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横尾忠則「寒山百得」 特別展「やまと絵」~東京国立博物館
樹々の葉が金色に輝くころ、深まる秋の上野での一日。
高校の同級生三人、いつものようにランチと展覧会を楽しむという大人のお出かけ。
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コンドルの弟子で宮内省の建築家・片山東熊による設計
1901(明治34)年から7年の歳月をかけて1908(明治41)年に完成
美しい 緑青 色のドーム屋根をいただくネオ・バロック様式
午前11時 ブラッスリーレカンでランチ
JR上野駅中央改札口を出てすぐ(アトレ上野)という立地、上野での展覧会に来るならランチはやはりブラッスリーレカンでしょと予約。
展覧会の前にまずはランチ。
開店と同時に入店、とてもいい席へ案内してもらえた。
上野駅構内に残る旧貴賓室を活かした空間でのエスプリ香る仏蘭西料理は、やはりときめくものだ。
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昭和7年に作られた旧貴賓室をリノベーションした空間
せっかくだから、永遠の都ローマ展とコラボしたスペシャルメニューを予約。
永遠の都ローマ × ブラッスリーレカン
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カトラリーはクリストフル
メニューとコースターで展覧会が 蘇る
料理がスタート。
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ポレンタと彩野菜・天使のエビのタルト見立て
美しいだけじゃなく、ひとつひとつの食材が丁寧に味付けされ、組み立てられ、ヘルシーに仕立ててあるアミューズ。
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ミルクで伸ばし冷製に仕立てた一皿
時代のスタートと食事のスタートを合わせて楽しむイメージで
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ウナギの温製テリーヌ
濃厚なウナギとスペルト小麦の組み合わせが新鮮、スペルト小麦がウナギの旨みを際立たせているテリーヌ。
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ウナギと当時のスパイス・ガルム(蜂蜜・魚醤)を使用し仕立てた前菜
ローマ文化と日本文化の饗宴
メインは豚バラ肉のコンフィ、メニューを見たとき、かなり脂っぽい肉料理ではないかと思っていたけれど、脂ギトギトではなくナイフですーっと切れるやわらかいコンフィ、ボリュームもあり満足な一皿。
ポテトピュレーとグリュイエールチーズのトマトのファルシの酸味が爽やかにマッチ。
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豚バラ肉のコンフィ
メディチ家とミケランジェロにスポットを当て、ローマ帝国時代に最も食されていたと言われる豚肉を使用
古典料理の再構築を一皿で表現
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ティラミス
時代の流れとカピトリーノのヴィーナスにスポットを当てて、
魅惑的なと言う意味合いを持つティラミスを仕立てました
カピトリーノの丘の上にいるヴィーナスのイメージ
(料理写真の料理説明はメニューから引用)
デザートも軽やかで、ローマ展コラボらしい食材と料理を考えられたシェフに敬意、料理するにはアートや関連する歴史も学ぶことが必要なのだと再認識したランチ。
前回のマティス展とのコラボもさることながら、ブラッスリーレカンの展覧会コラボランチ、次回も機会があればぜひ味わいたい。
ランチを終え上野恩賜公園へと向かい、最初に平成館へ。
エントランスは混んではいない様子、しかし会場はかなりの鑑賞者で混んでいた。じっくりと鑑賞するには最低2時間は必要。
特別展「やまと絵ー受け継がれる王朝の美ー」
「日本美術の教科書」と呼ぶに相応しい豪華な作品の数々により、やまと絵の壮大、かつ華麗な歴史を総覧し、振り返るという展覧会。
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お土産に買ったプリントクッキーの写真
展示最初の作品「聖徳太子絵伝 第一面~第六面」に、まず平安時代(1069年)の現存する絵画の、伝え保存された千年以上の時の重さをズシリと感じた。
「三大装飾経」「鳥獣戯画」「百鬼夜行絵巻」の画技に特に感嘆。
「病草子」の「肥満する女」~一人では歩けないほど肥満した女が付き添いの女たちに両脇を支えてもらって歩く姿、それを見て笑う男たち。高利貸しを営み贅沢三昧で太ってしまった女。
もともと「六道絵」と呼ばれる仏教絵画のひとつとして描かれた病草子。
仏教説話としての要素もあるというが、平安時代からの庶民も含めて時代を生きた人々を写し取った絵画もまたやまと絵で、絢爛豪華な絵巻だけではない展示の多様さが、面白くもある。
また日本の宮廷絵所絵師の存在に、イタリア美術における宮廷画家が重なったりして、興味が尽きなかった。
横尾忠則 「寒山百得」展
私にとって5年ぶりの表慶館での展覧会。
表慶館は展覧会やイベント時以外は内部公開されないから、横尾忠則の作品が展示された表慶館というのは、私の桃源郷かも知れない。
ちょうどシリーズ最後の102枚目を描く創作の現場にカメラが密着した番組~BSプレミアムで『横尾忠則 聖者を描く「寒山拾得」の世界』を見たこともあり、期待で胸躍る。
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表慶館玄関の両脇に座している
