報道ステーションCM炎上🔥謝罪文も酷い😱すべての問題点を徹底解説!
☆「報道ステーション」のウェブCMが炎上
演じている女優さんに罪がないことは百も承知ですが、何回見ても腹立たしい💢「報道ステーション」が公式YouTubeページやTwitterで公開していたウェブCMの件です。
当該CMは既に削除されていますが、削除すればなかったことにできると思ったら大間違いであり、これから説明していくようにこの件には看過し難い問題点が山盛りです。ぜひ最後までおつきあいください。
🐣<併せて読みたい>🐣
当該CM動画(30秒バージョン)と、全文書き起こし、そしてテレビ朝日から出された謝罪文を載せておきます。
🐣<動画>🐣
🐣<全文書き起こし(30秒バージョン)>🐣
※冒頭、「これは報道ステーションのCMです。」というテロップが出る。
「ただいま。なんかリモートに慣れちゃってたらさ、久々に会社に行ったら、ちょっと変な感じしちゃった」
「会社の先輩、産休あけて赤ちゃん連れてきてたんだけど、もうすっごいかわいくって。どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかって今、スローガン的に掲げてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」
「化粧水買っちゃったの。もうすっごいいいやつ。にしてもちょっと消費税高くなったよね。でも国の借金って減ってないよね?」
「あ、9時54分!ちょっとニュース見ていい?」
※最後に女性の顔の上に大きく「こいつ報ステみてるな」というテロップが入る。
🐣<全文書き起こし(15秒バージョン)>🐣
※冒頭と最後のテロップは30秒バージョンと共通です。
「ただいま。いい化粧水買っちゃった。消費税は高くなったけど、今のうちにお肌に手かけておけば裏切らないじゃん、って思って。あ、9時54分!ちょっとニュース見ていい?」
🐣<謝罪文>🐣 ※『報道ステーション』公式Twitterによる謝罪声明。強調はアヤによる。
今回のWebCMは、幅広い世代の皆様に番組を身近に感じていただきたいという意図で制作しました。ジェンダーの問題については、世界的に見ても立ち遅れが指摘される中、議論を超えて実践していく時代にあるという考えをお伝えしようとしたものでしたが、その意図をきちんとお伝えすることができませんでした。不快な思いをされた方がいらしたことを重く受け止め、お詫びするとともに、このWebCMは取り下げさせていただきます
☆日本で「ジェンダー平等」が実現できたことはタダの一度もない
まず指摘しておきたいのは、このCMからは、さも「日本でジェンダー平等が達成できている」ことを前提にメッセージを発したいという意図を読み取れますが、そもそもその前提自体に誤りがあるという事実です。
言うのも今さらですが念のため復習しておきますと、
✅日本は、ジェンダー・ギャップ指数が世界153か国中121位(2020年)。
✅東大生は20%未満、衆議院議員は9.9%(世界163位)しか女性はいない。企業の管理職でも女性は少ない。
✅医学部入試で、女の子というだけで180点満点のうち80点も減点していた酷い大学の存在も明らかになっている。
✅夫婦別姓すら認められず、慣習的には女性が姓を変えないと法律婚ができない状態が続いている。
✅東京五輪では森喜朗や佐々木宏らにより、組織的に女性が排除された疑いが報じられている。
などなど、日本のジェンダーに関する酷い状況には枚挙に暇がありません。
CM内容にもツッコミを入れておくと、
✅子連れで出勤できるような保育施設・サービスを設けている企業は日本の現状ではまだまだほんの一握りであるのに、それがさも一般的になったかのように描かれている。
✅産休があけた直後に「育休」が取得できず出勤させられている時点でおかしい。
✅日本政府も与党・自民党も、「ジェンダー平等」をスローガンとして掲げることすらしていない。※後述
というわけで、仮に会社に赤ちゃんを連れて出勤できる環境が調ったとしても、そのこと一つを以ってして「ジェンダー平等のスローガンは時代遅れ」と言えるような状況に我が国がないことは明らかです。女性の家事・育児過重負担の問題や待機児童の問題、強制的夫婦同姓の問題などジェンダーの課題は山積しています。このCMは適切な部分を見い出し難い酷い出来栄えと言わざるを得ません。
☆声を上げる人を嘲笑する表現・内容は差別そのものだ
とりわけ、
✅「どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかってスローガン的に掲げてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」
と笑いながら言っている点が極めて許し難いです。
