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ちびたの本棚 読書記録「無実はさいなむ」アガサ・クリスティー

一件落着した事件に新たな証人が現れ、ようやく平穏な生活に戻った家族に再び疑惑が生まれるというストーリーだ。

本当の犯人はこの家の中の誰なのか、それとも…。

この小説には探偵は登場しない。
主人公は新たな証人であるキャルガリ氏だが、中盤で彼が登場しないシーンが続いた。もう退場?と思いつつ読み進み、しばらくぶりに彼が登場した時は、あ!まだ証人として真犯人が気になるのね!そういえば主人公だものね、と思ってしまった😅

読み手として、どの登場人物に視点を置くか定まらないまま物語は進んでいく。でも決して読みにくいわけではない。登場人物の個性や立場がはっきりしていて分かりやすいのだ。

犯罪のトリックよりは、人物の心の動きが細やかに描かれている。子供たちは養父母に引き取られた頃にまで記憶を遡り、果たして自分は養母を愛していたのか、それとも憎んでいたのかと己の心に問いかける。

ストーリーの終盤に、おや?この人はただ黙っているかな? と疑問を持つ部分があったり、バタバタとまとめてしまったなという感じはある。
でも、クリスティのノンシリーズに多く見られる終わり方で、読後感は良いかなと思う。






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