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『人間関係の「めんどくさい」から解放される 日常・職場のイライラ解消大全』ステップ1・無料全文公開

12月26日発売の書籍『人間関係の「めんどくさい」から解放される 日常・職場のイライラ解消大全』より、ステップ1「なぜイライラするかを観察する」を全文公開しちゃいます!

コミュニケーションとは

《心のつながり》

そもそも、コミュニケーションとは何なのか? まずいえるのは、他者と関わる手段であって、互いの心をつなぐためのアクションだということ。

わたしは「産業心理カウンセラー・コミュニケーションコーディネーター」という仕事をはじめてから、たくさんの人の、たくさんの悩みごとを聴いてきました。その中で、「わたしはコミュニケーションが苦手です」という悩みをもつ人が思った以上に多くいることに驚きました。しかも、その中の半数以上は、十分コミュニケーションが取れている方たちなのです。

あなたは、コミュニケーションが苦手ですか?
もしそうだとするなら、なぜ、苦手だと思うのですか?
どんなところが苦手ですか?

この3つの質問に対しての答えは、書き出しておいてくださいね。

ここからは、コミュニケーションが苦手だと思っている方たちのために、「それはあなたの勘違い」ということをお伝えしましょう。

朝起きてから夜寝るまで、一度はあいさつするでしょう。家族、同僚、上司、友人、取引先の人、コンビニの店員などと、会話する機会があると思います。毎日必ず、誰かと言葉を使ってやり取りをしているのではないでしょうか。

まずこの時点で、あなたは、コミュニケーションマスターですよ。だって、「あいさつ」「会話」の2ツールを使って、意思疎通ができているのですから。

「上手に」とか、「完璧に」とか、完全体で考えてしまうから、そこまでできなくて苦手と思うのです。

そもそも、コミュニケーションにはマニュアルも正解もありません。なぜなら、一人ひとりまったく個性が違うので、同じ手法が通じないからです。

ある程度の型はありますが、あなたが望んでいる関係性によって、それらを使い分けていけばいいのです。そんなに難しく考える必要はありません。どうやって心をつなぐかを考えるのがコミュニケーションなのです。手段とアクションと考えましょう。

《ビュッフェスタイル的な付き合い方》

コミュニケーションは無理をすることではありません。自分だけ我慢して、相手の要求に合わせなければならないようなつきあい方では、「コミュニケーションが取れている」とはいえません。

とはいえ、自分の好きな人とだけしか関わらないで社会生活を送ることは不可能なので、あなたのアタマの中を少しだけ変えてみましょう。

あなたはランチやディナーでビュッフェを利用したことがありますか?

セルフスタイルですね。前菜・副菜・メイン・主食・デザートなど、何をどう組み合わせて食べようが、あなたの自由なわけです。栄養の偏りや彩りなども考えたりすることでしょう。そして、たまには冒険や挑戦をしてみることもあるでしょう。

わたしは、人付き合いも、そのような考え方でいいと思っています。付き合う人も、付き合い方も、あなたが選んでいいのです。

ただ、ここで勘違いしてほしくないのですが、今嫌いだと思っている人とは、もう付き合わなくてもいい、ということではありません。社会の一員である以上、それはできないことです。一部だけを切り取って見て、その部分が「嫌い」と感じているだけかもしれないので、最終判断は慌てないでください。

そのうえで、同じメインでも肉料理と魚料理があるように、大事な人でも、どのように大事なのかで付き合い方は変わってくるのではないでしょうか。Aさんは守ってあげたい大事な人、Bさんは仕事でお世話になっている大事な人など、「大事」の意味で付き合い方も違うことを、ここではご理解ください。

エキストラ的な人たちとのコミュニケーションは、サラダのドレッシングを選ぶような感覚で、この人にはスパイスを効かせてみようとか、この人にはマイルドに言ってみようとか、いろいろ試してみればいいのではないかと思います。

あなたが選択して、あなたが実行したことの結果であれば、どんな反応でも納得できると思います。相手の反応にいちいちイラッとするのは、相手に主導権を握られているからなのです。あなたが主導権を握り、あなた自身で解決できるようにしましょう。

《コミュニケーションは頭脳》

人間関係において、コミュニケーションは頭脳です。中枢であり、核であり、命ともいえるでしょう。このように堅苦しく表現してしまうと、難しいとか、面倒くさいとか思われてしまうでしょうか。たしかに、ある意味では難しくて、ある意味では簡単なことなのです。

ではなぜ、頭脳だといえるのか? それは、基本を身につけたら、あとは応用の繰り返しで、自分のアタマで作戦を練っていかなければならないからです。ひとつとして同じ問題には遭遇しないので、パズルのピースを探すように、組立構成を変えていかなければならないからです。

