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人間と恋愛と本と

こんにちは、硝子です。今回からアウトプットを始めます。拙い文章になりますが、お忙しい毎日のちょっとした休憩に貢献出来れば幸いです。

さがしもの | 角田光代

記念すべき記事化1冊目となります。こちらの本は、配信アプリSpoonのリスナーさんに勧められ、古本屋で購入しました。同様に計3冊ほど購入し、他の本は積ん読してあります。時間が不足しているわけではなく、他の本にうつつを抜かせばこの記事を書き終えられないと考えているためです。

全体を通して

読み終えて大きく感じたのは、予想よりも恋愛的な要素を主体としていることです。あらすじの内容はベースが「家族」であったので、少しスカされたような気分で読み進めました。
以下、あらすじ該当部分(病床に伏す祖母から孫が思い出の本を探すように頼まれる場面)

「あんたがその本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」

本書174ぺージ

ただし、ここでいう恋愛的要素は単純な「恋愛+本」ではなく、まるで複雑な恋愛要素と不可思議な本要素を掛け合わせた"積"のようでした。またこうした本との様々な関わり方の中から、著者である角田さんの価値観が散りばめられているようにも感じられました。

挙げられるパターンとして、

  1. 恋愛要素のない本との物語

  2. 主人公の持つ恋愛と本との物語

  3. 主人公の周りにある恋愛と本との物語

という3つに分けられます。そしてここには純愛なる物語のみではなく、大人のダークな性にまつわる話も入ってきており、硝子個人は異なる表現の仕方もあったのではないかという感想を抱きました。この記事を書いている中で思いましたが、それをただのコイバナではなく性的な内容に持っていった理由や、そこで伝えたいものがあったのでしょうか。

引き出しの奥

本書は、ショートストーリーが複数織り込まれているのでその中のひとつについて特筆します。それが、「引き出しの奥」です。
真面目に生きてきた女子が大学への入学を境に異性関係がだらしなくなってしまい、周りからもそのような評価を受けてしまうが、本との関わりを経て純粋な恋愛に着地するという内容でした。

もちろん、僕の持つ価値観で判断を行えば用いた表現「だらしなくなる」という言葉にも基づいて、マイナスな部分を持っていた主人公が恋愛に気づいていくという物語でしかないですが、世の中にはこの「異性関係にだらしない」ことを"悪いこと"だと捉えることのない価値観をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

こうした部分を考慮して文章に起こしますが、僕がしっくり来ていないのがこの事象を「綺麗事」のようにまとめている部分ですね。この「だらしない」を過去にし、「純粋な恋愛」に移行する。今までは体の関係でさえ当たり前であったのに、新しく出会った男性とは手をつなぐことですら緊張してしまう。そして物語の終わりでその男性との今後を連想させる。

この記事はきっと硝子の個人的な感想を殴り書くことで、固有の価値が生まれるはずで雑にアウトプットを行いますが、どうしても「不良が捨て猫をなでていた」ように見えてしまい、「終わりよければすべてよし」に強引に紐づけているように受け取ってしまえます。

それならどういう物語なら良かったのかといえば、当ストーリーは特別な1冊の本を見つけ出す物語であったため、見つけ出して、あるいは見つけ出さなくても、こういう生活はやめよう、というような結末であるほうが現実味とフィクションの良い塩梅だったのではないでしょうか。
言語化に苦戦していますが、僕は中途半端な現実感と中途半端なフィクション感に違和感を感じているのだと思います。

この「引き出しの奥」というストーリーが上記のような引っ掛かりと言及がしやすいというだけであって、他の物語では感動したものももちろんありましたし、今後の僕の本に対する価値観を変えるものもありました。
ぜひこれを読んでくださっているあなたも一度読んでみてはいかがでしょうか。きっと僕とは違った感想を抱くことになるでしょう。

おわりに

当記事冒頭にて、「ご紹介を受けた本」と申し上げましたが、僕は実のところ【さがしもの】というタイトルを覚えていないまま古本屋に足を運んでいました。書店や古本屋が好きというのもあり、見かければ立ち寄る回数も少なくなく、今回も例に漏れませんでした。「あー、この前なんだか紹介してもらったなぁ、どれだったかな。」と商品棚を眺めていたときに「角田光代」さんの字面にピンときてから、どのタイトルだったかわからず悩みました。しかし数分悩んでも出てこないことから、その"もや"のかかった記憶からこの「さがしもの」を手に取ったのです。
こうしたことから少し不思議なご縁を感じています。人と本はこのようにして繋がっていくのかもしれませんね。
今後もひょんなことから出会った本は蔑ろにすることなく、向き合って吸収し、同様に感想をアウトプットできればよいと考えております。

今後も当記事のようにアウトプットしていく予定ですので、やることがなかったり、もしくは休憩といったタイミングでお目を通していただけますと嬉しいです。

-硝子-

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