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おだやかな沼にて恋心を抱いているのですから
もう仕方がないことは仕方がないのだから
土がぜぇんぶめくりあげられて
沼川がどっと流れ流れて
地球はくるまりました。
地球は沼になりました。
地球の大半は淡水になりました。
かつての大都市は水面下。
自由の女神はクマノミのイソギンチャク
サクラダファミリアはクラゲのファミリイが
東京タワーはもうてんでばらばら鯉のエサ
人はプランクトン、
もしくは藻屑になりまして
カモがしあわせになりました
カモの
いき
おだやかな古戦場のような野原で
おだやかでないため息をつく
つかれた息は蒸気になって
ごうと鳴る汽車の後についていく
汽車の中には人だかり
ぐうすか鼾をかくひと
わらうひと
窓にうつる風景をながめるひと
かなしんでいるひと
吐息はもう疲れてしまって
ふわりときえた
窓にすこしの
曇りあとをのこして
クソほどもない
こじ開け
開け広げ
這いつくばって
歌謡いに小石を投げる
ええいままよ
風呂敷の中にゃあなにごとも
食べ物なんて
クソほどもありゃあしねえ
頬を打ち
べそをかいて
のたうち回り
ブレイクダンスをしよる
ええいママよ
家の中にゃあなあんにも
愛する者なんて
クソほどもいりゃあしねえ
風来坊、世知辛い世界にて、快刀乱麻を断つか
わっはっは
俺は風の如く、韋駄天の如く、
人のあいだをぬいぬいと走るのだ
そんでそっと人様のポケットに手を入れて
ちょっとの愛と金を奪ってやるんだ
嫌な人間をやさしくぶん殴って
弱いやつにはビンタをくらわしてやる
やつらは総じて馬鹿なんだ
わっはっは
家には小さな箒とすみっこの埃があってな
他のものは全部捨てちまった
いらねえんだ
この埃は、俺の誇りだ、誇り高き埃だ。
こ