あなたが単なるツールとして、技術的なことだけ習得できればいい、といった考えならば、コミュニケーションというものは難しく感じられることでしょう。しかし、根本的なことを理解しながら身につけたいと思うのであれば、コミュニケーションとは、そこまで難しいものではないと感じられでしょう。

たとえば、小学生のころ、算数で九九を繰り返し唱えることで覚えたように、自転車の乗り方を何度も転びながら繰り返し練習し続けて、支えや補助輪なしで乗れるようになったように、コミュニケーションも鍛えて磨いて育てられてできる才能なのです。強化したい部分のワークを繰り返すことで、考えなくても悩まなくても、自然に身についた才能として発揮されることになります。

日々アップデートを繰り返すことで、コミュニケーションの質は確実に上がります。思っていたのとは違う方向に動くこともあるのが人間関係ですが、思いどおりにはいかないほうがうまくいくこともあるのが人間関係、ということも知っていてください。

このあたりのさじ加減を覚えたときに、あなたの進化がはじまります。自分の思いどおりに相手を動かすのがコミュニケーションではなく、いかにして心を通わせられるかを突き詰めていくことがコミュニケーションです。それをあなたの頭脳で解明していって、自分だけのオリジナル・コミュニケーション法を生み出してください。

勉強して知識量が増え、わかることが多くなると、勉強が楽しくなりますよね。コミュニケーションの取り方も同じと考えてください。

かく言うわたしも、まだまだ進化の途中にいます。この頭脳に完成形はないのですから、誰もがずっと生涯進化し続けていく、頼もしい能力なのです。あなたも、わたしと一緒に、その未知なる能力開発をし続けていきましょう。

《出会いはカプセルトイ》

人との出会いをカプセルトイにたとえることがあります。ギャンブル的要素が無きにしも非ずだからなのでしょうか。はじめての出会いはドキドキするものですから、何が出てくるのか、ドキドキワクワクのカプセルトイと心境は同じかもしれません。

一度は何かのカプセルトイ経験をしたことがあるかと思いますが、そのときのカプセルの中身で「当たった!」とか「ハズレた!」という、その基準はなんだったでしょう。

好きなものやほしかったもの、レアなものが出てきたら、「当たり」ではありませんか? そうです、すべて自分の好き嫌いや損得が関わっているのです。これは人間関係にも当てはまります。自分が気に入らない人のことは「ハズレ」で、気に入った人はもちろん「当たり」になります。

でも本当は、当たりとかハズレとかの問題ではなくて、それをどう使って何をしたいのか、それをどうするのかが大事なのです。

カプセルトイは、夢が詰まった、ワクワクの宝箱。そのように考えると、コミュニケーションとは、限りなく夢が詰まった、ワクワクする未知の宝箱なのだといえます。

カプセルトイでは、ほしいものが出てくれるまで、ドキドキしながらハンドルを回しませんか? 数回回してダブったとしても、誰かのせいにはせず、むしろそれを話題にしたり、有効利用することを考えたりしないでしょうか。人との出会いも同じこと。有効活用の仕方がわからないだけなのです。そして、自分の都合で解決しようとするので、自己の常識以外を受け入れようとしないだけなのです。

思い込みと先入観という壁を取っ払ったとき、はじめて本当のことに気づき、そこに可能性が見えてきます。

今、上司や部下、同僚に恵まれていない、ハズレたと思っている人がいませんか?

仕事をしていると、どうしてもそのように感じることがあるでしょう。とくに、あなたが優秀すぎる場合は、余計にそれが負担になって、イライラしているのではありませんか? その場合はもう、その人を超越するしかありませんね(笑)。あなたが所持している、コミュニケーション技術を使うのです。

あなたのイライラをなくすために、駆使してみましょう。それでもなくならなければ、相手が足元にも及ばないくらいに、あなたがアップグレードしてしまいましょう。そうなることによって、相手が視界に入らなくなります。

ケーススタディ1 日常あるある

 それでは、いよいよステップ1に入ります。まずは、なぜイライラするのかを観察するところからはじめましょう。実際にカウンセリング相談にあった、いくつかのケースをご紹介していきます。解決策を探っていきましょう。

《運転中に感じるイライラ:ケース①》

狭い車道のど真ん中を、我が物顔でゆっくり走る自転車族が、あなたの車の前にいます。

「もう少し左に寄ってくれたら前にいけるのに……」

クラクションを鳴らそうと思うのですが、躊躇してしまいます。なぜなら、自転車の運転手はフラフラハンドル操作のお年寄りだからです。クラクションにびっくりして自転車ごと倒れられたら、大事故になりかねません。

