「男の身だしなみ」入門 第1回 シャツ編:『THE21』寄稿
※本記事は『THE21』 6月号(2015年)に掲載された日野江都子の寄稿記事からの転載です。
シャツの着方でビジネス力がわかる!?
評価に直結しているとはいえ、ビジネスツールであるスーツやシャツの正しい装い方を理解しているビジネスマンは少ない。そこで本新連載では、必須ルールをご紹介。自分の魅せ方を学んでいく。
日本人は「大き目」を選びがち
シャツ、それはビジネスマンが毎日当たり前のように着用するもの。その選び方や装い方に、あなたの仕事に対する姿勢や能力が現れているのをご存知でしょうか。象徴的なのは、自分を客観視する能力です。というのも、シャツは最も身体に近く触れるため、シルエットを表わしやすく、適切なサイズを選ぶには、自分の体型を客観的に把握する能力が欠かせないのです。
それを裏付けるかのように、私がニューヨークで出会ったビジネスマンは次のように語っていました。"Because I can be better" 「なぜなら、(このシャツを着ると)自分がもっと良くなれるから」。ただのおしゃれでも、仕事で仕方なく着ているのでもありません。自分をより良く見せるツールとしてシャツを理解し、活用する人の言葉でした。こうした装いが、世界共通の非言語コミュニケーションツールとして高く評価されます。
しかし、ニューヨーク的なNG例も。体を鍛えて自分をメンテナンスする嗜みを持つニューヨーカーには、自分の体を誇示すべく、ピチピチなシャツを着用する方もいらっしゃいます。
一方、日本のビジネスマンはニューヨークと正反対で、大きいシャツを選びがち。動きやすさ、着ていて疲れないことを重視しているようです。より大きいサイズを選んだり、息苦しいからと一番上のボタンを留めず、ネクタイを締め上げてごまかす方を多く目にします。
これでは有能な方も、「残念な人」にしか見えません。ビジネスに必要なのはオシャレではなく、仕事を任せられる「きちんと感」。では、シャツを選ぶ最低限のルールを以下、ご紹介します。
正しい装いの例
まずは、上の正しい装いのチェックポイントを細かく見ていきましょう
襟は、後ろから見たときに、ジャケットからシャツが1.5㎝ほど出ている状態がベスト
胴まわりに生地がたまっていない
袖は、スーツのジャケットを着た際、袖口から1.5㎝ほど出ている状態がベスト
袖口、襟回りは黄ばんでいる、もしくは擦り切れているのはNG
これは恥ずかしい!NG集
シャツ選びで最も大切なのはサイズ感。つまり「ジャストフィット」であること。その中でも必ず押えるべきポイントは「首回りのサイズ」と「袖の長さ」です。
もし、わからない場合はお店で試着し、自分のサイズを把握することです。男性は基本的に試着が嫌い。それに試着したら買わされてしまうと思われるでしょう。しかし、そんなことはありません。特に良い百貨店では、試着専用のシャツも用意されていますので、自分を知る経験の一つとしてまずは試着をお勧めします。
また、購入の際に次の二点は避けるべきポイント。一点目は体型の変化を見越してシャツを買わないこと。二点目は「ネクタイを外しても襟元がキマる」ような襟元がシンプルでない物は選ばないこと。クールビズの季節が年の半分を占めるようになった昨今ですが、まずはノータイ時でもシンプル・イズ・ザ・ベストです。
ダボダボな例
袖のしわが手首あたりにたまっている状態はシャツが大きすぎる証拠。袖丈は、机に手をついたとき、手首外側の飛び出した骨が、ちょうど全部かぶるくらいの長さが適切。
胴回りに生地がたまっているのは大きすぎる証拠。胴回りの実寸サイズに対して+12~十18㎝のゆとりが最適なサイズとなる。
第1ボタンを締めても、首回りに、余裕がありすぎる状態。首回りの実寸サイズに、2~4㎝(指2本分)足したサイズが最適なサイズ。2㎝でジャストサイズ、4㎝あると、ゆったりしたサイズとなる。
キツキツな例
袖が短すぎるため、手首の骨が丸見えの状態。これもまた、間違い。
襟元がキツイ状態。ボタンをはずして、締めたネクタイでごまかすのはNG。
シャツの色は正統派の白と清潔感を感じさせる水色。まずはスタンダードな無地から揃えていきましょう。ストライプやチェックなどの柄ものはその後で。
写真撮影/まるやゆういち