風来坊、世知辛い世界にて、快刀乱麻を断つか

わっはっは

俺は風の如く、韋駄天の如く、

人のあいだをぬいぬいと走るのだ

そんでそっと人様のポケットに手を入れて

ちょっとの愛と金を奪ってやるんだ

嫌な人間をやさしくぶん殴って

弱いやつにはビンタをくらわしてやる

やつらは総じて馬鹿なんだ

わっはっは

家には小さな箒とすみっこの埃があってな

他のものは全部捨てちまった

いらねえんだ

この埃は、俺の誇りだ、誇り高き埃だ。

こいつのためなら、俺はなんでもする

麻縄？火縄？規矩準縄？

おいおい、俺は一筋縄じゃいかんぜ

ゴルギアスだ、すぱっと一刀両断だ

俺の剣は、よく研がないが、

よく切れるんだ

男にも女にも、

笑顔をふりり振りまけば良い

ちょっと黒汚い、お歯黒を歯に塗りたくって

にっと歯を見せるように笑うんだ

唇から見える黒歯に人は尻込みする

しりまるだしだ

そんな間抜け顔を拝んでやる

なんと痛快な

酒を滝のように飲む呑む込める

その日あったことを忘れるくらいに

そして酔いどれよ、千鳥足で走れ

自分を風の吹くように感じるまで

ゴミの山に頭を突っ込めば上出来だ

うるさい？

五月蝿いのはお前らだ

馬鹿なのもお前らだ

１番の馬鹿は俺だ

辛いことは誰にでもあるだと？

わっはっは

走れ走れ趨れ奔れ笑え笑え笑えば

嘲笑、嬌笑、哄笑、呵々大笑、おっかあさん

目くそ鼻くそを笑って

最後に少しだけ泣け

苦しみなんてどこ吹く風よと

空元気に叫べば

わっはっは