急いでいるときに限って、このような状況に遭遇するので、どうしてもイライラしてしまいます。

●解決策例
これは、あなた自身でどうにかできる問題ではありません。状況を見るのではなく、あなたの心に焦点を当てましょう。この状況でも、一旦はあなたのイライラを認めるのです。

「うわ、何ちんたら道の真ん中を走ってくれてるわけ? イライラするんですけど!」
「めっちゃイラつく!」

たとえば、このように愚痴っぽく声に出して、気持ちを吐き出すのです。そして、そこからどう行動するかを考えるのです。

「危ないから、もっと歩道側に寄ってほしいよね」
「フラフラしてて怖いよね」
「でも、早くここを抜けたいよね」
「対向車線からは次々とくるもんな」
「一旦、そこのコンビニにでも入ろうかな」

あなたが自分の気持ちを受け止めて、「そうだよね」と納得することで、血が上っている状態から少し落ち着いて考えられるようになります。自分事から少しでも視点を切り離すことで冷静になれるでしょう。その状態から、対向車を確認しながら自転車と距離を取って追い抜こうとか、運転しにくいからコンビニエンスストアに入ろうとか、今考え得る最善の策を選択できるわけです。

時間に余裕がないときに限ってこのような状況に遭遇しやすいのは、気持ちに余裕がなく、そういった状況をとくに拾って見てしまいがちだから。普段はそこまで気にしていないだけなのですね。つまり、余裕がないときほど立ち止まって自分を外側から見るようにしましょう、ということです。一点に集中してしまい、周りが見えなくなってしまうからです。裏の部分のアナタにも寄り添ってあげると、イライラしても大丈夫だという安心感と充足感が得られるため、心が落ち着いていきますよ。

《運転中に感じるイライラ:ケース②》

朝から、いつもの交通渋滞に巻き込まれています。なんだか今朝は、いつもよりも車の数が多い気が……。だからでしょうか、信号待ちばかりで、なかなか前に進めません。

「今日もか……」と思いながらも、なかなか進まない前の車にイラッとしてしまいます。1分でも早く目的地に到着したい気持ちで焦っているのです。

すべての信号待ち、途中の割り込み、右折のタイミングが下手な車、とにかく進まない要素を目にするたびに、文句を言ってしまいます。つい口が悪くなっている自分にもイラつきながら、なんとかこの状況から脱出できないものかと、脇道を探してキョロキョロと挙動不審になっています。

あまりに余裕がなさすぎて、他の車のことなど考えられる状態ではありません。急に車線変更しようとしてクラクションを鳴らされては、そのことにさえもイラッとしています。

●解決策例
毎日同じ状況に変わりなくても、体調や心境は毎日違います。ですから、自分の気持ちだけが違うことに違和感があるため、イラッとしてしまうのです。この違和感を埋めるために、「なんとなくルーティン」をつくってみるのはどうでしょう。

たとえば、「運転しながら暗記物の宿題を唱えています」というのは、わたしの受講生さんです。「ラジオにツッコミを入れたり、感想を言っています」というのはわたし自身です。

音楽を聴く、歌を歌うなど、いつもなんとなくやっていることはあると思います。それに集中しすぎてしまうのは危険ですが、気持ちを悪い方向に向けないため、分散させる意味においては、このような行為が心の安定性によい効果をもたらすでしょう。

昨日と今日の道路状況を比較してみるのもいいでしょう。それを口に出してみるのです。

「あれ? 昨日より右折車が多いかも」「トラック少なくて、前が見やすいな」などと、状況プラス感想を自分でシェアすることで、状況を冷静に把握できます。するとイライラの種である、「なんで?」を追いやることができてしまいます。解消されない「なんで?」は、できるだけアタマの中に登場させないようにすることがいちばんです。

《ショップ店員に感じるイライラ》

「いらっしゃいませー、どうぞご覧ください」

セール品を物色中、1人の店員がやってきて、「何かお探しですか?」と声をかけてきました。

ちょうどききたいことがあったので、商品について教えてもらいました。

「その色、とてもお似合いだと思いますよ。お値段も大変お得になっていますし、お買い得です!」
「ありがとうございました」

ほしかった色のカットソーだし、安いから買っちゃおうと思い、店内ショッピングバッグに入れて、次の商品を探していました。

数分後、またその店員がやってきて、目の前にこれでもかというほどの商品を並べはじめました。

「半額になる期間も限られていますし、このタイミングでおまとめ買いがお得かと思います」と、色・形など関係なく、売れ残って困っていそうな商品を押し売りしはじめたのです。
(予算内で購入するものをだいたい決めながら、ゆっくりと品定めしていたのに……)

