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詩)漂う

詩にあらざる詩
世の常の詩人たちは
老いて詩情は枯ると云ふに
六十 初めて詩を学び
いま古稀になんなんとして
賦詠日に多し
詩人ならざりし我のさきはい         (昭和19年六月十八日作)

河上肇詩集より さきはい〜幸福、幸運のこと

狂った時計を眺めている 
軋み始めた世界の
壊れていく隙間から
漏れ始めた 音のない疼き
 
最期が見えるとしたら 
まず しいんとしずまる
それから ぽかっとひかり 
また しいんとなって
もういちど ぽかっとなって
なくなって 
がらんとなる
 
潮に漂う稚魚たち
流されやすい流線型で機能的で美しい  
そうやって 生きることを全うするために
自ら泳ぐよりも 潮の流れの中で 
稚魚たちはたくましく生きようとしている

人間とは何なのだろう

どうやら僕は 
詩人を必要としない時代に生まれてしまったらしい
 

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げん(高細玄一)文学フリマ東京39 な-20
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