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企業文化とは何かを考える

Glassdoor社が行った調査によると65%の回答者が、企業文化が仕事を続ける上で、大きな要因となっていると回答しています。また、若い世代の方が、給与よりも、企業文化を重要視しているという結果にもなっています。このように注目される企業文化ですが、そもそも、この企業文化とは何でしょうか?今回は、企業文化について考えてみたいと思います。

企業文化とは?

企業文化と聞いてもなかなかイメージがしづらい部分があると思います。企業文化とは、ミッション・ビジョン・バリューの中のバリューにあたるものであると考え、どんな価値観を重要視するのかを言語化したものであると考えます。行動規範とほぼ同義であるとも思います。

組織は、複数の人間が集まって活動する集団です。そして、組織が大きくなってくると権限を委譲し、判断を別の人間に委ねなければいけません。そこで、もし、権限を委譲された人間が、それぞれ個人の価値観に従って判断した場合、会社として、一貫した姿勢を示すことができません。そのため、会社としての判断基準を定め、それに従って行動することを社員に促し、担当者が異なったとしても同じような行動をしてもらう必要があります。この会社としての判断基準ないしは優先順位の付け方が企業文化になると考えています。

企業文化によって変化する行動

企業文化が重要な理由は、それによって、会社における正義が変わってきてしまうことです。例えば、「株主に利益を還元することこそが我々の使命」という企業文化がある会社と「顧客の成長こそが我々の成長」という企業文化がある会社があったとします。そして、それぞれの会社が、製品をお客様に販売する場合、前者は、できるだけ、利益を確保するように行動することが正しいことになります。また、利益重視ですので、アフターフォローはそこそこに、新規の顧客開拓に注力することが良いとされると考えられます。逆に、後者は、お客様の成長を手助けできるように、コンサルティング的なことを実施したり、アフターフォローをしっかりすることが重視されると考えます。

このように、企業文化によって、従業員の行動が変化していくことが分かると思います。企業文化がない状態を考えると、上記の二つは、別にどちらかが正しく、どちらかが間違っているものではありません。しかし、企業文化を規定することにより、どの行動がより好ましい行動かが変化してきます。会社として何を重要視するかを考え、それに沿った企業文化を形成することで、従業員やお客様等のステークホルダーに対して一貫した態度が保てるようになり、判断の属人性を排除することができます。

別の例として、週報の報告方法として適したものをどれかを判断したいとします。やり方としては、以下のような選択肢が考えられます。

  • 定例ミーティングで報告してもらう

  • 1オン1のミーティングで報告してもらう

  • ビジネスチャットを利用し報告してもらう

さて、どれが一番企業にとって適しているのでしょうか?答えは、「企業文化による」となります。例えば、「社員の成長こそ将来のドライブ」みたいな企業文化である場合、それぞれにしっかりフィードバックができる1オン1のミーティングの報告が良いかもしれません。「情報の透明化」を企業文化としている場合は、定例ミーティングのように、皆が集まる場で報告してもらった方が良いかもしれません。「業務の効率化」といった企業文化の場合は、ビジネスチャットを利用した報告の方が、ミーティングに時間を費やす必要がないので、良いかもしれません。

このように、企業文化によって、適した判断というものが、変わってくるということを理解すると企業文化の重要性が分かってくるのではないでしょうか?なお、このように行動の変化が起こるためには、それぞれの社員が企業文化を理解し実践している必要があります。また、企業文化が浸透していない場合、企業文化に反した判断が下されることも想定され、そういったことが頻繁に発生すると、企業文化と謳っているものと実態が異なってしまい、企業そのものの信頼を失いかねません。よって、日頃から、企業文化をベースとした会話を行い、行動が企業文化に即しているかを確認することが重要だと考えます。


採用で重要なカルチャーフィット

現在、常に人材不足であり、経験豊富な人材は、できるかぎり確保したいところです。しかし、いくら経験があり優秀な人を採用しても、企業文化とマッチしない場合、うまく行かないことが多いと言われています。例えば、顧客重視志向の企業文化の中に、利益重視志向の経験者が採用された場合、他の従業員は、この経験者が顧客を軽視することにフラストレーションが溜まり、経験者の方も、理想とした利益をあげることができないために苛立ってくるという悪循環に陥ってしまうことが容易に想像できます。

また、本来持っている従業員の個人的な価値観と企業文化とがマッチしてない場合、従業員としては、不本意な仕事を会社から要求されていると感じてしまうため、フィットせず、採用したにも関わらず、即離職されてしまう事態に陥ってしまうと考えられます。

よって、経験や能力は、採用を行う上で、重要な要素ではありますが、そもそも、企業が持っている文化にフィットしなければ、長期的な雇用は難しいため、採用において、経験や能力と同等にカルチャーフィットを見ることはとても重要なことだと思います。



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