その人を振り払おうと別の陳列棚に目をやっていると……

「そちらは最後の1点になっておりますので、なくなったらおしまいの商品でございますよ」

別の店員です。連係プレイですね。そして、商品をショッピングバッグに入れるまで、後ろをつきまとってきます。

「ありがとうございます。他を見たいので大丈夫です」

 これでやっとひとりになれました。

ここで、他人のフリをしていた家族がやってきて、衝撃の事実をわたしに耳打ちしていきました。

「アレは、おだてればなんでも買うから、いくらでもおだてて、できるだけ買わせればいいよ、カモだカモって言って、あんたのこと大きな声で笑ってたから気をつけな」

この事実を耳にしたわたしは、商品を購入する気持ちが一気に急降下したので、すべてを棚に戻して帰りました。それからそこでは二度と買い物をすることはありませんでした。

●解決策例
このケースは稀かもしれませんが、きこえてこないだけで、他のショップでも十分あり得ることです。

大事なことは、決しておだてに乗らないこと。あなたは、そんなことわかっているかもしれませんが、これまでに人の意見に左右されることがあったなら、ひと声が決め手になってしまう可能性があるので、気をつけましょう。

店員はあくまで、アドバイザーです。わからないことがあればきけばいいし、ベスト・ベターの選択肢を与えてくれる専門家です。きちんとした専門家目線の意見であれば、それは取り入れたほうがいいでしょう。そのうえで最終決定権はあなたにあるのです。納得してから購入する心構えでいれば、「買わされる」ことはなくなるでしょう。

押しの強い店員は要注意です。なんでもかんでも「お似合いですー」と褒めるのみで、アドバイスも感想も言わないときは、本当は似合っていない恐れがあります。

「見るだけになるかもしれないので……」とひと声断り、最初から「来ないでオーラ」を出しておきます。それでも冷たい態度にならない店員であれば、押し売りしない確率が高いです。

試着の際は、2~3着違うタイプのものを着てみましょう。一つひとつ、どう似合っていて、どう似合わないのかを、きちんと教えてくれる店員なら、信用してもよいでしょう。これはわたしの経験上お伝えできることです。

「そんなに全部似合ってしまったら、お店の商品を全部買わなくちゃいけませんね。だったらモデルで使ってくださいよ! 宣伝になるでしょ?」などと冗談めいたことを言ってみると、本音を引き出せることもあります。

いずれにせよ、必要以上に関わろうとして店員が来たときには、「ありがとうございます。時間がないので、5分で出ますから!」と、滞在時間を伝えてしまうのもひとつの作戦です。

ケーススタディ2 仕事あるある

《仕事をしない、すべて丸投げの同僚に感じるイライラ》

クライアントさまから、クレームのお電話が入りました。今すぐ対応に伺わなければならないのに、担当者が行きたがりません。とても難しい性格で、弁が立つので、面倒に感じている人だからです。

「俺は忙しくて時間がないので、Aさんよろしく!」

忙しいとは口ばかりで、外回りと称しては、しょっちゅう彼女のところで油を売っているような、サボリーマンのBさん。これまで担当案件を完了させたことがありません。

名指しされたAさんは、Bさんの尻拭いばかりやらされている状況で、自分の仕事が一向にできないでいます。上司は、Bさんが仕事をしていないことも、Aさんの負担が多いことも承知しています。ただ、Bさんはクレームを受けるどころか、業者さんともトラブルを起こすような人なので、仕事を任せにくいといった事情もあるようです。

あなたの周りにも、目立つこと、ラクなことには手を挙げて、とりあえず着手し、さもわかったかのように薄っぺらな意見だけを言って、都合が悪くなると投げ出す、面倒になった仕事やトラブル発生したことについては、何も言わずに誰かに丸投げする、このような同僚はいませんか?

●解決策例
第一に、このような人の仕事は、引き受けないことです。ただ、クライアントさまに迷惑をかけられないという責任感が強いAさんは、結局お客さまのために自分を犠牲にしてしまいがちです。どうしても、「お客さまにご迷惑はかけられないから、わたしがやらなきゃ」と思ってしまうでしょうが、そこをグッと我慢してみましょう。

担当者が責任をもって仕事をするのは当然なので、たとえば、前もって「今日は○○なので、他の現場には行く時間がありません。よろしくお願いします」とブロックしてしまうのがいいでしょう。責任感が許さなくても、お客さまが心配になっても、それはAさんが心配することではありません。会社が心配することです。会社は、クライアントさまをないがしろにできませんから、必ず誰かが遂行します。ですから、Aさんがすべてを引き受ける必要はないのです。

