ビジネスルールvol.7 一流のビジネスパーソンとして、喪服の一枚くらい常備して! 急な喪の席、大人のための「喪服(ブラックフォーマル)選び」のポイント解説:『Precious』『Precious.jp』寄稿
※本記事は『Precious』10月号別冊付録(2016年)、『Precious.jp』に掲載された
日野江都子の寄稿記事からの転載です。
お祝い事は事前の準備期間がたっぷりありますが、クライシス(危機)は、突然やってくることを念頭に入れて備えること。これは大人の嗜みであり、礼儀です。まさか、急だからといって、ダークスーツで出席しても大丈夫だなんて思っていませんか? 黒は黒でも、私たちがビジネスで着るスーツやおしゃれで着る黒と、喪服の重厚なトーンは大きく異なります。日常とは場面をしっかり分けて。いいかげんな人という印象を与えないためにも、その場への細やかな配慮を意識しましょう。
「喪服で目立つ必要はありません! その場にふさわしいことが重要です」
喪服はそもそも控えめでいいのですが、時折、華やかなディテールのものを好む方がいらっしゃいます。喪の席では、ご自身を美しく見せることはプライオリティーの1位ではありません。あくまでも故人を厳かに見送ることが目的で、その環境の一部となれるふさわしい服装で参列することが大切です。素肌を出していいのは、基本、顔と手のみです。
大人のための喪服選び、6つのポイント
■1:Color(カラー)
喪服は、とにかく黒の深みに注意しましょう。善し悪しが明確に表れます。上写真のジャケットは、黒の染料を何度も重ねて染められているため、一般的な黒とは深みが違います。喪の席では、その違いが明らかに出てしまうので注意したいポイントです。
■2:Back(バック)
バックシルエットも大切なチェックポイント。なぜなら式の最中に、主に目に入るのは、前方の方の後ろ姿。上質でよく考えられたデザインの喪服は、見た目もディテールも繊細です。
■3:Bag(バッグ)
最低限必要な荷物だけが入るハンドバッグサイズがスマート。意外と見落としがちな金具も光る素材は絶対に避けて。靴同様、黒の布素材が理想的。
■4:Pearl(パール)
パールネックレスは、涙の象徴。粒のサイズは11mm径までに抑え、長さは42cmまでの一連タイプを。あこや、黒蝶のほかに、ジェット(流木が化石化したもの)も上品。
■5:Glove(グローブ)
ネイルの色や飾りがふさわしくない場合は、グローブがあると便利。うっすら透けるレースがスマートな選択。
■6:Shoes(シューズ)
布素材の黒パンプスが理想。光沢感のある素材や殺生を連想させる革靴は可能な限り避けましょう。意外と足元は目立ちます。
「ルールの多い装いこそ、大人の女性としての格がにじみ出る」
喪の席の持ち物にも細かいルールがあるのが日本文化の特徴です。たとえば、アクセサリーや靴、バッグひとつをとっても明確なルールがあります。急な場面でも、状況をわきまえた冷静な判断ができることは、人としての格や教養であり、堂々としたふるまいにも繋がります。さらには、いかなる場面にもしなやかに対応できる女性という印象に。これは喪の席に限ったことではありません。ドレスコードを重んじる、ハレの席にも当てはまることなのです。
ジャケット¥120,000・ワンピース¥95,000(ジュンアシダ〈junashida〉) ネックレス¥520,000・バッグ¥38,000(和光) 手袋¥11,000(和光〈コーネリアジェームス〉) 数珠¥38,000(ワンスアポンアタイム青山店〈ハッシュ〉) 靴¥16,900(南青山レヴィケーショップ〈ロッシーニ〉)