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基山瑣末のその他諸々

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短編でも駄文でもないものを雑多にまとめたよ。
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#詩

【詩】崖下の先

【詩】崖下の先

突き放される感覚が欲しい
崖際で背を押される
それではつまらない

刷毛で以て一息に塗り上げた
濃紺の夜空
その真中へ仄黄色く蟠る月
陳腐な感傷的風景
そこへ風のふっと流れ込んだかと思うと
夜幕の端から竜が躍り出た
ごう
と吠え嘶く
私の鼓膜は粉々に砕け
全くの森閑に感じる
空気の震え 肌の痺れ
ただその一声の
勇猛たる残滓に酔い溺れる

秋の夜長の風物は
押し並べて物悲しい
まさしく愁い
そよぐ

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【詩】それだけ

【詩】それだけ

残念だなあ
お前さんも
引くに引けないってツラをしてる
かなぐり捨てることも
抛つことも
全てをほっぽり出して
なくなることもできやしない

皆そう言う
目が言ってる
ツラが言ってる

誤魔化すように
繕うように
目を逸らすように
覆い隠すように繰り返す
その大義は   理由は
はてさてそんなに頼れるもんかい
この先の全てそいつに委せて縋って
なんとかなるほど丈夫なもんかい
いつか折れるんじゃない

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【詩】繰り言

【詩】繰り言

何をしているのだろう
何をしていたのだろうと
振り返っては惑うばかりです
紙の上に結果だけがあって
その言葉を生んだ私は
先程の私で
それを読んで狼狽えているのが
今の私
川辺で石を拾っても
水の流れの一部始終は察せない
それと同じ
こんなもので何が伝わるというのか
愚昧も極まれば冷笑を買って終い

真ん中の大事な部分を撫で透かして
表層だけを削ぎ重ねた
駄言の継ぎ接ぎミルフィーユ

つまらない

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【詩】スミメガワによろしく

【詩】スミメガワによろしく

いつも通りに翻っている
脆くなったこと
たいそう阻むこと
そういうことにかかずらって
進取を謳う
それを拝みに来たというのに

軟膏をもらっていいいかな
とびきり辛いやつ
舌に染みて
全く蟠るやつ

針の穴に
注連縄を通した気がする
放埒至極に存じて挙句
地の利を失った感覚
それだけ残ってる

「コーヒーを飲んで
苦さを噛み締めて
過去に追憶を馳せ
感傷に浸った」
やめとけ
その先には何もない

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【詩】ムサシグン

【詩】ムサシグン

星が帳に貼り付いて
ちかちかしている
砂浜へ散らばるガラス片と
そうも違うまい
ムサシグンへ行こう
手の届くか否かの
大切を晒しに

ロールケーキは
クリームをケーキへ押し込んだのか
ケーキをクリームの周りへ巻いたのか
ムサシグンには分かるまい
あいつは飽きあぐねている
押し並べて倦んでいる

絵を見た
写真の方が上手いと
ナナメを衒った
視界がギュッと遠のいて
洋々とムサシグンで溢れた

ムサシ

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【詩】夏の眠り

【詩】夏の眠り

ぼうッと
真っ暗な中へ点を打つ
蚊取線香を蝕む灯

のたり   くらり   ふわり
寝つけず   うねる
煙のように
あるいは
煙を浴びた蚊の
眩暈に喘ぐように

渦巻の
灰に尽きた分だけ
いたずらに
時間をとろとろと
ふやかしている

日が昇り
火が消え
陽が射す
いよいよ微睡める頃に

這う
撫でる
からかう
羽音