【凡人の対談 3.凡人の『SDGs』】
「凡人さん。こんにちは。」
「はいこんにちは。」
「早速ですが、あなたは『SDGs』というものをご存知ですか?」
「あーはい、アレっすよね、あの、最近の若くてオシャレな感じの人が、環境にいい感じのことをやるっていう、アレですよね?そのくらい知ってますよ。」
「さすがですね。」
「あ、どうもっす!」
「褒めていません。申し訳ありません。言葉が足りませんでしたね。正確には、『その凡人の権化のような知識量、さすがは凡人ですね。』ということです。」
(うん。こわい。すんごいこわい。)
(色白で黒髪でナチュラルメイク、すごい綺麗なお姉さんだから油断していたけども、よく見たらすんごいクール。声も声優の『沢城みゆき』さん的な感じで、すんごいクール。)
「あ、はい。勉強不足ですいませんでした。というより、期待どおりの凡人ですいませんでした。」
「まあ、いいです。」
「それでは、『SDGs』とは、一体何なのですか?」
「『Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)』です。」
「サスてーなボー、でゔぇ?」
「すいません。何言ってんすか?」
「。。。」
「すいません!凡人の無学なわたくしにもわかるように説明を、どうぞ、何卒お願いいたしますっ!!」
「仕方ないですね。『SDGs』とは、2015年に国連サミットで採択されたもので、、、、、、、、、、、のために掲げられた目標です。」
「つまり、世界的な、なんかいい感じの目標なんですね!」
「ですから、初めから『Goals』と言ってるじゃ無いですか。」
「はいそうでした。すいませんでした!」
「ゴールズ(ゴール:目標の複数形)、というと、目標が何個かあるんですか?」
「はい、全部で17個です」
「多くないっスか? いや、多すぎやしませんか? どれだけ意識高いんですか?」
「これだから、凡人はいけませんね。世界は徐々に良くなっているとはいえど、まだまだ問題もたくさんあります。より発展させるべきところ、逆に存続のために抑えていくべきところさまざまあります。世界の諸々の問題に目を向け、それを解決するために、目標を立てるとこうなるのです。」
「はい。世界中のいろんな問題に頑張って取り組んでいこう感は分かりました。」
「例えば、どんなのがあるんですか?」
「例えば、貧困や飢餓を無くすための目標、健康や教育に関する目標、持続可能なエネルギー利用に関する目標、人々の平等な人権に関するもの、産業や技術革新に関するもの、などがあります。」
「あなたに身近なもので言えば、会社での働きがいなどへの取り組みもあります。」
「へー、そうなんすね。」
「ふむふむ。つまり、どこで生まれた人でも、平等に幸せに生きていける世界にしよう。その上で、より良い生活ができるようにみんなで発展していこう。ただ、その中で人間以外が滅びてしまったら、人間も自ずと滅びてしまうから、そうならないように共存していけるようにしよう。そういうことですね?」
「あら、凡人にしては意外に悪くないですね。プラス1点です。」
(え、なんかよくわからんポイント入りましたけども。)
「あなたはそういう活動をされている方というわけですか。若いのに素晴らしいですね。僕なんかとは大違いです。そもそもあなたは何者なんですか?」
「それは申し上げられませんが、この『SDGs』に関わる、『公権力側の人間』ということだけ言っておきます。」
(こわい。いや、すんごいこわい。正体を明かせない公権力側の人間ってステータス、ものすんごいこわい。)
「まさか、僕がなんか変なこと言ったからって、『監禁』なんてしないでしょうね。。」
「まさか。」
(こわい。そのいきなり言葉少なげな感じ、すんごいこわい。)
「あの、僕この後、予定があるの忘れていたんですが、もう帰ってもいいですかね。。?」
「嘘ですね。あなたは今日、友人の〇〇さんにLINEで、『今日は一日中オールフリーだー!コンビニで酒でも買って、一日中Netflix見ながらゴロゴロしてよーっと!』とおっしゃっていましたね。今外出しているのは、コンビニに行く途中といったところですか。」
(図星!!てか、そんなことより、俺のラインの内容を何故か彼女は知っている。そして、家も僕の顔も完全にバレている!怖すぎる!)
「あの〜、どうして、ご存知なのでしょうか?」
「は? どうしても何も、知っているから知っているのです。知ろうとすれば、全て知れますから。」
(意味深!!すんごいこわい。)
「あ、あと逃げようとしても無駄ですからね。この部屋にご覧の通り窓はなく、扉はあちらの一つのみ。そしてあの扉は、防犯のため私の指紋と網膜データがなければ開かないようになっています。あと、私を物理的に倒そうとしても無駄です。幼少期より特殊部隊で訓練を受けていましたから、あなたの戦闘力では、たとえここに拳銃があったとしても絶対に、私には勝てません。」
(いや、すんごいこわい。ただただこわい。もはや『007』とかの世界ですよねそれ。)
「わかりました。すいません。逃げませんから許してください。」
「大丈夫です。質問に答えていただければ、何も危害は加えません。終わりましたら、ちゃんと報酬をお支払いして、お帰りいただきますから。笑」
(もはや笑顔もこわい。。めちゃくちゃ美人だけど、それが逆にこわい。)
「わかりました!次の質問お願い致します!」
「前向きで良い姿勢ですね。それでは、あなたはこの『SDGs』に関連するような取り組みを現在何かされていますか?」
「すいません!!わたくし、なんにも世界に貢献できておりません!!動物の肉も大好きですし、ゴミもポイ捨てはしないですが、ガンガン捨ててます!!プラスチック製品もめちゃくちゃ使ってます!!すいませんでした!!むしろ、二酸化炭素を吐いてすいません!!」
「最低ですね。マイナス1点です。」
(あ、ポイント減った。ま、まさかこのポイントが一定点より悪かったら、なんか酷い目にあわされたりしないだろうな。。!)
