
「提供価値ってなんだろう」とモヤっとした時にふりかえる方法
サービス開発や、新しいプロダクトに関わるとき度々メンバー間で議論となるワードが「競合優位性」や「ユーザーへの提供価値」ではないでしょうか?
そして「ユーザーへの提供価値」というのはユーザーを深く理解していないと言語化することは難しい。最近そんなあるあるな状況にあったプロジェクトで、実際に使用したフレームワークについて振り返ります。
バリュープロポジションキャンバス(VPC)って知ってる?
バリュープロポジションキャンバスを説明する前に。バリュープロポジション(Value Proposition)とは、Wikipediaによると
“企業が一方的に考える価値ではなく、顧客のニーズを起点として価値を考え、バリュープロポジションを軸としたマーケティング戦略をたてることで、商品やサービスを求める顧客が確実に存在し、かつ自社が競争優位に立てる市場を見つけることができる”
つまり、ユーザーの真のニーズにフィットしていて、かつ自社だけがユーザーに提供できる価値のこと。
バリュープロポジションの事例で個人的に分かりやすいと思うのは(単純に好き)、iPhoneやAirbnb、日本でいうと「スターヴィレッジ」としてリブランディングした長野県阿智村あたりでしょうか。
ユーザーのニーズやサービス・プロダクトを通して得たい「価値」と企業が提供する「価値」にはギャップがうまれがち。バリュープロポジションキャンバスはそれを可視化し、ユーザーにとって本当の価値を導き出すフレームワークです。
しばしばスタートアップ、B2Bでのサービス開発の際に活用されるイメージが強いですが、サービスの差別化が重要性を増し、UXが定着化した今、既存のプロダクトやサービスこそ価値のギャップを確認する際に、利用できると思います。
私たちは新たなサービス検討を進める中で、実際にチームでそのギャップを可視化、サービス・機能の仮説をアップデートしました。実はみんなそのギャップをなんとなくモヤモヤと感じていたのですが、可視化されることによりチーム全員で共通認識を持ちディスカッションできたかな、と感じました。
バリュープロポジションキャンバス(VPC)を使ってみる
バリュープロポジションキャンバスの使い方については、様々な所で説明されていますので、ここでは基本的なことを簡単に。
1:バリュープロポジションは以下2つの要素で構成されている。まずはサービスの提供する価値と、顧客セグメントを決める
①Value Production
→サービスの提供する価値を決める
②Customer profile
→顧客セグメントを決める
ストラテジャイザー社によってテンプレートの配布や使い方の紹介がされています。ムービーもあるのでぜひ。
→ストラテジャイザー社のテンプレート配布ページ
2:次にユーザー目線で製品とサービスのアイデアを出すため右側から埋めていく。ユーザーが最も達成したいこと、その中で置かれている状況をJobに書き込み、PaineとGainをできだけ多く書き出していく
・ユーザーが実現したい/解決したい問題(Customer Jobs)
・ユーザーが嬉しいと感じる、利益をもたらすこと(Gains)
・ユーザーがマイナスだと感じること、抱える悩みや課題(Pains)
3:最後はValue Productionの方を2で出した項目に、対となるように埋めていきます(新しいビジネスアイデアを出す際は、ユーザープロフィールに記載したPaine(悩み・いやなこと)を減らしGainをふやす為にできることを多く記載)
・ユーザーに提供するサービス(Products & Services)
・ユーザーが嬉しいと感じるためのドライバー(Gain Creators)
・ユーザーの抱える悩みや課題を手段(Pain Relievers)
実は色々な場面で使えるVPC
シンプルなフレームワークだけ見ると簡単そうにも見えますが、実際にやってみると結構悩ましくて、完成までに2時間程度。
また本来ユーザーインタビューなどを通して実際のユーザーの声から作ることが望ましいとされていますが、私たちの場合は先にこちらを実施。その仮説をもとにユーザーインタビューを実施→さらにVPCをアップデートするプロセスを選択しました。
最後に。
今回はプロジェクトの中で活用しましたが、チーム、さらには自分の強み、提供価値を振り返るにも使えそうだなと思いました。セルフブランディングとか、ジョブ型雇用とか色々と言われる中で「自分」をアピールしていかなければいけない場面がこれからさらに増えてくる。そんな時の為に一度VPCで自分を振返ってみると意外な自分の新しい価値が発見できるかも?
それではまた次回も、実践したフレームワークをご紹介したいと思います!
参考書籍
『バリュー・プロポジション・デザイン 顧客が欲しがる製品やサービスを創る』