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時代を撃て。先駆者たち シネイドオコナー。1992年。ブーイングの中 「幼児虐待と人種差別がある限り世界は戦場」と歌う

ある人種が勝り
ある人種が劣るという考えが方が
ついに そして永遠に葬りさられるまで
世界は戦場
 
市民を等級に分けて差別する国がなくなるまで
肌の色が目の色と同じくなんの意味がなくなるまで
私は戦場を叫ぶ
基本的人権が 人種の差別なく保障される日が来るようになるまで
私は戦争を叫ぶ
そして悲しい人間の支配欲
そう幼児虐待
この非人間的な隷属が完全に排斥されるまで 
世界は戦場

ボブマーリー ウオー

シネイドオコナー
1992年ボブディラントリビュートコンサートで、観客の激しいブーイングの中、この歌を歌った。
オコナーは前年、コンサートでローマカトリックの幼児虐待に抗議して、ローマ法皇の写真を破り捨てていた。

鳴り止まない野次にショックを受けた彼女は、ステージ上で立ち尽くす。
ピアニストが前奏を始めたが、彼女は腕を振り払い演奏を止めさせる。
クリストファーソンが彼女に近づき、ささやいた。
「馬鹿者どもに負かされるな。」(YouTubeの訳では、気にするなとなっている)

彼女はアカペラで歌い出した。
ボブマーリーの「War」
歌い終わると、彼女は泣き崩れた。
この時彼女は、26才だった。彼女は1966年、ダブリン生まれ。幼少時代、母親から虐待を受けた。
その後両親は離婚し、万引きをはたらいた彼女は修道院に預けられた。

マグダリン修道院と呼ばれたその場所で彼女は監禁され、過酷な労働と虐待を強いられる地獄の18ヶ月間を過ごす。
この修道院の実態はのちに暴かれ、1996年に閉鎖される。

修道院を出たあと、彼女は歌唱力を見出され、音楽の道を歩んだ。
2000年頃から、カトリック教会の闇は世界的に次々と暴かれていくことになる。

2018年12月、ペンシルベニア州のジョシュ・シャピロ司法長官はある報告書を発表した。
1000ページに渡る報告書の内容は恐るべきもの。
1000人以上の未成年の被害者と、300人以上の神父による確実性の高い疑惑。2020年。アメリカ大統領選挙は黒人差別で大きく揺れた。black live matterが大きなうなりとなり、オコナーの叫びは今現実の政治課題となりつつある。

先駆者は少数者の中にある。未来を見据えた光がそこに見える

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高細玄一(げん)
2022年に詩集を発行いたしました。サポートいただいた方には贈呈します