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トラウマ治療⑤子どものグズりがいいものに見えてきた

■これまでのトラウマ治療■

トラウマ治療EMDR①面談|ターザヌ
トラウマ治療EMDR②|ターザヌ
トラウマ治療③ブレインスポッティング|ターザヌ
トラウマ治療EMDR④私が私の一番のアンチ|ターザヌ

トラウマ治療行く日は必ず気温が下がる気がする。めっっちゃ寒い。京都は道がまっすぐなので、遮られることのない北風がぶち当たってくる。

心理士さんに挨拶すると、さっそく「前回の治療で気になることがありましてね」と話しを切り出される。
「あなたは子どものあなたとあんまり仲が良くないですね」

それは私も気になったことで、「トラウマ治療EMDR④私が私の一番のアンチ|ターザヌ」にも書いたが、無意識のうちに忙しくて大変そうな親の方に共感し、子どもの自分に対しては「頼りなさすぎる」「もっとしっかりすれば」と批判的に見ている。

それは親側に寄せた視点であり、子どもの私が親の事情を酌まなくていい。「ひどいよ、つらいよ、さびしいよ」ともっと自分の気持ちを素直に感じてよかったのだ。そこを自覚できなかったために、大人の今でも自分の気持ちがよくわからないまま生活していた。

そういった話をすると、「もう少し子どものあなたに共感できるようになるといいですね」と言われ、その状態を目指してEMDRを始める。

「子どものあなたの気持ちを解かってくれそうな人は誰ですか?」と聞かれ、前回は「大人の私」と答えたが、大人の私は子どもの私に全然やさしくなかったので、友だちのAちゃんを選ぶ。Aちゃんが私のトラウマエピソードの場面にいるところをイメージする。

するとAちゃんは、いつも大人の私にしてくれるみたいに、私の肩を叩いて「大丈夫、大丈夫」と明るくて芯のある声で言ってくれる。これが今までで一番泣けた。ああ~、言ってくれそう。Aちゃんが言うなら本当に大丈夫だという気がしてくる。

心理士さんにどういう状況かを聞かれて「Aちゃんが…ひっく、だ、だ、だいじょうぶって……ううう~!」と完全に子どもになって泣きじゃくりながら説明する。何も知らないAちゃんがこの状況を見たらドン引きだろう。

「ではAちゃんが、あなたの家族と過ごしているところを想像してくださいね」とまたEMDRをする。それはきっとうちの家族の心も浄化されるんじゃないかとワクワクしたが、具体的に想像していくうち、Aちゃんはうちの家族に嫌気がさして出て行ってしまった。

「出て行っちゃいました…」呆然と心理士さんに伝える。「でも、出ていく間際に、うちの家族にガツンと言ってくれました」
「なんと言ってくれましたか?」
「もっとターザヌちゃんを見て!かわいそうやんって」
「ではあなたの言葉で親にそれを言うところをイメージしましょう」と言われまたEMDR をする。終わってみて「う~ん」となる。

「まず親は身内から言われたことには耳を貸さないと思います。あと、家族に対して本心を見せることがなかったから、自分の気持ちを伝えるのが想像上でもかなり抵抗ありますね…」

そうだうちの家族って互いに本心を見せないし、あと、「やさしさ」も見せないように気を付けていた。相手を思いやる言葉とか、「おかえりただいま」の挨拶すら、警戒してしなかった。

それを言うと、「野生動物みたいな家族ですね。弱ってるところを見せると攻撃されると思ってるんですね」

そ、それー!とむちゃくちゃ腑に落ちる。あまりにも傷つけあう日常だったから、心をガードしようとしてそんなことになっていたんだと思う。いやー、機能不全家族だわ。まったく寛げないよね。戦場じゃん。ごく最近まで普通の家族だと思っていたのは何だったんだ。

その後なんども傷ついた場面をEMDRで治療していく。「まだ悲しいです」「まだお腹の底に泥が沈殿している感じ」と確認しながら、繰り返し左右に振れる光を追いかけていく。何度目かで「なんにもない」状態になる。

そこで時間になった。
「この後、精神的にぐーっと落ちます。あまりにも辛かったら連絡ください」と言ってもらい、場を後にする。その時むしろ、お腹がほかほかするような感覚と、酔っぱらって外に出た時の気持ちよさみたいなものがあり、大丈夫そうだと思ったのだが、家についてから、ちょっとのたうち回るレベルでつらくなった。

娘も帰宅していたので、こっそり涙をぬぐいながら、息も絶え絶えご飯をつくったりお風呂に入れたりした。インフルに罹って「しんどい~しんどい~」と唱えながらなすすべもなく布団に入っていた時と同レベルの苦しさだった。

が、朝。これまでにない晴れやかな気持ちで目覚める。あれをしようこれをしようと、一日でしたいことを意欲的に考えながら布団をでた。これは快挙である。こんな調子のいい日は最近では記憶にないぞ!

そしてトラウマエピソードを思い浮かべても感情がなにも動かない。すごい。トラウマ治療5回目にして、かなりハッキリとした効果を感じたかもしれない。


このトラウマ治療のあと色々考えることがあって、ひとつは
多くの人にとって家族は味方で支えだということ|ターザヌ
この記事の中に書いたことだが、アダルトチルドレンのつらさは、つらさの原因をどうしても家族のせいにするしかない、ということにもある。他の多くの人にとっては家族って味方で、悪者にすべきものではない。

上手く行かないことの言い訳に家族をだすと、「だせえ」「甘えてる」と思われるのがオチだから、なんも言わない。つらい理由が認められないと、そもそも「つらさ」の実在が疑われる。つらいはずがないと自分でも思いこんでいたりする。

でも、97%といわれている無意識領域に、生育環境や親の影響ってごりごりにあるはずで、どう考えてもこれまでに起こったことが全て自分の責任ですってことはない。ないだろ~~!(悔しくてのたうち回る)

親のせいにしないっていうのはアダルトチルドレンにとって子どもの頃の自分を否認することであり、感情の抑圧でしかない。

だから「共感を諦める」「自分が自分のつらさを受け入れる」「つらさの原因は親であると認める」ことで、私は初めて前を向けたと思っている。


ほんでもう一つ。
「Tシャツをお腹にはさむのも嫌だし、出すのも嫌なのー!」【意訳】さむいのに着替えるの嫌だし、そもそも学校いくのめんどい~!とぐずり全開のもう七歳の娘を呆然と見ながら思ったこと。

いやぁ、そんだけ自分の感情爆発させるの気持ちいいだろうなー。ぐずりって、もやもやの放出だよね。めちゃくちゃいいものじゃないか。素晴らしいわぁ。

そんな風に娘を拝んでいたら、いつの間にか着替え終わって、「はやく髪結んでよ」と口をとがらせていた。





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