著:喜多川泰 『賢者の書』
こんにちは。ダックです。
本日は喜多川泰著の『賢者の書』をご紹介します。
この本の概要
ファンタジーを思わせるタイトルですが現実をベースに世界観が構成されています。
少年サイードの物語を読んだアレックスの物語。
人生に疲れていたアレックスが少年サイードと出会い何を思うのか。
アレックスが主人公なのか、サイードが主人公なのか、それとも2人とも主人公なのか最後までぜひ読んでみて下さい!
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以下、感想になります。
ネタバレにご注意下さい。
書籍の概要
タイトル:賢者の書
著者:喜多川泰
出版:ディスカバートゥエンティワン
その他:Amazonプライム会員なら無料で読めます(2022年2月17日時点)
主人公①
物語はごく普通の中年サラリーマン、アレックスの日常から始まります。
アレックスには子供が2人いましたが年頃か会話も少なく、妻のナンシーもストレスからか周囲の不満や悪口ばかり話すようになっていました。
家庭で気の休まる場が無いアレックスでしたが、会社でも居心地が悪くなっていました。
先代の社長の元、一生懸命働いていたアレックスでしたが先代の息子が社長に就任し、アレックスは雑用ばかり押し付けられるようになっていました。
家庭でも職場でも居場所のなくなったアレックスは幼少期3年間だけ過ごしたドイツへ唐突に向かう事にします。
理由は特になく、ただただ1人になりたくて幼少期をたまに過ごしたドイツの公園を思い出しただけでした。
主人公②
鞄1つで向かったドイツの公園でベンチに座っていたアレックスの隣に1人の少年が座ります。
少年の名はサイード。
公園には他に7つほどベンチが空いているにも関わらず、あえてアレックスの隣に座ったサイードはアレックスに「あなたが最後の賢者ですか?」と尋ねます。
アレックスとサイード
アレックスは驚きつつもサイードに
「賢者なんてとんでもない。どちらかと言えば私は愚者の類だよ。」
と自嘲ぎみに、しかし率直な気持ちを伝えました。
サイードは勘違いをした事を謝りつつ、自分は人生成功をおさめる最高の賢者になるために、大切な事を教えてくれる9人の賢者に会う旅をしている事を話します。
サイードはここに来るまで8人の賢者に会っており、今日この公園で9人目の賢者と会う予定であるとの事でした。
サイードはこれまで8人の賢者から学んだ事を大きな本「賢者の書」にまとめていました。
その本に興味を持ったアレックスはサイードにお願いてその賢者の書を読ませてもらう事にしました。
サイードは旅の疲れもあり、ひと眠りする間自由に読んで良いと答え、そうそうに眠りにつくのでした。
8人の賢者たち
第一の賢者アクトに始まり、第二の賢者ユニバス、第三の賢者リスペク、と計8人の賢者はそれぞれ思い思いの事をサイードに伝えていきます。
内容は様々で、
・行動の大切さ。
・大いなるもの、宇宙、世界、そして人について、
・自尊心と他尊心。
・目標とは何になるかではない。何がしたいか、どうなりたいかだ。
・人生とは伝奇のようなものだ。
・人が皆平等に持っている投資できる資産は時間だ。
・他人を幸せにできる人が自らも幸せにできる。
・言葉の影響力の大きさ。
と、多種多様なのもでした。
中にはサイードが理解できない話もありましたが、そういう時サイードは、まず言葉そのものを受け入れ自分なりに解釈、理解した事を賢者の書に残しました。
その内容、経験のあまりの素晴らしさにアレックスはとても感銘を受け、それまで抱えていた、どうしようもない行き場のない思い、うまくいかない憤り、希望の持てない将来、なによりとにかく1人になりたいと塞ぎ込んでいた思いがすっかり晴れ渡りました。
自分が50年も生きてきて遂に行き止まっている最中、目の前の少年はたった14歳にしてそれぞれの賢者から素晴らしい教えを受かり、様々な経験を経た少年を羨ましく思うアレックスでしたが、それよりも今まさに少年の賢者の書に救われた事への感謝と今の自分を救うために書かれたような、一切の無駄の無い教えの数々が記された賢者の書を、サイードが世界中を周り、苦労してボロボロになりながらも手にした賢者の書を、何の見返りもなく見せてくれたサイードへの感謝でアレックスは胸がいっぱいでした。
9人目の賢者
アレックスがサイードへの感謝で胸がいっぱいになっていた頃、いつの間にかひと眠りしていたサイードが目を覚ましていました。
アレックスは思いつく言葉の限りでサイードに感謝の言葉を伝えました。
そして最後に、「最後の賢者がなんと言おうと、君は私にとって最高の賢者だ。誰がなんと言おうと、私に全てを教えてくれた最高の賢者は君だ。サイード。」と、自分が涙を流している事にも気づかず思いのままを伝えました。
いつの間にかサイードは姿勢を正しく、キラキラした目でアレックスを見つめていました。
そしてアレックスが、最高の賢者は君だ。といった瞬間、サイードも潤んだ瞳から涙を流しました。
「ありがとう。アレックスさん。あなたは僕が賢者だと認めてくれた最初の人です」と。
アレックスは訳が分かりませんでしたが、サイードの旅はこれまで記した賢者の書を9人目の賢者に渡し、その賢者がサイードを認めたときはじめてサイードの賢者になる旅が終わります。
サイードは「9人目の賢者はあなたです。アレックスさん」といいますが、アレックスは自分が賢者などとんでもないと否定します。自分が教えられる事など何もなく、むしろ教わったのは、救われたのは自分だと。
しかし、サイードはアレックスからしっかり学んでいました。
・とにかく多くの感謝の言葉を口にする素晴らしさを。
・欲しい物を手に入れるには、欲しいと思う物を与える側にならなければならない事を。
・感動の多い人生を送りたければ、より多くの感動を与える側に。人から認められたければ、より多くの人を認める側に。
・人はいつでも生まれ変われる事。
・まさに今目の前で、さっきまで愚者だったアレックスが賢者に変わったように。しかもアレックスの過去が、家庭が、仕事が、そういった環境は何も変わっていないのにも関わらず。
サイードは賢者の書を手に取り、ビジョンを見たあとそそくさとまた旅立って行きました。
「やらなければならない事が見つかった。それを今すぐにでも実行したい」と。
アレックスは残された賢者の書を手にとり、自分も帰路に着きました。
家に帰る途中、再び賢者の書を見たアレックスは驚きます。
賢者の書が白紙になっていました。
しかし、唯一残った一文をみて非常に喜びます。
『最高の賢者を目指すマシューよ。全てはこの書を完成させる旅から学ぶがよい』
すっかり忘れていましたが、明日は息子のマシューの14才の誕生日でした。
感想
私が本書を読んだとき、最初はファンタジーかと思って読み始めました。
しかし、賢者の書こそファンタジーの代物であったにしろ、出てくる登場人物は等身大の現実に実在するであろう人物達が描かれています。
各賢者達の教えに共感できる、できないはあるにしろ、自分の事をどうしようもない愚者だと思っても、きっかけさえあれば、ある人にとっては立派な賢者になりえる最後の結末は目を潤ませながら読んでいました。
報われない事なんてない。
あるとすれば、それに気づくきっかけやタイミング、視点がズレているだけだと。
非常にハッピーエンドな終わり方だったと私は思います。
私も些細な事でも誰かを救える人になりたいと、そう思える一冊でした。
皆様はいかがだったでしょうか?
何かに迷い、疲れ、燻っている人には何かしら刺さるものがあったのではないでしょうか。
この記事が本書を読むきっかけになれば幸いです。
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