笑って、赤鬼 (ショートショート お題:節分胎教)
(540文字)
赤鬼は人間と上手くやっていた。
もう500年も。
あれから青鬼には会っていない。
そして今、自分のタワマンの前で赤鬼は拉致されてしまった。
目が覚めると研究室で、手足を固定された青鬼の前にいた。
研究者が言った。
「赤鬼さん。羽振りがいいようで。お友達と積もる話でもどう?」
青鬼が苦しそうに言った。
「赤鬼くん、言うことを聞いてはいけない。」
「ふ。研究の甲斐あって青鬼さんは今から分裂するのよ。
優秀な兵士だもの。説得して下さる?」
赤鬼が振り返ろうとすると、首筋にマチェーテが当てられた。
「ビジネスが盛況で政界にお友達も多い。
あなたに兵士になれとは言いませんわ。」
「ずっと捕らえられていたのか。」赤鬼は震えた。「君のおかげで僕は自由だったんだね。」
途端にあらゆる金物が浮き、青鬼くんの金具も壊れ、2人は逃げ出した。
「2人でひっそり生きていこうよ。」赤鬼は言った。
青鬼はにっこり笑うと
3人だよ、という。
「実は分裂は起きていたんだ。胎内でね。」
それを聞いた赤鬼は青鬼の腹にしがみついて叫んだ。
おーい、鬼は内 もちょっとで外!
青鬼は笑った。
「とんだ胎教になっちゃったな。」
たらはかにさま
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