ちびたの本棚 読書記録「万感のおもい」万城目学
カラフルな装丁で大きさも通常のハードカバーとは違う。まるで絵本のようなほんわかした見た目だ。
タイトル通り、万城目学さんの色とりどりの思いがちりばめられたエッセイだ。
この本で「翻案」という言葉を知った。意味は、原作をもとにして新しくつくりあげること。
エッセイの中に、かのシャーロック・ホームズの「赤毛連盟」の翻訳について書いた文章がある。
原作の発表から、わずか8年で日本で翻訳されたことにも驚いた。流行の先端を行っている!いかに明治時代が外国の文化に敏感だったのかがわかる。
この時代では日本人には想像もつかない事柄が数多くあったのだろう。原作に忠実に翻訳しても、読み手の想像がつかない物や表現があれば、せっかくの素晴らしい作品も色褪せてしまう。ということで日本人にとって読みやすく「翻案」されたということだ。
この「赤毛連盟」についてのエッセイは、ぜひ自宅で読んで欲しい。公共の場で読むのはキケンかもしれない😅
シャーロックの原作を知らない人でも存分に楽しめる内容だ。
万城目さんはとても言葉に対して繊細だ。特にエッセイを読むと、言葉の選び方や使い方が丁寧で、つるつると喉ごし良く読みやすい。それでいて深みのある文章となっている。
エッセイでは、なぜだか自信がなさそうな雰囲気の人?という印象だが、その一歩引いたところも魅力と言えるのかもしれない。
文藝春秋から発売予定の「八月の御所グラウンド」を心待ちにしている。
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