石川優実さん完全勝訴|弁護士業界にはびこる女性蔑視にモノ申す!
☆石川優実さん完全勝訴
職場でヒールやパンプスを強制することに声を上げた「#KuToo 運動」を立ち上げた石川優実さん。
その著書、『KuToo (クートゥー): 靴から考える本気のフェミニズム』内でのツイートの引用が著作権法に違反しているなどとして、ツイートを引用されたとする匿名アカウントの主(原告。以下必要がある場合には「K氏」と記載)が出版社の現代書館と石川優実さんを相手取り、出版差し止めや約220万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は昨日5月26日、原告の請求をいずれも棄却しました。
原告側の主張は何一つとして認められない、石川優実さんの完全勝訴でした。
石川優実さんの著作については私もnoteで取り上げたことがあります。本記事でも最後に取り上げます。石川優実さんのツイートに実際につけられた「クソリプ」(クソみたいなリプライ、の略。Twitterの返信機能を使って、見当はずれな内容や中傷的な言葉を投稿すること、及びその投稿)などの数々が引用され、それらに対する石川優実さんの見解がまとめられている部分があり、ある意味で本書の最も特徴的な部分になっています。
それだけでなく全体としてタメになりますので、ぜひこの機会に読んでみてください。
一応、訴訟となった事案について、竹下郁子さんの記事を参考にしながら簡単に触れておきます。
書籍の中で、
✅「逆に言いますが男性が海パンで出勤しても #KuToo の賛同者はそれを容認するということでよろしいですか?」
というK氏のツイートと、
🍎「そんな話はしてないですね。もしも #KuToo が「女性に職場に水着で出勤する権利を!」ならば容認するかもしれないですが、 #KuToo は「男性の履いている革靴も選択肢にいれて」なので。
という石川優実さんの反論ツイートを引用しながら、女性の靴の問題が水着に飛躍している点などを批判する論評が述べられています。
『#KuToo 靴から考える本気のフェミニズム』内の原告のツイートの引用箇所。撮影:竹下郁子さん(こちらのサイトより引用)
訴状によると、原告は
✅当該ツイートは服装に関するTPOについて会話していただけであり、これを石川さんや #KuToo 運動を批判する「クソリプ」として掲載することはツイートの趣旨を歪める行為であり、著作権を侵害している
などと主張していました。これに対し判決では、
🍎当該やり取りは「#KuToo に反発する人へ」と題する引用ツイートから始まったものであり、#KuToo 運動に賛意を示すアカウントに対して原告が批判・反論するツイートを繰り返していることなどから、「ツイートの趣旨が本件活動(=#KuToo )への批判・非難にあることは明らか」
と指摘し、原告の主張をバッサリと斥けています。
石川優実さんが判決文の画像を公表していますので、ご興味がある方はこちらから一連のツイートをご覧ください。
別に自慢するわけではないですが、私も当初から「著作権法32条は引用を認めているので何の問題もない」と言っていました。Amazonレビューで文句言っている人たちはちゃんと勉強してほしいです。
この裁判は、お正月を挟んだにもかかわらずわずか3~4か月で結審に至り、日本の裁判としてはかなりスピーディーに決着がつきました。和解の勧試すらなかったそうです。つまり、訴状を見た時点で「こりゃあ無茶な請求でしょう」と思われるような内容だったということです。
判決文27ページの、
🍎(K氏のツイートの)趣旨が通常人の感覚や認識と乖離しており、その発想が理解し難い
という一節が本件を象徴的に表していると思います。
☆弁護士業界に蔓延る女性蔑視
さて本題はここからです。
石川優実さんがオフィシャルサイトで、この裁判を煽った弁護士の存在について言及しています。
ある弁護士が、石川優実さんの本が著作権法違反だという趣旨の長文の文章をいくつもインターネットに掲載したのだそうです。
「弁護士が言っているのだから」という理由で多くの人がそれを信じ込んでしまいます。どうもAmazonレビューで「著作権法違反」と言っている人の数が尋常でないと思ったら、そういう事情だったわけです。
