時代の変化とともに漬物屋も変わる──京つけもの もり 森知史 × Gns【前編】
昔からの事業を行っていると、時代を反映して変わっていかなくてはならないタイミングがあると思います。とはいっても、変化に対して不安はありますよね。
Gns代表の渡邊と本記事の対談相手、京つけものもりの森知史さんは、元々は飲み仲間でしたが、ひょんな出来事がきっかけで仕事をする関係になりました。
森さんの京都で1962年に創業して今も大事にしていることを、DXに踏み出したきっかけとともに伺いました。
京つけもの もり について
──よろしくお願いします。それではさっそくですが、京つけものもりさんについて教えてください。
森:はい、お願いします。京つけもの森の取締役をしています森知史です。
創業62年目を迎える京つけものの製造と販売をしています。
会社の特徴としては、畑があることですね。京都府の亀岡市にあります。約6千坪の自社農場があります。(サッカー場約10面分)自社農園の野菜を漬けて、販売をするところまで一貫した工程があります。
今は日本人観光客向けのギフトの商売をメインに行っています。日本の人口減によってギフト需要が減ることがわかっているので、海外の方にもどうやったら漬物を広められるか模索中です。
──お2人の出会いは何がきっかけだったのですか?
渡邊:同級生の知り合いという繋がりで、同い年の飲み仲間でした。
森さんは家業の継承者としてのお話をいろいろしていたのですが、
自社に対する理解度の深さ
自分たちができること
今後やらなきゃいけないこと
を冷静に捉えていることが印象的でしたね。
会社や社員さんなど、守るものがありながらも進んでいく姿勢を見たときに、お手伝いできることはさせていただきたいなと思っていました。
森:まあ、成り行きで今があると言えばそうなのですが、継ぐからにはやるぞという想いがありますからね。いろいろ考えています。
時代とともに変化した「漬物」
──もりさんの漬物ってかわいいパッケージでギフト選びが楽しくなりそうですよね。
森:日本ではお漬物は必ず食卓に並んでいたところから、今では嗜好品に変化したので、美味しさはもちろん、たくさんの方が喜んでいただける見た目も意識しています。
うちは老舗ではなくて、京漬物の業界では最若手のお漬物屋さんですから、ちょっと変わったことをしているのかなぁと思います。
──今と昔では商品のラインナップも違いますか?
森:そうですね。全然違いますね。私も当時を知りませんが、昔ご飯のお供だけで販売をしていた時、3大漬物と言われる
千枚漬け
芝漬け
すぐき
この3つさえ売っていれば、1年中ごはんが食べられたそうです。
その頃は、千枚漬けでも1日に万を超えるような数量を作ってましたが、今ではもう万どころか桁が2つ違いますね。
いやぁ全然違いますね。何かしないといけないという気持ちがあります。
──その課題を感じていたところに、飲み仲間だったGnsの渡邊さんがITをしていることでさまざまな挑戦をされたんですよね。
Gnsが見つけた「ええやん」と森さんが見つけた「ええやん」
──一緒にやろうと火がついた瞬間はいつでしたか?
渡邊:一番最初は補助金枠でお手伝いさせていただきました。そして補助金枠のお仕事とは別で、新たにGnsとして創ったサービスでも現在はご一緒させていただいています。その新しいサービスは、森さんからいただいた課題を基に創ったサービスとなっています。
森:中小企業は情報システム部が設けられていないことが多いです。パソコンやデジタル関係で困ったことが出てきた場合、人力でどうにかするしかない。そんな課題がありまして、月にいくらかお金をいただいて会社に1時間くらい相談できるサービスがあったらきっと流行るのではと渡邊さんに提案しました。
まあ、実際には、言ったことを私は半年間くらい忘れていたんですけどね。
渡邊:で、とある展示会でたまたま森さんが来てくださったときに
「こんな面白い企画しているの!?」
「いやあなたが言ったから始めたんですけど!?」
という流れで月に1回お手伝いに行っています。
──すごいですね!これあったらいいなっていう声がすぐに反映されたんですね。
確かに、中小企業の方からしたらIT 専門の方を雇うことはハードルがありますよね。実際にスタートして変化はありますか?
森:そうですね。社内のスタッフに大人気ですね。
ITツールやパソコン、デジタル関係に興味を持ってもらえましたし、一部は効率良くなったと思います。
特に京都の企業や職人さんは 想像以上にITリテラシーがありません。でも、大手のIT企業さんとかは横文字を使った説明が多くて、専門用語を言われると、もうITやDXどころかパソコンを見たくない触れたくないになるんですよ。
Gnsさんにはこちらの知識量まで降りてきてもらったのでありがたかったです。
──その背景になるのは「お伝えしたのでできますよね?」ではなくて、今困っていることを解決するために何ができるだろうか、というGnsさんのスタンスがあったからだと思います。意識していたりするのですか?
渡邊:もともと、僕はIT畑にいたわけではなく、役者という別業種からエンジニアになるという経験を積んで今の会社をやっています。エンジニアの現場に入って横文字に苦労した経験があるからこそ、僕は横文字は一切使わないことを意識してます。
──そこから京つけもの もり さんとGnsの挑戦が始まったんですね!
後編では、実際のDXの内容ややってみての気付きを詳しく聞いていきます。こちらからどうぞ!
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〈インタビュー〉仲田 匡志(株式会社SOU)
〈撮影〉黒木 康太
〈ライティング〉神崎 千晶
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