試しに一度、明らかなBさんのような人からのスライドは断ってみてください。多少心苦しくても、見ないようにしましょう。

大丈夫、あなたが思っているよりも、なんとかなるものです。Bさんをできる社員に育ててあげましょう。会社にとっても、できる人材を増やせば利益が上がりやすくなるわけですから、それに気づいてもらう必要があるのです。

あなたが個人事業主やフリーランスでもない限り、あなたでなければ成り立たない仕事というのは、ほとんどないはずです。それが確認できると、あなたも自分の仕事だけを全うできるでしょう。サボリーマンの人には、「わたしは忙しくて時間がないので、Bさんお願いします」と、ミラーリングでお返ししましょう。

《味方のフリした悪魔な上司に感じるイライラ》

毎日ニコニコしていて、人当たりのいい上司。

「困ったことがあったら、なんでも相談して!」と言ってくれるので、あるとき部長からのセクハラとパワハラに悩んでいることを相談してみました。

「そうなんだ……。わたしも一緒に行くから、本部に話してみたら?」
「そうですね、ありがとうございます。お願いします」

後日、訴えはもちろんもみ消され、環境改善されることもなく、ただ神経をすり減らす毎日が続きます。

相談した上司は、「パワハラだのセクハラだの言ってたけど、あなたの勘違いじゃないの?」と言うようになり、しまいには「なんだかんだ、喜んでたんじゃないの?」「ホントに言いに行くと思わなかったよ。スゴイ人だね」などと、あちこちで悪く言いふらすようになったのです。

それからというもの、会社にたてついて反乱を起こす、ただの問題社員扱いされました。

その後は、ないことばかりをウワサ話として流され、会社では白い目で見られる始末です。理屈っぽいので、かわいくない部下だと、辞めさせたかったのでしょうか。

一緒にいるときは「大丈夫?」とやさしい上司のフリをして、自分がいないところでは散々悪口を言う人。あなたの周りにも、このような悪魔上司はいませんか?

●解決策例
あなたも同じように、やさしくて従順な部下のフリをしていきましょう。

このようなタイプの上司は、とくに何も考えずに、このような行為を行っている場合も多く見受けられます。その場合、悪いことをしている自覚はありません。ですから、あなたは自衛をするしかないのです。いちばんは、このような上司とは仕事以外の会話を徹底的にしないようにすること。人からきいたことを、すぐに誰かに言いたがる傾向があるので、個人的な情報は間違っても話さないことです。

自分のことでなくても、誰かの話をしてしまうと、「○○さんが言ってたよ」「○○さんにきいたんだけどさ~」といったように、まるであなたがスピーカーのような言い方で、他の人に言いふらされてしまいます。そしてあなたは、知らず知らずのうちに悪者にされてしまうのです。

こうならないためにも、必要以上に情報を与えないように気をつけましょう。尾ひれをつけられて、あちらこちらにばらまかれてしまいますから。

こういう人に対しては、感情を廃止してしまい、徹底したつくり笑いで誤魔化すことで乗り切るのです。すべてを意識的に行うようにします。

とにかく質問が多いですから、1つでも、ついうっかり答えてしまったら最後です。「なんで? なんで?」とマシンガンのような質問攻めで、あっという間に丸裸にされかねません。ですから、質問には質問で返し、あなたは相手の質問には答えない作戦でいきましょう。答えなければ情報を提供せずに済むので、被害を受けることもなくなります。

ケーススタディ3 家庭あるある

読者の方の中には、パートナーと生活されている人も多くいることと思います。生活を共にする中で、時には相手の言動にイライラすることもあるでしょう。たとえば次のような声。

「俺、何したらいい? と言われると、本当にイラッとする、めっちゃ腹が立つんです。いちいちきかなくても、わたしがいつもやっていることを見ていたら、何をすればいいのかくらいわかるでしょうって思うんですよね」

このようなお悩みの解決に向け、これまで行ってきた面談の中で、よく耳にした内容をもとに検証していきましょう。ケース事例としてお伝えします。

家族の構成は例として、夫(会社員)、妻(専業主婦)、子ども2人(4歳と6か月)の場合で考えます。

《パートナーに感じるイライラ:ケース①》

 夕食の後片づけをしているときに、子どもが泣き出しました。スマホのゲームに夢中になっている夫は、「泣いてるよ」とひとこと言い放っただけで、腰を上げようともしません。

「オムツじゃないの? 替えてあげてよ」
「えー! またこの前みたいに怒られるのイヤだから、しない。それに、今は手が離せないから、無理」
「そうじゃないでしょ!(イラッ) 手が離せないのはわたしでしょうが!(イラッ)」