これも私の記事では耳タコかもしれませんが、日本ではほんの74年前までは女性には参政権すらなかったのであり、今の日本で女性が投票できるのは先人フェミニスト達の尋常でない犠牲を伴う努力のおかげです。
🐣<併せて読みたい>🐣
そういう歴史的な努力、声を上げようとしてきた、あるいは現在進行形で声を上げている人を嘲笑するような表現・内容に私は抑えきれない怒りを覚えます。現状存在している差別の解消に懸命に取り組む人をあざ笑うことは、差別・加害行為そのものです。断じて許すことはできません。
この動画を一ネトウヨが作ったのではなく、よりにもよって報道番組のCMとして作られたという事実に絶望します。
だいたい、「ジェンダー平等」を唱えることの何が「時代遅れ」だというのでしょうか。
本邦において、「ジェンダー平等」はただの一度も実現したことなどない、極めて先進的な理念です。
先進的なヨーロッパ諸国においても、毎日頑張って意識的に「ジェンダー平等」など多様性の確保に努めているのであって、この地球上には「ジェンダー平等」をスローガンに掲げることが時代遅れとなった場所などまだ存在しません。
SDGsの項目にも「ジェンダー平等を実現しよう」があります。世界規模で現在進行形の問題に「時代遅れ」などあり得ません。
☆根底にある女性蔑視・若者蔑視
30秒バージョンと15秒バージョンともに「化粧水と消費税」というキーワードが出てきます。とりわけ15秒バージョンでは、わずか15秒しかない中でよりによって「お肌に手かけておけば裏切らない」とまで言わせています。
これは典型的な「ルッキズム」(外見至上主義)の発露であるし、「化粧水やお肌のお手入れを引き合いに出さなければ消費税にも関心を持たない」と若い女性をバカにした表現にも感じられます。最後に出てくる「こいつ報ステみてるな」という上から目線なテロップがそのことに追い打ちをかけています。まるでフツーの若い女性はニュースなんか見ないということを前提にしているかのようです。
「幅広い世代の皆様に番組を身近に感じていただきたいという意図で制作」した結果が化粧水とは、あまりにも視聴者をバカにしているのではないでしょうか。
※なお、消費税と国の借金を結びつけようとしている点も看過し難いのですが、この記事ではジェンダーに絞って話をします。この点については例えばこちらの記事などをご覧ください。
☆ジェンダー・バックラッシュ
ここまで述べてきたように、この動画は「ジェンダー平等は既に達成されている」という誤った認識に立った上で、若い女性を完全に見下して、挙げ句の果てには明らかに頭の悪い旧態依然なオッサン目線のセリフを若い女性の口から言わせているという、グロテスク極まるものです。
言い換えれば、「若い世代は、女性は『差別なんてない』って言ってますよ」という構図を作出することで、「女性の活躍は進んでいる。もう女性差別はない。」という誤ったメッセージを意図的に拡散しジェンダー平等を求める運動を否定しようとするバックラッシュであるとみることができます。
🐣<用語解説>🐣
バックラッシュ…ある流れや運動に対する「反動」・「揺り戻し」。とりわけ男女平等や男女共同参画などを求める流れに反対する運動や勢力に対して用いられる場合が多く、ジェンダーフリーに対して「ジェンダー・バックラッシュ」と言われることもある。
日本では1990年代頃から「日本会議」や「神道政治連盟」などの団体がジェンダーフリーや性教育の推進、及び選択的夫婦別姓制度の導入などに対する反対運動を行うようになり、2005年には安倍晋三が座長、山谷えり子が事務局長を務めた「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」が発足、選択的夫婦別姓、男女共同参画条例、性教育、男女混合名簿などに異議を唱えたことは良く知られている。
ちなみに菅義偉政権における現在の閣僚21人のうち15人が「日本会議」のメンバーである。閣僚の多くを「日本会議」メンバーが占める傾向は2014年、安倍第3次内閣のときから続いているという。副首相の麻生太郎は日本会議の特別顧問を務めている。
社会学者の菊地夏野・名古屋市立大学准教授の著書『日本のポストフェミニズム 「女子力」とネオリベラリズム』(大月書店)は、
✅政府のジェンダー政策が「性差別の是正」ではなく「男女共同参画」であるように、法律や政策において「性差別の存在」を必ずしも認めておらず、マスメディアが「女性の活躍」をもって「差別はほとんど解消された」というイメージを後押ししている
ことを指摘しています。
今回の報ステCM動画はまさに、露骨に性差別の実態を無視して反動を煽ることで是正を求める声を潰そうとする内容になっていることを私もこの記事で指摘しておきたいと思います。
☆謝罪声明も酷い内容!