「あの、先ほどからの、その『ポイント』は一体何なのでしょうか? もしかして、ポイントが低いとどうにかなったりしますか?」
「あ、いえ、これは気にしないでください。あくまで意識調査です。文だと表現が難しいので、点数化して報告することになっているものですから。」
(ほっ。)
「あ、はいわかりました。」
「本当に、何もないのですか? 意識せずとも、環境のためになっている行動など、意外にあるものですよ?」
「え、そんなのあるんですか?」
「例えば、車は乗られますか?」
「あ〜、免許は持ってるし、会社員時代は乗っていたんですけど、今は会社も辞めて、使わなくなったので売りましたね。維持費も馬鹿にならないですし。別に電車もあるから必要ないですし。」
「そうですか。動機は凡人らしいしょうもないものですが、必要ないのであれば思い切って、車を使わない生活に変えるというのは、良いことですね。プラス1点です。」
(よっしゃ!)
「ありがとうございます!! わたくし一生車には乗りません!!!」
「いえ、必要な時は乗っていいのですよ?中には車がないとどうしても生活できないような地域に住んでらっしゃる方もいらっしゃいますから。その方達にとっては、車なしの生活自体が『持続可能』ではありませんから。」
「優しいっすね!もっと人間に厳しい感じかと思ってました!!」
「はい。あくまで、地球環境だけでなく、私たち人間の生活も持続可能でなければなりませんから。極論を言うと、環境のことだけを考えれば、私たち人間は基本的に全て死ぬべきですからね。人間が地球に一人もいなくなれば、多くの環境問題が解決しますから。」
(うん。すんごい正論だけども、なんかすんごいこわい。この人が『AI』じゃなくてよかった。)
「それは、そうですよね。人間が生きる限り、何かしらの迷惑はかけるものですからね。」
「はい。残念ながら、生き物全てそうです。地球環境に迷惑をかける前提ですが、『いかにその迷惑の大きさを小さくすることができるか、自然環境や動物達と共存できる範囲内に抑えるか。』これも『SDGs』における重要な考え方の1つです。」
「ごもっともです!!」
「。。。」
「うーん。まぁ、でも、結構やるのも結構頭使いますよねえ?」
「どういうことですか?」
「いや、なんかその『SDGs』ってやつの本質をわかっていないと、結構変なことしちゃいそうじゃないですか?矛盾みたいなものも出てきそうですし。」
「例えば、どういったことでしょうか。」
「うーん。ちょっと違うかもしんないですけど、こう、そういう活動を周りに押し付けちゃったりとか?」
「お前、意識低いな!って馬鹿にしちゃったりとか?」
「そういうのって、確かに本人がやってることは素晴らしいことなんだろうけど、対立しちゃってるじゃないですか。その関係って持続可能でも共存でもなくないですか?そもそも幸せじゃないし。」
「ほう。生意気ですが新しいですね。他には何かありますか?」
「線引きもむずそうですよね。」
「例えば、今の世の中で、『化学製品』使わないって結構むずいじゃないですか。洋服も、洗剤も、テレビも、パソコンも、スマホも、電気とかのエネルギーも。あまり極限までやると、ただ、人間が『原始人』の生活に戻るだけじゃないのかなぁ。と思いまして。」
「なるほど。どこまで突き詰めるべきか。という意味での線引きですね?」
「あ、他にも、『ヴィーガン』という方いらっしゃるじゃないですか。」
「あれも、べつに僕は応援しますけど、僕個人は多分やらないですし、こどもになんかにはやらせません。だって、体が出来上がった大人ならまあ、なんとかなるかも知れませんが、これから体を作っていく子供が本当に動物を食べなくてもきちんと成長するか、長生きできるか、まだわからないじゃないですか。」
「健康にいいという人もいるし、逆に『環境にはいいが健康には良くない』なんてことを言う人いて、よく分かりません。」
「単純に、『今まで肉とか油とか、ガンガン食べてて、超デブで不健康だった人が、野菜を食べ出して健康になりました。』だったり、『元々バランス良くて健康だった人が、急に動物食べなくなって、栄養素が不足して、不健康になりました。』的な話かも知れませんからね。」
「人間は『肉食』でもなく『草食』でもなく、『雑食』なので、そこは素直に受け入れて、べつに、雑食のままでいいんじゃないでしょうか?」
「もちろん、動物無駄に殺しまくって、捨てまくるみたいなのは、もったいないとは思います。ただ、べつにそこは、個人の節制とか、もったいない精神で、他のことも、うまくやっていけばいいんじゃないでしょうか。」
「もういいです。長いです。」
「はいすいませんでした!!」
「僕はべつに『SDGs』に反対なんかじゃないので、できることをやっていこうとは思っています。あなたが何者かは分かりませんが、頑張ってください!」
「それはどうも。私もそのつもりです。」
「なんだか、あなたの話はもうお腹いっぱいなので、報酬をお渡ししますから、どうぞお帰りください。」
「え、あ、はい。」
凡人は、意外と入った報酬袋を手に、とぼとぼと歩いていた。
「あ、そういえば、もう監視するのやめてください。って言いそびれたな。」
「。。。もしかして、僕のスマホの内容をみれると言うことは、あの女の人、僕がスマホでこっそりみている「エッチな動画」もみていたりするのかな。そう考えると若干変態だなぁ。」
「いや、やめとこう。こういう僕の思考さえも監視されていそうだ。」
「あ!そうだ、明日このお金で、新しいi-phone買っちゃおーっと!」
凡人は、そんなしょうもない妄想をしながら、ニヤニヤしながら家路に着いた。