●解決策例
この場合、せっかくの子どもたちとの時間を大事に考え、スマホなどをお休みしましょう。まずは、相手をイラッとさせない行動として、いちばん簡単なことです。

「泣いてるよ」のひとことは、その裏に「なんとかして」という隠れた思いが見えています。これは、まるで人任せにきこえてしまうので、イライラを大きくさせてしまいます。
「泣いちゃったね、オムツかな?」などと、やんわりきくような感じであれば、そこまでイラッとされずに答えてもらえるでしょう。

このようなケースは、夫が日頃の家事や育児を妻任せにしている場合がほとんどかと思われます。その場合、あなたは新入社員と同じであると思いましょう。先輩から研修を受けている最中で、一生懸命、勉強して習得し、戦力になろうとしているところなのです。ですから、一度違うと指摘されても、また言われるのがイヤだから、やらないというわけにはいかないのです。

あなたが、このケースの妻にあたる方なら、少しだけ言い方を変えてみましょう。わたしも妻の立場なので、イラッとするのはよくわかります。ただ、相手に行動をしてほしいと思ったとき、どう言ったら動いてもらえるのか、それを考えることのほうが得策なのです。

「1人であれもこれもやってると、どうしても自分にイライラしちゃうのよね。この前はあたっちゃってごめんなさい。(具体的にやり方を伝えて)そうしてもらえると助かる! 子どもたちも、やさしいパパからいっぱいお世話してもらえると嬉しいだろうから、お願いね」などと言いつつ、その後は監視しないようにします。

夫がいつもあなたがやっているようにできないのは、仕方のないことです。ですから、違うやり方などを見てしまうと、どうしても注意したくなります。あなたが、やりながらできるようになっていったように、夫にもそうなっていってもらえばいいのです。それには実践あるのみですね。

子どもたちのためにも、あなたのためにも、夫が家事・子育てを喜んで取り組んでくれることがいちばん。子育ては親育てです。ふたりでルールをつくり、補いながら親子で育っていきましょう。

《パートナーに感じるイライラ:ケース②》

「なんか忙しそうだけど、何か手伝おうか?」
「(イラッ!)忙しそう? 見たらわかるでしょ! 手伝おうかじゃなくて、やってよ!」
「何したらいい?」
「わたしがやってるの見てたら、わかるでしょ!」
「いや、教えてくれなきゃわかんないから、教えてよ」
「はあ? 今、手いっぱいなのわかるでしょ。少しは察してよね」
「ごめん……」

●解決策例
この場合、夫のそもそも他人事に捉えているような言い回しがNGです。「忙しそう」ではなく、実際に忙しいのです。気をつかっていることはわかりますので、「俺がやるから、少しだけでも休みなよ。何からどうすればいいか、段取り教えてくれるかな?」のように言葉がけをしていけば、頭ごなしに怒られることはないでしょう。

「手伝う」ですと、「自分の仕事ではないけれど、やってあげますよ」という意味に感じてしまいます。あなたも親なのですから、「手伝う」のではなく、「協力して行う」でなければなりませんね。

手いっぱいになっている妻には、「察しているからこそ夫は、手伝うよと声がけをしたのですよ」とお伝えしたいです。あなたも察してあげましょう。

お互いの「察する」能力が邪魔をして、思いがすれ違っているだけなのです。夫はいつもやっていないから、本当に何をすればいいのかわからないだけなのです。

「何したらいい?」ときいてくれたら、「ラッキー!」です。気持ちをノリノリにしてあげて、あれもこれもお願いしてしまいましょう。

「お願いね! ありがとう!」と、ひとことで言ってしまうと、相手はやらないわけにはいかなくなりますよ。お互いが「楽しい」という気持ちで接していくことが、イライラ防止につながります。

《パートナーに感じるイライラ:ケース③》

 忙しく家事をこなしている妻を見た夫が、気を利かせて自分も何かしようと行動しました。

「洗濯物たたんでおくね」
「ありがとう、助かるー」
「終わったよ、見て! キレイにたためたでしょ!」
「そうじゃないでしょ! わたしのたたみ方わかるでしょ? もお!(イラッ) やりなおしじゃん! 余計なことしてくれて、わたしの仕事増やさないでよね。感謝して損したわ」
「ごめん……」

●解決策例
ケース③の場合は、妻側に気をつけてほしいところが多くあります。

まず、「余計なこと」「損した」など、次回のやる気を損なわせることを言ってしまったことです。自発的な行動を否定されてしまうと、もう二度とやりたくない気持ちが生まれてしまいます。この先の長い生活を考えたなら、このようなときには言葉を一度飲み込んで、冷静になりましょう。

