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おすすめの短編集

作者の世界観にどっぷり浸れる長編小説もいいけれど一つの本で色んな物語を楽しめる短編集が好きです。通勤途中や病院の待ち時間などスキマ時間に読んでいます。
今回はおすすめの短編集を紹介します。

あの夏の記憶だけ、いつまでもおなじあかるさでそこにある。つい今しがたのことみたいに――バニラアイスの木べらの味、ビニールプールのへりの感触、おはじきのたてる音、そしてすいかの匂い。無防備に出遭ってしまい、心に織りこまれてしまった事ども。おかげで困惑と痛みと自分の邪気を知り、私ひとりで、これは秘密、と思い決めた。11人の少女の、かけがえのない夏の記憶の物語。
すいかの匂いという爽やかなタイトルとは裏腹に子供ならではの残酷さとゾクッとするような怖さがあり、夏になると読み返したくなる作品です。

「その本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」、病床のおばあちゃんに頼まれた一冊を求め奔走した少女の日を描く「さがしもの」。初めて売った古本と思わぬ再会を果たす「旅する本」。持ち主不明の詩集に挟まれた別れの言葉「手紙」など九つの本の物語。
本と本に関わる人間の物語が淡々と進んでいきます。電子書籍が主流になりつつある世の中で、心に残った本は手元の残しておきたいと改めて思いました。ページを開いたら簡単に他の世界に行けるから面白いというセリフが心に響きました。読んだあとに温かい気持ちになれる短編集です。

遠く隔絶された場所から、彼らの声は届いた。紙をめくる音、咳払い、慎み深い拍手で朗読会が始まる。祈りにも似たその行為に耳を澄ませるのは人質たちと見張り役の犯人。9つの短篇小説で構成されています。誰しもが自分の人生に物語を持っているのだなと感じさせられました。9つの物語すべて外れなく面白かったです。それぞれの話は意外な結末や感動的な場面があるわけではないけれど、心に残っている作品です。

短大時代に体験した、存在意味不明な食品売り場でのアルバイト。たった2ヶ月間のOL時代に遭遇した恐怖の歓迎会。さくらももこの原点を語る大ベストセラー。
小学生の時に出会った思い出の本で、エッセイが好きになったきっかけでもあります。落ち込んだときに何度も元気をもらいました。すごく読みやすくて面白いので読書が嫌いな子供にもぜひ読んでもらいたい1冊です。

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