見出し画像

決して曲げない強い自我~「ペ・ドゥナ論」感想

ペドゥナは、ここ半年以上ハリウッドでSF映画の撮影中みたいです。インスタ見てると、アクションやトレーニングがかなり大変そうです。こんなに長く母国を離れ英語での撮影生活が続くと、孤独感や寂しさに苛まれるのではなかろうか。それに打ち勝てるものなんだろうか?下のほうに書くような「勝ち続ける」には、ペドゥナは挑戦し続けるわけでしょう?私はどうしてもそこのところが一番気になってしまうのでした。(思い過ごしかな?)

さて、前回もこちらの本の感想を書きましたが、「ぺ・ドゥナ論 初の女性トリックスター」の感想を書き足りなかったので再び。

ペ・ドゥナはなぜ必ず最後は勝つのか?

そうなんですよね。私がブログに書き続けているのもそこですよ。「勝つ」にもいろいろありますが、途中で死んでしまったり、ハッピーエンドじゃないことが単純に「負ける」ということではない。

著者の夏目深雪さんは、「空気人形」を例に、

ぺ・ドゥナの身体が持つ”強い自我”のようなものはずっとそこにある。ぺ・ドゥナはセクシャル・マイノリティだろうと留学生だろうといつも毅然としている。彼女が持つ芯のようなものが、現実的には日本人の中で(時には裸も曝け出して)韓国人として演じること、作劇上は心を持ってしまったものの「主人」である秀雄にそれを打ち明けることができず、一方的なセックスにも応じる「人形」であることに甘んじるのぞみを、ギリギリのところでを「可哀想な女性」であることを逃れさせている。
「韓国女性映画 わたしたちの物語」より

日本で見られるペドゥナの作品を全部見ていますが、「空気人形」については気持ちをまとめられない。感想が書けない映画の一つです。(ちなみにもう一つは「クラウドアトラス」~こちらは壮大すぎるので…)

のぞみを見て涙でいっぱいになってしまうけれど、そのうちにあふれることなく涙が引っ込んでしまう。私なんぞが涙を流すのは失礼な気がして。「大好きな映画」ではないけれど「大切な映画」。この本を読んで、そういうことだったのね、と自分の気持ちが納得できたような気がしました。

ペ・ドゥナにラブドールの役なんかをオファーした是枝監督に怒りがこみ上げるという著者。←私も本当にそう思います!!!

でも本当にきれいな映画だったし、是枝監督の次のオファー「ベイビーブローカー」では、今のペ・ドゥナにとってまたと無いやりがいがある役だったのでは?

また「私の少女」を例に、

ぺ・ドゥナは常に自分を曲げないという意味においては堂々としている。
「韓国女性映画 わたしたちの物語」より

そこだ!本当に共感してしまった。

「私の少女」だけでなく、「吠える犬は噛まない」「子猫をお願い」「復讐者に憐れみを」「リンダリンダリンダ」「グエムル」「空気人形」「ハナ」「クラウドアトラス」
みんなそう!

映画だけでなく、ドラマ「センス8」「キングダム」「静かなる海」もそうだった!もともとの役柄がそうなのか?ペドゥナが演じるからそっちに寄っていくのか?

ただ、ドラマ「秘密の森2」は、いつものように自分を曲げずに最終的には「勝つ」のだけど、最後のほうは「可哀想」を感じてしまった。これは現代のリアルドラマだからかもしれない。ヨジンの痛みは私のリアルの痛みと重なるから。

その意味で言えば「トンネル」「チャンオクの手紙」「最高の離婚」「ベイビーブローカー」も現代ドラマなので「痛みが共感できる」という点で似ているかも。

「リンダリンダ」の歌詞の通りなのかも?

「リンダリンダリンダ」の劇中ペドゥナが歌うブルーハーツの「リンダリンダ」の2番の歌詞。

若き日にこの映画でこの曲を歌ったペドゥナは、その後ずっとこの歌詞の通りに演じているのでは?(と思ってたけど、ちょっとダサい考えに思えて今まで書けなかった。笑)

ブルーハーツの歌詞、難解でよくわからないですが、すごく好きです。

愛じゃなくても恋じゃなくても君を離しはしない
決して負けない強い力を僕は一つだけ持つ

さて、この「ぺ・ドゥナ論」を読み終えてすぐ、ペドゥナご本人も読みたいのでは?と思ってしまった。ぜひご本人の感想も聞いてみたい。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集