【読書記】スポーツとの距離感(ドイツの学校にはなぜ『部活』がないのか)
個人的にドイツの教育について調べたいなと思っている時に、偶然目にしたのがこの本だった。
高松平蔵氏著 ドイツの学校にはなぜ『部活』がないのか。
本書によると、なんでも、ドイツの学校は基本半日モデルであり、学校の先生は「教科」を教えることに特化した存在で、日本のように「学業以外の子供の成長にも責任を負うもの」とはされていないそうだ。
今、多くの教員の方々は、業務過多と、そして課外活動までフォローしなければならない日常に疲弊されていることだろう。
ドイツでは教師は専門職であり、子供がスポーツと触れ合うのは学校外、地縁というわけでもない開かれた社会に築かれたスポーツクラブにおいてなのだという。
そこでは構造的に〈体育会系〉的なモノは廃され、チームの構成員は大人も子供も、ホビーの一環としてスポーツを楽しむそうだ。
著者は指摘している。
ドイツと比較すると日本の学校じたいがタコツボ型の構造です。スポーツも部活というかたちで、タコツボの中に収まっている形です。これは会社で働く大人も同じだと思います。
私は身体を動かすことが苦手で、運動神経ゼロのこどもであったので、学校の体育が死ぬほど苦痛だった。部活も馴染めなかった。だって、強いやつしか誉められないんだもん。
2年前の大河ドラマ『いだてん』をきっかけに、
「スポーツも、なんかいいじゃん?」
という気持ちになりはしたが、あの頃の嫌な気分や嫌な思い出はそうそう消えるものではない。
そんなことを思い出しながらこの本で、ドイツの中でのスポーツとそこで暮らす人との距離について読むと、
「なんだかいいなあ」
と、とても思えた。
日本はドイツじゃないし、日本人はドイツ人になれないかもしれない。
だが、「何が違うのか」を見据えた上で、システムや、それを支える設計思想を知り、うまく取り入れていけば、私が決して味わえなかった〈たのしいスポーツとの距離感〉を味わえる日本にもなってゆくのかもしれない。
余談だが、ドイツのスポーツクラブでは体操もスポーツのひとつとされているそうだ。(日本でもそうだと思うんだけれども、全然重視されてたような記憶がない。誰にも比べられない環境なら、学校の体操もあんなに嫌じゃなかったのかなあ。)
今日は5分だけ、ストレッチでもしてみよっかな……と思うなどする夕刻である。
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