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ノアが運ぶね(ショートショート お題:かもしれない弁天)

 (415文字)
 7人の遭難者を乗せ、ノアは困惑していた。
 海が荒れて来たからデッキから降りろというのに怒鳴り合いをやめない。

 唯一福禄寿ふくろくじゅが面白そうに成り行きを眺めていた。

 舟が揺れ弁天がひっくり返ると神々が群がった。
 「わしゃ恵比寿ぞ!わしが護る」
 押し退ける大黒天
 「このえろじじい。サラスヴァティはインド出身。同郷の私が護る!」
 毘沙門天は大黒天らを踏みつけて言った
 「ちっさい奴らが。ワシがカリスマじゃ!ワシが護るわ」
 「わし、四天王関係ないもんねー!」と、寿老人は弁天の髪を一筋掬い匂っている。
 「おめえはそもそも神なのか?」布袋は寿老人を蹴りだして弁天に抱きついた。
 「やめてぇコンプライアンスに引っかかるぅ!」
 と、弁天はノアを見つけて言った。
 「あら、いい男。
 なにか一つ叶えましょう」

 ノアは言った。
 「いや、そんなら陸に帰らせてよ。」

 「ふーん。きみのためなら、出来るかも知れない弁天よ!」






 
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