ここでもう一度、テレ朝が出した謝罪声明をご覧ください。
あのCM内容で「不快な思い」をしないと思っていること自体が異常で、「受け手の感じ方の問題」に矮小化しようとしているところは、自民党の「誤解を与えて申し訳ない」式の謝罪と大差なくますます不愉快になります。
✅「ジェンダーの問題については、世界的に見ても立ち遅れが指摘される中、議論を超えて実践していく時代にあるという考えをお伝えしようとした」
などと釈明していますが、ジェンダーの問題に限らずたとえ実践がどのような段階にあったとしても議論は常に続けることが重要です。
加えてジェンダー特有な言及をするならば、報道機関がこのように「議論やスローガンはもう必要ない」と考えていることは極めて深刻です。そのような態度こそが、森喜朗の「女を会議に参加させると話が長くなる」であるとか、男性メンバーだけで選択的夫婦別姓制度を議論するワーキングチーム(WT)を設置し、女性議員を排除したことについて言うに事欠いて「ニュートラル」などと胸を張る下村博文(自民党政調会長)を生んでいるのです。
もう一つ、この謝罪文が取って付けたような言い訳としか受け取れない理由があって、このCMはYouTube動画ではコメントオフ、Twitterではリプができない設定になっていたのです。つまり、批判が出ることを最初から想定し、問題だとわかっていた上で敢えて公開した疑いが拭えないのです。
昨夜の報道ステーションにおいて、このCMの件にまったく言及がなく謝罪もなかったことも極めて不誠実で、ホントはまったく悪いと思っていないし反省する気もないのではないかと勘繰ってしまいます。
☆偏向報道
だいぶ長くなっています🙇♀️最後に、「偏向報道」の観点から指摘させてください。
「ジェンダー平等」のスローガンを掲げているのは野党だけで、とりわけ社民党と日本共産党の取り組みが活発です。最近では立憲民主党の枝野幸男代表も選択的夫婦別姓についてかなり前向きなコメントを出しています。
ですから、このような状況下で「ジェンダー平等をスローガン的に掲げる政治家は時代遅れ」であると報道機関が発信することは、必然的に自公政権を擁護し野党を批判することに結びつきます。これは、放送事業者に「政治的に公平であること」を求める放送法4条2号の規定に抵触する疑いがあります。
それでなくても平素から、メディアには以下のような偏向報道が見られ問題だと私は感じています。
✅麻生太郎の記者恫喝発言は「麻生節」と擁護されるが、蓮舫議員や福島みずほ代表が鋭い質問で閣僚を追い込むと「蓮舫節」「みずほ節」と称賛されることはなく「やりすぎ」「言い方が失礼」などと謂れのない批判を受ける。
✅菅義偉首相や閣僚の答弁は「〇〇に反論」と表現されるのに、野党議員の発言は「野党は反発」と書かれる。「反論」と「反発」では受ける印象が大きく変わってくる。
✅デジタル改革関連法案など政府提出の法案に尋常でない数のミスがあったために国会審議ができない前代未聞の事態となっている問題について「野党の審議拒否」とだけ報じ、事の本質を取り上げない。
☆まとめ 差別に無自覚でいることこそ「時代遅れ」
🍎日本で「ジェンダー平等」が実現できたことはタダの一度もなく、この地球上には「ジェンダー平等」をスローガンに掲げることが時代遅れとなった場所は現時点で存在しない。
🍎現状存在している差別の解消に懸命に取り組む人をあざ笑うことは、差別・加害行為そのものであり断じて許すことはできない。
🍎CM制作の根底には「ルッキズム」(外見至上主義)と若い女性への蔑視が強く感じられる。
