら、処刑される男を眺める妃が描かれた画幅を見せ、さらに男たちの屍骸に魅せられる若い女を描いた「肥料」と題する画幅も見せた。怯える娘を麻酔で眠らせた清吉は、彼女の肌に巨大な女郎蜘蛛の刺青を彫った。
麻酔から覚めた娘は魔性の女に変身し、鋭い眼を輝かせ、「お前さんは真っ先に私の肥料になったんだねえ」と清吉に言った。そして帰る前に清吉に促されて、もろ肌ぬいだその燦爛たる背中を朝日に輝かせた。
登場人物
・清吉
元浮世絵師で人気の彫り物師。針で指される人々のうめき声を聞くのが好きで、美女の肌に自分の魂の作品を彫り込むことを夢見ている。
・娘
十六、七歳の清吉の馴染の芸妓の妹分。男性を弄ぶ魔性を秘めた女性であり、清吉に刺青を彫られたことでその性分が表に出る。
フェチシズムと刺青の魔力
この作品は美しい者こそが強者とされ、誰もが美しくあろうとして刺青を身体に入れた時代が舞台になっています。実際、江戸時代には刺青を入れることが「粋」とされていおり、遊郭や火消し、侠客の間で流行していました。
主人公の清吉は女性が針をうたれて苦しんでいる姿に興奮する変態です。彫り物師としての実力があるから、人気者として扱われていますがかなりやばいやつです。
理想の女性に出会ったときには自分の欲求を抑えきることが出来なくなり、おびえる娘に対して麻酔を打って眠っている間に勝手に刺青を彫ります。ほとんど犯罪者のやり口ですが、清吉には娘が刺青を求めているという確信があったのでしょう。その観察眼は一流の彫り物師によるものか、彼の変態性に寄るものなのかは分かりません。
この作品に登場する娘は刺青が身体に入ることで、全く性格が変わり、喋り方すら変わってしまいます。刺青が入るまではおとなしい淑女といった感じですが、刺青が入った後の彼女は魔性の女という感じで自信と色気に溢れています。僕は特に刺青を入れ終わった後に娘が放った「お前さんは真先に私の肥料こやしになったんだねえ」というセリフが大好きなんですよね。自身と色気に満ち溢れていて最高にかっこよく思えます。
この「刺青」という作品、谷崎潤一郎が描くフェチシズムと変態性を味わいたい人にはオススメの作品です。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。