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売れる営業担当は何を売っているか

売れない営業がやってしまってること

「うちの若手の営業力がなかなか上がらなくて苦労しているんです」

営業力強化のコンサルタントをしていて相談を受ける代表例の1つがこれなのですが、実態把握で実際にどのような営業を行っているのか確認してみると見えてくる成績がふるわない営業担当に「ありがちな共通点」は

客先で自社製品の【特徴】説明に終始する

これです。

・うちの商材はこんな仕様で他社より優れています
・業界初のこんな機能が搭載されました
・あれもこれもできて、多機能で凄いのです

わかりやすく言えば「カタログ説明員」という状態ですね。もちろん、カタログ説明員スタイルの営業でも成績が全くあがらないとは言いませんが、売れる営業担当となるのはほぼ無理でしょうね。しかも、このスタイルの営業担当は、相手が誰であってもその伝える内容もほとんど変えません。カタログに書いてある情報を伝えるだけなら、HPやカタログで十分で営業担当は必要ありません。ましてやデータを元にその見せ方を変えることができるAIが絡んでくればなおさらです。つまり巷で言われる「AIに仕事を奪われる営業職」にすらなりかねません。

お客様は何を買うのか

お客様がお金を払うのは、商品・サービスの仕様・機能といった【特徴】ではありません。お客様がお金を払って買うのは「自分にとってどんな良い点があるのかという【利益】」なのです。「もの売り営業」「こと売り営業」とも言いますが、「もの」を買って得られるその先にある「こと」がこの【利益】にあたります。

つまり、カタログを自宅で眺めても、営業から説明を受けても、お客様はその仕様・機能が自分にどんな【利益】をもたらすのかを変換して考えます。それが支払う金額に見合うか否かで買うかどうかの判断をするわけです。例えば皆さんがテレビを買うときのサイズ選びもそのサイズを選ぶ理由(目的)あって、それがここでいう【利益】に相当します。

成績のふるわない営業担当がやっている自社商材の【特徴】説明に終始するという営業スタイルでは、その【特徴】がお客様にどんな【利益】をもたらすのか考えることをお客様に委ねることになります。デフォルメすると「バババーーーン!うちの商品はこんな凄いですよ!どうですかっ!買いませんか?!私にどんなメリットがあるのかって?それは自分で考えてみてくださいっ。以上です。」こんな感じですね。それでも商談が成立するのは、ほとんどの場合、そのお客様が自分の抱える課題、叶えたいことを自らが認識している、つまり「ニーズが顕在化」している場合です。よって、カタログ説明営業から聞いた商材の特徴が自分の課題にあうかどうか、お金を支払うだけの利益を得られそうかをお客様が考えてる。しかし、相手が「顕在化した需要」を持っている場合、既に自分が解決したいことを理解しているが故に過去にも検討もしくは手を打ったことがあったり、既に競合を検討していたりするので、解決したいことに対して後ろ向きだったり、価格勝負になりやすかったりと案件自体、最初からハードルが上がってしまうのです。結果、その商談自体の難易度もあがる。カタログ説明スタイル営業がクロージング力が高いとも思えません。よって、成績がなかなかあがらないというスパイラルに入るということです。

売れる営業がフォーカスしていること

売れる営業の多くは、プレゼン提案の時点で、漏れなく商品の【特徴】が、相手のどんな【利益】に繋がるかにフォーカス(言及)しています。実際に、その商材が使われるシーンをイメージさせ、その時にどんな良い事があるのかわかりやすく提案するのです。これは相手が気づいていなかった「潜在需要(非顕在化需要)」にもアプローチしやすいので、もし刺さったときは、今まで自分のに需要(ニーズ)として認識していなかった分、まずは話を聞いてみたいという姿勢に繋がりやすいのです。

【顕在化した需要】だけではなく【潜在需要】も案件にできるのですから、同じ数の提案をしていても案件の数は間違いなく増えます。また、相手の利用シーンをイメージしながらの説明な為に、自社商材の【特徴】がお客様が手に入れたい利益に対して、競合に比べてどう優れているかの説明がより具体的なものになり、競合排除がしやすくもなります。ここで、相手のハートをがっちりと掴むことができれば、価格は検討条件の優先度から下がるでしょう。

自分の営業力を棚卸したい、伸び悩む若手営業のレベルアップを図りたいという方は、まずは自社商品の【特徴】をお客様の【利益】に結び付けた提案ができているかを見直してみましょう。お客様にも様々なパターンがありますから、何かしらのカテゴライズをかけて、それぞれに刺さる【利益】ポイントとそれをどのように伝える良いかを整理してみる。このタイミングで営業資料もチェックするほうが良いでしょうね。これだけでもがらりと変わる営業担当は結構いますよ。

念のために見直してみませんか?

ちなみに、今回の話は営業としては初歩的な話なので、そんなの当たり前でしょうと思いながら読んでいる人もいると思います。今どき、そんな営業いる??と思ってませんか?特にある程度経験を積んでいる人はそうでしょうね。しかし、営業力強化で指導を始めると、そういう経験を積んだ営業でも、ポイントの整理が甘かったり、プレゼンの仕方が雑だったりということが多々あります。上司先輩がうちの若手は大丈夫とおっしゃるの伺った上で、若手に営業デモンストレーションしてもらったら目も当てられず、横で見ている上司先輩の顔色が見る見る変わるなんて場面、一度や二度ではありません。何事も、自分は大丈夫と思って情報に接するか、いつも自分は大丈夫かな?と思って機会があるときに謙虚に見直せる人は違います。特にできる営業は後者に多いことは間違いないですね。

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