洗濯物のたたみ方は、あなたがつくった独自のルールです。一度きちんと教えてあげなければ、習得できるものではありません。楽しみながら一緒に家事も育児もやっていけるといいですね。

このケースの夫側にひとつアドバイスをするとすれば、たたみはじめる前にひとこと「たたみ方ってどうするんだっけ? 違ったらイヤだろうから」などと、軽くきいてみるとよいでしょう。

《余計なひとことを言う人》

ある日の日常(①の場面)です。

A「仕事に出かけるとき、病院まで車で送ってくれない?」
B「いいよ。いつもより20分早く出れば間に合うからまわっていけるけど、10時に出るよ、時間は大丈夫?」
A「10時か……予約時間が11時だから、早すぎるんだけどな……」
B「それじゃあ、送らなくていいのね?(多少イラッ)」
A「いや、お願いするわ」

このようなやり取りがあった後日(②の場面)。

B「あ、出かけるついでに、この封筒をポストに投函お願い」
A「(受け取りながら)え? どこあるかな……郵便局まで行くの? わざわざ行きますよ」
B「郵便局じゃなくても、どこかのポストで大丈夫だから。お願いしまーす」
A「(大きなひとりごと)あっち行って、あそこ行って……いったん遠回りしてから行くか、仕方ない。何分かかるかな」

場面①では、Bさんが出発時間を早めて予定変更し、遠回りをしてAさんを送っていることがわかります。Aさんの言葉、太文字部分「早すぎるんだけどな」と言われたことに、Bさんは多少のイラつきを覚えています。自分に合わせてほしいと言わんばかりにきこえてしまったのと、予定変更してまで送ろうとしているのに、自分の都合だけで、Bさんへの気づかいが感じられなかったからです。

後日②の場面では、2回イラッとしています。「わざわざ」という言葉と、大きなひとりごとを言われたときです。どうやらAさんは、いつもこのように、意図せず余計なひとことを発してしまう人のようですね。自分の気持ちは惜しみなく発信します。それも、気をつかって言葉を選んでいる、と勘違いしているのです。ですから、相手がAさんの言葉で傷ついたり、怒ったりしても、なぜそうなのか、まるでチンプンカンプンなのでしょう。

それどころか、自分を嫌っているから文句を言うのだと、被害妄想を訴える始末。独りよがりの「気を使っているつもり」に気づいていないようです。

●解決策例
このように、無自覚で余計なひとことを発してしまい、しょっちゅう相手を怒らせている人が少なからずいるのではないでしょうか。もしも、あなたに身に覚えがあるとしたなら、早いうちに対策を講じておきましょう。

まず気をつけたいのが、「心の声」まで音にしないことです。余計なひとこととは大抵の場合、「心の声」つまり「本音」であるからです。

本音を言うことが決してよくないわけではありませんし、言わずに我慢しなさい、ということでもありません。

本音というのは、時には下品だったり、暴力的だったりしますから、そのままストレートに出すのではなく、表現方法や言葉を変身させて伝えましょう、ということなのです。たしかに、あなたの気持ちはそのまま伝わることでしょう。しかし、それ以上に相手の反発力も大きくなってしまうので、今後の関係性を考慮したうえで、発信の仕方を考える必要があるのです。

①の場面では、「早すぎるかもしれないけど、それでも大丈夫か?」という確認作業が行われており、Bさんの気づかいが伺えます。しかしAさんはそれに気づかず、無視したように「早すぎるんだけど」と答えてしまったために、Bさんのせっかくの気持ちを逆なですることになったのです。

「まあ、だいぶ早いけど、その辺プラプラしてたら、すぐ時間になるでしょう」くらいの答えであれば、早すぎて時間をつぶすのが大変かもしれないという気持ちは伝わり、BさんはAさんのことを心配する気持ちのみになっていたことでしょう。

②の場面では、Aさんが「わざわざ」という言葉を用いています。これでは「行きたくないです」「やりたくないです」と言っているのと同じです。行けない、または行きたくないのであれば、「悪いけど、時間がなくて行けないと思う」などと言って断ればいいのです。

結局引き受けるのであれば、「わざわざ」とは言わなくてよかったですね。これを言ってしまったため、Bさんに「わざわざありがとう」と思えなくさせてしまったのです。せっかくの行為が逆になってしまい、損をしています。

引き受けるのであれば、「ちょっと遠回りすることになるから、少し遅くなるかもしれないけどいい?」という感じの言い方にすると、わざわざ感も伝わるので、Bさんは感謝と恐縮の気持ちになるのです。

