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ちびたの本棚 読書記録「悪魔を憐れむ」西澤保彦
容疑者や関係者の動機に着目して事件の謎を解いていくミステリーだ。主人公のタックは、偶然事件現場に居合わせたり、刑事に頼まれて出向くこともあるけれど、全体の傾向としては安楽椅子探偵モノだと思う。
彼は事件を分析し仮説を積み重ね、まるでパズルを解くように論理的に謎を解く。警察の捜査を出し抜いたり軽んじたりする訳ではなく、あくまでも立場は非公認のアドバイザーだ。
ただ、ストーリーの構成として、仮説に合わせて事件を起こしているような印象が残る。犯罪に至る心の動きや感情を穿ちすぎて、事件そのものがあまりにも複雑になってしまっているのだ。
でも、タックと大学時代の先輩や友人達の会話を読むのは楽しい。彼らはああでもないこうでもないと言い合いながら、事件を丁寧に分析していく。
それにしてもタックを始めとする登場人物が、美味しそうにお酒を飲むこと飲むこと!さすがに飲み過ぎでしょ…とツッコミを入れたくなってしまうほどだ。
いくつか他の西澤作品を読んでいくうちに、ああ、西澤氏はホントにお酒が好きなんだ!とわかってきたけどね。
タックを主人公とするシリーズの中で、この「悪魔を憐れむ」は新しいものだ。これから順を追って読んでみよう。