今回の裁判で原告側はその弁護士のツイートを証拠として提出し、その弁護士が書いているのと同じことを主張したそうです。(原告には別の弁護士が代理人としてついているのに、自分以外の弁護士のツイートを証拠として出す弁護活動もどうかと思いますが…)
弁護士資格を持つ者が誹謗中傷のみならずスラップ訴訟まで焚きつけて石川優実さんを卑しめ、ひいては女性差別を助長していることに対し、私は強い怒りを感じます。(この弁護士にはそこまでの意図はなかったのかもしれませんが結果としてはそうなっています。)
話は変わりますが近時Twitterでは、あまりに品がないので具体的記述は控えますが、およそ弁護士の発言とは俄(にわか)に信じ難いような、女性蔑視や児童虐待を煽るような性的な言動などが流れてきます。また、女性の司法修習生や弁護士による、司法修習時代に受けたセクハラ・性暴力の告発も多くあります。このような声を上げる女性弁護士さんが同業の男性弁護士にかなり叩かれるという構図もあるようです。
2019年3月には性暴力の無罪判決が相次いで報じられ、フラワーデモが始まるきっかけとなりました。フラワーデモを呼びかけた北原みのりさん達は、「せっかくの無罪判決に文句を言うな」という趣旨のことを弁護士から相当言われたそうです。どうも弁護士業界あるいは司法の世界における女性蔑視が相当深刻なのではないかと思えて仕方ありません。
なお、原告代理人の弁護士は判決について「一部原告側の主張を正確に理解いただけなかった」とし、控訴する旨をTwitter上で明かしています。
もちろん裁判を受ける権利は基本的人権の一つではありますが、何事も権利の濫用は許されません。石川優実さんを攻撃する誹謗中傷がTwitter上にあふれて2年近くになります。今なおその勢いは止まるところを知りません。「声を上げる女性に対する一種のスラップ訴訟ではないか」という、石川優実さんの代理人をつとめた神原元弁護士の言葉、そして弁護士法第1条にある「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」という文言を重く受け止めてほしいと思います。
※もともとこの裁判には、専門家によって判断が分かれ得るような難しい争点、新しい争点は何一つ存在しないので、控訴しても基本的には第1回口頭弁論期日で弁論を終結する可能性が高いと思います。(いわゆる「一回結審」)
☆本について
石川優実さんがこのようなツイートをされていますので、最後に本を読んだ感想などを書いておきます。
☆本書の構成と特徴
本書は全部で3つのパートから成ります。
第1パートは、石川優実さんのブログの記事「#MeToo →#KuToo 」を大幅に加筆修正した文章と、その後の石川優実さんの想いが綴られています。
「#KuToo 」についてだけでなく、高校時代のバイトやグラビアのお仕事で受けたセクハラの数々も赤裸々に描かれています。
いえ、セクハラという言葉は生ぬるい。性暴力、犯罪です。
サラッと書かれていますが、こうしたことを世間に告白するのはとても勇気がいることと拝察致しますし、芸能界にいまだセクハラや性暴力が蔓延(はびこ)っている現実に改めて怒りを覚えます。
第2パートは既に述べました。クソリプの数々です。
そして最後の第3パートは、有識者との対談と、対談後の石川優実さんの所感が書かれています。
ここでは、法令により企業が負う「安全配慮義務」と#KuToo の関係など、理論的なことも学ぶことができます。
全体で224ページで、あまり構えずにフェミニズムについて大切なことを学ぶことができるおススメの1冊となっております。
☆老若男女問わず読んでほしい
本書は、何よりもまず女性、特に若い女性に読んでほしいです。
とても残念なことですが、巧妙に性的搾取をする構造がわが国には現存します。芸能界に限った話ではありません。
自身の身を守るためにも、理論を勉強するためにも、そしておかしいと思ったことに声を上げる方法を知るためにも、石川優実さんの身に実際に起こったことを知ることは大きな意味があります。
そして、女性だけでなく男性にもぜひ読んでほしいです。
本書第1パートの結びで、石川優実さんは2ページ以上にわたって男性に向けたメッセージを書き、フェミニズム運動に男性が参加することの重要性を訴えています。
