【アドラー心理学】子育て原則#1~子どもを比較しない、個性を伸ばす親の心得~
はじめに
アドラー派の理論では、親の態度が子どもに大きな影響を与えるとして、下記のように子育ての6つの原則が示されています。
①子どもの個性を伸ばせるように関わる
②子どもの話をよく聴く
③子どもと共有する時間を有意義に使う
④適切な助言をする
⑤一貫した態度を取る
⑥脅さない
これらの子育て原則を、ひとつずつ解説していきます。
今回は、①子どもの個性を伸ばせるように関わる についてお話します。
子育ては、親にとって喜びと挑戦が混在します。時には、我々親は子どもたちに向かって「頑張ってほしい」と思う時があります。その一方で、周りの子どもたちと比較してしまうこともあります。我が子を愛するあまりに行ってしまうこの行為が、子どもたちにどのような影響を与えるのかを考えてみましょう。
1.比較による子どものストレス
子どもたちは、親の言葉や行動を繊細に感じ取ります。そのため、兄弟姉妹や友達と比較されることは、彼らにとって大きなストレスや劣等感を引き起こす可能性があります。例えば、ある兄弟のうち、兄が「テストで満点を取ったよ!」と褒められる一方で、弟がその横で「あなたははいつもできないね」と言われると、弟は自分が劣っていると感じるかもしれません。このような状況では、彼らは自分の能力や価値について否定的なイメージを持ち、自信を失う可能性があります。
2.劣等感と自己価値の喪失
親が口にする「○○ちゃんはできるみたいだけど?」という言葉は、子どもたちにとって重い負担となり得ます。例えば、ある日の夕食のテーブルで、母親が
「あなたの友達の〇〇ちゃんは、ピアノが上手だって聞いたわよ。でもあなたはもっと練習しないとダメよ」
と口にしたとしましょう。その場にいる兄弟姉妹や他の親戚が聞いている中で、子どもは自分の努力が十分でないと感じ、心が重くなるでしょう。彼らは自分の努力が足りないと考え、自分の価値を見失うかもしれません。
3.子どもの個性を尊重する親の役割
子どもたちは、自分自身が独自の存在であり、他の人と比較されることなく、自分の個性や才能を認められることを望んでいます。例えば、ある子どもが自分の趣味である絵画に情熱を注いでいるとします。親がその子どもの絵を褒め、
「素晴らしい絵を描いたね!あなたの想像力は本当に素晴らしいよ」
と言うと、その子どもは自分の才能を認められ、自信を持つでしょう。その一方で、もし親が
「絵もいいけれど、あなたはもっとスポーツをやった方がいいんじゃない?」
と言った場合、子どもは自分の趣味や興味が認められないと感じ、自己否定感を抱くかもしれません。親が子どもの個性を肯定し、尊重することは、彼らの自尊心や自己価値感を高める上で非常に重要です。では、具体的にどのようにすればよいのでしょうか?
4.個々の特性を認める言葉
まず第一に、親は子どもたちを比較せず、個々の特性を認めることから始めるべきです。例えば、もし子どもが学校で優れた成績を収めたとき、
「素晴らしい成績を取ったね!君の数学の解ける力は本当に素晴らしいよ」
と称賛すると良いでしょう。また、もし子どもが自分の趣味や興味に没頭している場合、
「君の音楽のセンスは素晴らしいね!そのピアノの演奏、感動したよ」
と、彼らの強みや努力を称賛する言葉をかけましょう。彼らが自分を受け入れ、成長するための自信を育むことができます。
5.親の過去の経験からの学び
また、親は自身の子ども時代の経験を振り返り、自分が傷ついたり不安になったりした出来事を思い出すことも重要です。その経験を踏まえ、「自分が同じような経験を子供がするのは避けたいな」と思いながら、子どもたちが同じような気持ちにならないように努めましょう。
最後に
親としての私たちは、我々の子どもたちに最高の支援を提供する責任があります。彼らを比較せず、個性を尊重し、愛情を伝えることで、彼らが幸せで健康な成人へと成長する手助けをしましょう。
他の5つの子育て原則も参考にして下さい。
②子どもの話をよく聴く
③子どもと共有する時間を有意義に使う
④適切な助言をする
⑤一貫した態度を取る
⑥脅さない