🍎報道機関が政府と一体になって「性差別の存在」をひた隠し、「女性の活躍」を強調して「差別はほとんど解消された」という誤ったイメージを発信することはジェンダー・バックラッシュそのものであり、悪質極まる。
🍎報道機関がジェンダーに関して「議論やスローガンはもう必要ない」と考えていることは、「女は話が長い」「女性を会議のメンバーから排除することがニュートラル」などとする自民党の姿勢と重なるため即時の是正が求められる。
🍎「ジェンダー平等をスローガン的に掲げる政治家は時代遅れ」であると報道機関が発信することは、必然的に自公政権を擁護し野党を批判することに結びつき、放送事業者に「政治的に公平であること」を求める放送法4条2号の規定に抵触する疑いがある。
🍎「麻生節」「野党は反発」「野党が審議拒否」などの表現に見られる偏向報道を報道機関は自覚し是正するべきである。
2兆歩譲ってできる限り好意的に今回の現象を解釈するならば、あるいはCM制作者やこのCMにゴーサインを出したテレ朝には悪気はなかったのかもしれません。女の子にはいつもニコニコ笑顔でいてほしい、ジェンダー平等のような難しいことを深刻に考えることなんかしないで、美容のことや赤ちゃんのかわいさのことだけ考えて話していてほしい、単純にそう思っていただけかもしれません。
しかしそれは森喜朗や佐々木宏にしても同じことであり、悪気がなくナチュラルに女性蔑視をしてしまうこと、しかも自らが女性蔑視をしていることに無自覚であることはより罪が重いのです。報道機関がそのような「時代遅れ」な感性でいることは到底容認できないのです。私たち一人ひとりは懸命に「無意識」を意識し、「無自覚」を自覚し、考え方を改める努力を続けなければなりません。
それはある意味でとても苦しいことです。年輩の方ほどそうかもしれません。これまでの自分の価値観を否定して成長することには辛さを伴います。人生の嫌な部分を見ないようにして、「日本に差別なんかない」と思い込んで美容のことだけ考えているほうがあなたは楽に生きられるかもしれません。(美容を考えること自体を悪いとは言ってないので念のため)
ですが、そのような「見て見ぬフリをする」「今だけ自分だけ」の積み重ねが今日の日本の惨状を作り出しました。自公政権を長らく存続させてきました。あなたが楽をすることは、あなたの大切なお子さんやお孫さん、将来世代に生きにくい世の中を遺すということです。それでもあなたは思考停止を続けるのでしょうか。
自己改革を進めるためにも、メンバーやトップの女性比率を高めることは極めて重要です。民放、新聞、出版などマスメディア各社の労働組合でつくる連合会の発表によると、在京テレビ局では女性従業員の割合は24.2%、課長級以上の割合は15.1%に留まり、役員・局長の女性比率は0もしくは非常に低く、コンテンツ制作部門(報道、制作、情報制作)の局長には女性はひとりもいなかったそうです。このような背景の下で件(くだん)のCMは制作され、誰にも止められずに公開されてしまいました。
長文を最後までお読みいただき、真にありがとうございました。私たちは「時代遅れ」などの揶揄に臆することなく、愚直に声を上げ続けることを改めてここに宣言したいと思います。今後もがんばりますので、励ましのスキ・コメント・フォロー・サポート・おススメ・記事の拡散などしていただけますとめっちゃ嬉しいです。フォローは100%返します。今後とも有益な情報発信に努めますので応援よろしくお願いします🙇♀️またねー!💕
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☆3/26追記
怒りが収まらず報道ステーションに抗議のメールをしたので全文公開しました。