あなたがBさんの立場なら、場面①のような場合、まず相手が言ったことをオウム返ししてみてください。

「そうだよね、早すぎるよね。どうする?」

すると、「あれ?」と相手が気づくことがあります。失敗したなという素振りがあったら、今回は大目に見てあげましょう。その後は話しにくくなる可能性があるので、あなたがゆっくり誘導してあげましょう。

そのような素振りもないときは、それにつき合ってしまうとイライラするばかりなので、①の場面でのBさんのような反応でいいでしょう。

②の場合も同様に、まずは相手の言葉をオウム返ししてみましょう。とくに、あなたが引っ掛かった言葉を、そのまま返してみてください。

この例では、「あ、わざわざだよね。大変なら無理しなくていいよ」と言うくらいがいいでしょう。それでも引き受けてくれるようであれば、心からの「ありがとう」と「お願いします」を言えばいいのです。

心持ちとしては、ひとこと多いタイプだとわかっている場合、お願いする段階から期待しないことを前提にしましょう。薄いバリアを張った状態にしていることで、あなたの心を守ることができます。

ひとこと多いタイプの人は、自分を認めてほしい、承認欲求が強いと思われます。一旦受け止めてあげることで、安心してもらいましょう。

*   *   *

第1章はここまで!
続きを読みたい方は、各電子ストアにて、ぜひお買い求めください。(この本はペーパーバック版の先行販売になります。電子書籍版は2023年1月発売予定です)
下記リンクはAmazonストアでの商品ページになります。書籍の詳細と目次もこちらからご覧になれます。
書籍『人間関係の「めんどくさい」から解放される 日常・職場のイライラ解消大全』

■ペーパーバック版(紙本)

■書籍情報

もっとラクに人付き合いはできる!
3000人のカウンセリングでわかった、無理しないコミュニケーションの取り方が身につく1冊。

仕事中イライラ…買い物中イライラ…家の中でもイライラ……
あなたも職場でも日常でも、イラっとくる場面は1日に何度かあるのではないでしょうか。
自分のミスを部下になすりつける上司、常識の枠を超えた行動をする人など、イライラしやすい環境が何かと多い現代社会に生きている私たち。コロナ禍で人との関わり方が変わり、ストレスの度合いも内容も変化しました。

本書では、「わけがわからないイライラのなぜ?」に迫り、「もしかして、これってそういうこと?」の理解ができます。ノウハウだけでなく、ノウホワイがあることで、あなたにあったコミュニケーションスタイルを構築できるようになるでしょう。
この本はステップ形式で、自分を観察するところからはじまり、誰かの言動でイライラを感じなくなるための聴き方、話をするときに自分がイライラしないために押さえておきたいこと、イライラ心を予防するための方法などをまとめ、最後にはある程度の他人理解ができる構成になっています。相手に対する謎のイラつきは、少なくとも減ることでしょう。
さらに、ワークを取り入れていることで、アウトプットによる理解の定着が期待できます。成功の事例や経験上の結果があることから、単なる机上の空論ではないことがわかり、よりリアルで納得しやすい内容です。

読んでいくごとに、イライラの根本原因と、あなたがイライラしないことのメリットがわかっていくでしょう。
あなたと、あなたの周りの人たちが、いつも笑顔でいられるよう、本書がお役に立ちますように!

【目次】

ステップ1:なぜイライラするかを観察する
ステップ2:自分を知り、他人の言動の「なぜ?」を理解する
ステップ3:相手の話や行動でイライラしなくなる
ステップ4:伝えたいことが誤解なく伝わる
ステップ5:予防する
巻末付録:コミュニケーションに役立つ福袋 イライラしないちょっとした習慣

【購入者特典】

すぐに役立つ! 人間力を上げるあいうえお

■著者プロフィール

斉藤ひろ美

Green&heart代表
産業心理カウンセラー、コミュニケーションコーディネーター、女性活躍推進コンサルタント
幼少期のトラウマからあがり症になり、学生時代は赤面症や体の震えなどに苦しむ。大人になってからは、信用していた人からの裏切りといじめにより人間恐怖症に陥る。保険営業から、宴会場の配膳かたづけ、飲食店スタッフ、ビジネスホテルベッドメイク、婚活パーティー司会および運営などのアルバイトも経験しながら、独自のメソッドを開発し、人への恐怖を小さくすることに成功。現在は「産業心理カウンセラー」「コミュニケーションコーディネーター」「女性活躍推進コンサルタント」「研修講師」など、人と関わる仕事に従事している。人にやる気を出させるスペシャリストである。

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