Here's looking at you, kid.(君の瞳に乾杯🍻)
☆弟の結婚式にて
ウチの家系はどうも正式な結婚披露宴というものが嫌いらしく、私も弟もちゃんとした披露宴はやっていない。
今となっては昔のことだが、弟が結婚するときに、正式な披露宴をやらない代わりに、お互いの親族が集まって会食しようということになったのだが、あろうことか私は弟の一世一代の大事な会食に遅刻をしてしまった。
言い訳をすると、最寄り駅に似た名前の料亭が複数あって、間違えて別のほうに行ってしまった次第である。
30分くらい遅刻したであろうか、しかしみんな、まだ食事を開始せず待っていてくれて余計に申し訳なかった。
さて、無事に会場に着けたことですっかり油断していたら、なんと乾杯の挨拶を拝命してしまった。遅れてやってきた姉に大事な挨拶を事前相談なく頼んでくる弟もなかなか大胆不敵なヤツである。
はっきり言って無茶ぶりもいいところなわけだが、これ以上失態を重ねたら一生口を聞いてくれなくなるかもしれないので、後から考えれば実は重要な場面を迎えていたわけである。以下、一世一代のアドリブスピーチをなるべく正確に再現してみたい。
☆スピーチ
○○さん、△△(弟)、ご結婚おめでとうございます。
さて、人生は山あり谷あり。結婚生活というものは、思いもかけないできごとが起こることもあるわけでございまして、例えば大事な会食で間違えて違う店に行ってしまうことだってあるかもしれません。
そんなときに、「アンタ、何やってるのよ、キー!」となるのか、「いやあ、間違えちゃったねえ、ハハハ…」とかえって温かい関係になれるのか、それは、若い当事者の2人しだい、ではありますが、それと同じくらい、今ここにいる私たちがどれだけサポートできるか、も重要ではないかと思うのです。
ですから今日は、両家の固めの盃ということで、大いに親交と絆を深める機会にしていただければ幸甚でございます。
では、グラスをお持ちください。
若い2人と、この場にいるすべての方のご多幸、ご健康を祈念致しまして…乾杯!🍻
☆日本がずっと平和なまま続いていくとは限らない
自分の遅刻を誤魔化しただけ、という見解もあるかもしれないが、離婚歴がある私からしたら、これは本当に切実に、弟…だけでなくこれから結婚しようとするすべての方々とその周辺の方々に伝えたい内容だった。
さて、気軽に人と逢い、盃を酌み交わすことがとても困難となってしまった。今までとまったく同じ生活はおそらくもう戻っては来ないだろう。
日本がずっと平和なまま続いていくとは限らない。
遠くで起きてる戦争はいつ終わるのかもわからない。
せめて今好きな人同士くらいは、ずっとお互いを理解し合い許し合い生きていってほしいと願う。
西野カナではないが、ガラじゃない…と言わず、カッコ良くエスコートしてほしい。
名画カサブランカのように。
「Here's looking at you, kid.(君の瞳に乾杯🍻)」
いつまでも、半分笑って半分真顔でそう言える関係であってほしい。
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