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立体的に見えるように描かれた天井画が
円状に配置されている
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ポスター設置
現代美術家・横尾忠則が、寒山拾得を独自の解釈で再構築した「寒山拾得」シリーズの完全新作102点を一挙初公開する展覧会。
新型コロナウィルス感染症の流行の下、横尾は、寒山拾得が達した脱俗の境地のように、俗世から離れたアトリエで創作活動に勤しみ、まさに時空を超越し、あらゆる世界を縦横無尽に駆け巡った。描き出された寒山拾得からは、めくるめく物語が紡ぎ出されている。
展覧会の1作目は、結婚式を挙げる男女とお祝いにかけつけた人々の絵。
もじゃもじゃ頭の寒山拾得と思しき人物は掃除用具を持っている。
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2021-09-03
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ここからひたすら作品の写真が続きます。
写真を眺めながら自由にイマジネーションしてください。
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2022-01-06
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無邪気で無心な笑顔、負の気、業、欲なんていうものはまったくないような寒山拾得をみていると、私まで無心になれる。
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馬と戯れる寒山拾得を
朦朧体と付けられた手法で描いた作品
歳を重ね、身体が不自由になる中で
横尾氏が生み出した手法
輪郭はあいまいで、全体的にぼやけたような印象になる
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2022-02-08
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2022-08-22
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2023-01-14
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2023-01-23/2023-1-16
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102点の作品最後の寒山拾得。
横尾忠則最初の寒山拾得作品である「寒山拾得 2020 」の寒山拾得を、自身の作品を模写するやり方で描かれている。
「102点最後の寒山拾得の結末にとって、仕上げたような絵を描いたらつまらない、やればやるほどつまらなくなる」とTV番組で語っていた横尾氏。
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102点目の作品
右の寒山は右手で
左の拾得は左手で書かれた
日付は横尾氏の誕生日
「102点目の作品はゴールではなく、今後の自分の作品のスタートになる作品で、スタートの瞬間が表せている」と語る横尾忠則87歳。
「102点描くことで頭ではなく、身体だけで描けた作品だから、見る人にゆだねる作品。見る人がイマジネイティブになる」とも語る。
展覧会を観終わって、軽やかに跳んでいる自由な心になった自分を見つけ、表慶館を後にした。
「いやぁ、横尾忠則って天才だね」と友人。
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寝ぐらに帰る鳥たち
空には月
せっかくだから法隆寺宝物館へ
明治11年(1878年)に奈良・法隆寺から皇室に献納され、戦後国に移管された宝物300件あまりが展示されている。
国宝 竜首水瓶は観ておきたい。
2022年国宝展での鑑賞以来、展示方法が違うと印象も変わる。
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飛鳥時代・7世紀
ササン朝ペルシャに源流をもつ胡瓶で、
鋳造した銅器に金、銀をメッキしたもの
龍頭が注口、細い龍身が把手
胴には線刻で表した四頭の天馬
緑色ガラス製の竜眼が光彩を放つ
ほとんど人がいない館内を閉館時間間際まで見学、午後5時少し前に館を出る。
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緑青 色の屋根が浮かび上がる
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ゆりの木も黒いシルエットとなって浮かぶ
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トーハクから藝大方面に5分ぐらい歩いて、上島珈琲店黒田記念館店へ向かう。
灯りに照らされた煉瓦作りの建物に、タイムトリップした気分。
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上島珈琲店黒田記念館店
黒田清輝の遺作を展示するミュージアム「黒田記念館」の別館にあり、
ミッドセンチュリースタイルに和のテイストを加えたレトロモダンな雰囲気
平日夕方だったからか空いていて、2階席でコーヒーとスナックでゆっくり寛ぐ。
さすがアートエリアにある和モダンテイストの落ち着ける店内、閉店時間の19時まで過ごし、それぞれ帰路についた。
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数年前に トー ハクミュージアムショップで購入
既に廃番になっていて、残念