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【詩】繰り言

何をしているのだろう
何をしていたのだろうと
振り返っては惑うばかりです
紙の上に結果だけがあって
その言葉を生んだ私は
先程の私で
それを読んで狼狽えているのが
今の私
川辺で石を拾っても
水の流れの一部始終は察せない
それと同じ
こんなもので何が伝わるというのか
愚昧も極まれば冷笑を買ってしま

真ん中の大事な部分を撫で透かして
表層だけを削ぎ重ねた
駄言の継ぎ接ぎミルフィーユ

つまらない
くだらない
酔えない
心底から
自己陶酔に没頭できず
妄りに耽ることもないので
どうにも煮えきらず
要領を得ず
精彩を欠いています

通ぶった評論家モドキが隣にいて
私の人生に副音声をつけている
そいつの意地がすこぶる悪いので
私の熱中することを許さず
ひたすらに語るのです
そいつの講釈ご高説を
うんざりするほど浴びて分かったのですが
意匠を凝らした幾千言よりも
想いのこもった一言の方が
よっぽど雄弁なのだろうと思います

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