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【読書】宇野碧「レペゼン母」
こちらで備忘録を兼ねて、読んだ本について記しておこうとおもいます。
今回は第16回小説現代長編新人賞受賞作、宇野碧「レペゼン母」です。
以前からちょっと気になっていたのですが、王様のブランチで紹介された際、あらすじの再現ムービーがビミョーで、あれ? とか思って避けておりました。でも、表紙絵があまりに素晴らしいので、やっぱり読むことにしました。(ちょうどAmazon Kindleでポイント50パーバックやってたし!)
梅農園を経営する明子(64さい)が主人公です。女手ひとつで育てた息子雄大は妻である沙羅を置いて家出、というか失踪。
明子は、とあるきっかけで沙羅にラップを学ぶことになり、やがてラップにハマっていきます。そして、ラップ・バトルで不肖の息子雄大(you die)と対峙することになり……、という感じのお話です。
わたしはラップに疎いのですが、初心者の明子が沙羅などから学んでいく中で、自然とその文化や歴史、テクニックを知ることができました。
老人がラップでバトルする、というのは突飛かなと思いますが、親子愛やディスコミュニケーションをテーマとしている本作において、とてもマッチしています。
ディスる、とはラップ文化から派生した常用句ですが、作中でラップの神髄とは「相手の気持ち、立場を深く理解すること」というくだりがあり、なるほどなあ、と思いました。
一対一で、相手のことを本気で見つめ、対話をする、というのがコミュニケーション・ブレイクダウンですれちがっていた親子の距離を縮めます。
とてもおもしろかったので、おすすめです。バイブス満載のエンタメながらも、心情の描写は純文学的な傑作です。あと、やっぱ表紙絵、最高によいです。
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