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「好き!」の解体

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「たで食う虫も好き好き」とは本当なのでしょうか。人の好みはさまざまで、一概には言えないのでしょうか。「好き!」の解体ではこれらの疑問を追い風に、脳科学やプロダクトデザインにヒント…
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#01 人の好みはさまざま?

概要「好き!」の解体シリーズでは、「人は何をどうして好きか」について3 つの切り口から探っていきます。これは私がデザイナーとしてプロジェクトに関わるなかで、ユーザーと製品(プロダクトやサービス)の理想的な関係を構築するするにはどのようなデザインが適切なのかと、言わば「デザインのデザイン」について思索探求する中で出会った事柄を、反転させてユーザー目線から書き直したものです。 「たで食う虫も好き好き」とは本当なのでしょうか。人の好みはさまざまで、一概には言えないのでしょうか。こ

#02 木でなく森を見つめてみる

おさらい 前回の「人の好みはさまざま?」では、人が何をどうして好きかには、間違いなく個人差があること。そして人は理性ではなく感情で選んでいること。また感情は刹那的で移ろうものなので把握が難しく、独自性にズームインすると、主体と客体が同じになり壁にぶつかるという洞察を得ました。 人間性?それでは今度はズームアウトして、集合的な人間全体を眺めてみることにしましょう。そうすれば客観的に言える部分が出てくるはずです。木でなく森を見つめてみましょう。 たとえば想像してみてください。

#03 トカゲの世界観

おさらい前回の「木でなく森を見つめてみる」では、人が何をどうして好きかには、独自性にも依れば人間性にも依ること、そして個人にフォーカスするよりも広角レンズで人間全体を捉える方が糸口が見つかりそうだということが分かりました。 ここからは、時間軸も広げ、三位一体説の3つの脳をモデルに、私たちが進化の過程で受け継いできた特質や特性を検証しながら解体作業を進めていきます。 まずは3つの脳・レイヤーのおさらいです。実際の私たちの意思決定には3つが複雑に影響を与えながら進んでいきます

#04 こんにちは爬虫類脳

おさらい前回の「トカゲの世界観」では、爬虫類脳:直感レイヤーではすべてのものを良いか悪いか、もしくはその間か価値判断していること、そして進化の過程で食べ物・暖かさ・保護を与えてくれた状況や物を私たちは理屈抜きに好むことを確認しました。 もう一度リストに軽く目を通して記憶を新たにしたら、早速写真を見ていきましょう! ポジティブ・リスト 暖かく適度に明るく照らされている場所 温暖な気候 甘い味や匂い 彩度の高い(鮮やかな)色 心地よい音 シンプルなメロディーやリズム 調和のと

#05 群の中で育まれた脳

おさらい 前回の「こんにちは爬虫類脳」では、私たちは進化の過程で暖かさと保護を与えてくれたものに自動的に「良い・快い」という評価をくだし、ポジティブな気持ちになって近づきたいという欲求を抱くことを見てきました。 爬虫類脳で直感的に惹かれた次は、旧哺乳類脳の判断が入ってきます。旧哺乳類は製品の動作に反応し感情を生み出すレイヤーです。まずはこの脳の大まかな特徴をつかんで、詳しく見ていきましょう。 旧哺乳類脳:動作レイヤー 日々の行動や社会的な交流に大きく関わり、集団内での立場

#06 役割関門

おさらい 前回の「群れの中で育まれた脳 」では、哺乳類は爬虫類と違い、外界の変化により反応を変化させることができるためにコミュニケーションが成り立つこと。群れの中で育まれたこの旧哺乳類脳は、製品の動作に反応して、群れの他のメンバーに対してするようにパワーやステータスを読み取ったり従順なのか支配的なのかを感じ取ったりすること。そしてコミュニケーションが成立し会話が始まるには、製品がまずは役割・性能・ユーザビリティの3つの関門をくぐる必要があることを確認しました。 ここから3本

#07 性能関門

おさらい 前回の「役割関門 」では、役割に関する3本のケーススタディを見てきました。本来の役割を果たせない製品は赤信号。役割は果たせているが使用者の生活に溶け込めない製品は黄信号。使用者の期待を超えて新たな領域へ案内してくれるような製品はピカピカの青信号で関門をくぐっていきました。 第一の関門をクリアしたら、次は性能が問われます。つまり製品がどれだけうまく期待された役割を達成できるかが問題になります。 ただし一概に性能と言っても、性能だけを切り取って比較したときにはじきだ

#08 ユーザビリティ関門

おさらい前回の「性能関門 」では性能だけを切り取って比較したときにはじきだされる性能の高さが絶対的な「性能の高さ」に繋がるわけではなく、役割をいかにうまくこなすかという観点で微妙なニュアンスを帯びてくること。具体的には熟練度、ライフスタイル、価値観、使用の文脈が評価に影響を及ぼすことを見てきました。 さて、動作レベル最後の関門ユーザビリティまでやってきました! ここでは使いやすさ、つまり使い手からみたプロダクトの理解のしやすさや動かしやすさを見ていきます。 旧哺乳類脳:

#09 関門をくぐると

おさらいここまでの3回で動作レイヤーの3つの関門となる役割・性能・ユーザビリティをケーススタディを通して詳しく見てきました。行きたい目的地が役割だとすれば、性能はそこまで連れていってくれる乗り物、ユーザビリティは道中のコンディションでした。すべての関門をくぐった製品は、使用者との会話に足を踏み入れます。 旧哺乳類脳:動作レイヤー 日々の行動や社会的な交流に大きく関わり、集団内での立場や地位、受容や拒絶に対する反応を引き出す。このレイヤーで起こる反応も無意識の領域。Grazi

#10 支配的・従順な属性の効用

付録旧哺乳類脳:動作レベルのまとめとして、支配的な属性と従順な属性を上手く使うと、どんなことが達成できるのかご紹介したいと思います。 製品が支配的な属性を有していると、私たちの覚醒は高くなるとお話ししました。 覚醒のレベルが高くなると、タスク処理に対する私たちのエネルギーやモチベーションが高くなります。意識がそこに集まり、集中力が高まるからです。ただし高くなりすぎてはトンネル・ビジョン(視野狭窄)に陥り、目的達成が難しくなってしまいます。視野が狭くなり、直線思考にはまって