ジェンダーギャップ指数が世界で120位の現在の日本では、残念ながら物事の様々な決定権は男性が掴んでいることがまだまだ多い。男性が女性に共感して、一緒に声を上げるととても効果的なのです。
かくいう私アヤも、自分はフェミニストだと公言するコペルくんに協力してもらって、言いたいことを言いたい放題できています。
ぜひ、一人でも多くの男性の方に本書でフェミニズムや女性の置かれた状況を知っていただき、カナダのトルドー首相やコペルくんのように、男性にもフェミニストだと公言してほしいです。
そのことは、男性にとっても生きやすい世の中を作ることにきっと繋がります。
☆石川優実さんへのクソリプの数々に思うこと
石川優実さんだけではありません。まっちーこと町田彩夏さんなど、フェミニズム的なことを発信している若い女性のTwitterアカウントには質・量ともに夥(おびただ)しいほどの粘着質なクソリプが大量にわいています。
中には鍵アカにしたり、Twitter自体から撤退したりなどに追い込まれてしまう方も多くいます。非常に由々しきことで、強く憂慮しています。
私はある時期、石川優実さんや町田彩夏さん、日本に来ている外国人留学生の女性の方などのアカウントで通知onの設定をしていたのですが、もう毎日どころではなく、1時間ごと、あるいはもっと頻繁に大量にクソリプがつけられていることに驚愕しました。
あれだけ大量に絶え間なくクソリプが来たら、最悪の事態も起こり得るし、そこまでいかなくても発信することを萎縮してしまうでしょう。これは重大な人権侵害です。
否が応でも木村花さんに起きた悲劇が想起されます。石川優実さんも判決後の記者会見で、「こうした嫌がらせを止めるには死ぬしかないと思ったこともある」と語っています。
百聞は一見に如かずです。ぜひ本書をご覧いただき、クソリプのおぞましさを知っていただきたいです。もう一度Amazonのリンクを貼っておきます。
☆おわりに フェミニズムの希望
しかし希望はあります。
昨年5月に、法律の専門書である「労働法」(西谷敏、第3版)が出たのですが、その211ページ、「労働義務と服装等の自由」のところにこのような記述があります。
🍎「職種によっては制服・制帽の着用が業務上必要とされ、これに違反した労働者に制裁を課すことが認められるが、たとえば女性にパンプス着用を強要する正当な根拠はない。」
この記述は、2013年に出た第2版のときにはなかった記述なので、わざわざ新版で加筆されたものと思われます。
#KuToo は 、多くの現役弁護士さんや法曹を目指す人が読む専門書にまで影響を与えているのです。
他にも、#KuToo が国会や世界のメディアでも取り上げられたのは周知のとおりです。2019年には石川優実さんは英BBC「100人の女性」に選出されました。
最も苦しんでいる人に寄り添い、その声を聴くのがフェミニズムの精神です。諦めずに声を上げ続けることが世界を変えることになると信じて、これからもコペル&アヤは勉強と情報発信を続けていきたいと思います。
この記事に少しでも賛同してくださる方は、石川優実さんの本をお読みになって感想をツイートしたり、
というハッシュタグをつけてつぶやいたりしてほしいと思います。
最後までお読みいただき、真にありがとうございました🙇♀️今後もがんばりますので励ましのスキ・コメント・フォロー・サポート・おススメ・記事の拡散などしていただけますとめっちゃ嬉しいです。フォローは100%返します。今後とも有益な情報発信に努めますので応援よろしくお願いします🙇♀️またねー💕
🌹ジェンダーをもっと学びたい方へ
🌸🍃この記事の執筆者、Gender Partnerは、コペル&アヤでした🐣
☆アヤからの切実なお願い🙇♀️💕
🍰こんなことを申し上げるのは大変おこがましいのですが、今月は現時点でかなり、サポートが少なくなっており苦境に喘(あえ)いでおります😭昨年末には実際にnote撤退を余儀なくされました。noteが続けられるよう、この記事に少しでも共感してくれたなら、100円でもとても助かりますのでPayPayやAmazonギフト等によるカンパ、またはサポートを何卒お願いします🙇♀️💕
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