子育てエッセイ : 日曜日の昼食当番 2 となりのトトロのサツキちゃんが作ったお弁当
奥さんがパン教室に行く日曜日の前日の土曜日、
次の日の日曜日の昼食に娘たちに何を作ってあげようか考えていた。
娘たちはレンタルのとなりのトトロのDVDを見ていた。
娘たちはとなりのトトロを見終わると、奥さんに、
サツキちゃんが作ったお弁当が食べた〜い、と言っていた。
それに対して奥さんは、明日のお昼ごはんにお父さんに作ってもらえば? と答えた。
となりのトトロのサツキちゃんが作ったお弁当?
と僕は思った。
奥さんにどんなお弁当か聞くと、
お弁当箱にご飯をつめて、その上に桜でんぶと緑色の煮豆と梅干しとめざしを一匹のせた物だという。
何と簡単そうではないか。
念のため僕もとなりのトトロを見て、なるほどあれか、と確認した。
次の日、娘たちに留守番させスーパーに買い物に行った。梅干しは家にあった。桜でんぶをゲットし、お惣菜コーナーで何と緑色の煮豆を発見し、すかさずゲット、そして、めざしをゲットしようと思って
見ていたが、何と、めざしがない。
子どもの頃、朝ごはんのおかずの定番だっためざしがないのだ。
そういえば、ここ10年以上、めざしというものを食べたことがなかったことに気がついた。奥さんも
買って来たことがない。
僕が知らない間に、めざしは消滅してしまったのだろうか?
僕はお店の女の人に尋ねた。
「めざしは何処に置いてありますか?」
「こちらに、カタクチイワシとウルメイワシがあります。どちらにしますか?」
「すみません、僕が探しているのはめざしです。」
「あのですね、めざしというお魚が海を泳いでいるわけではないんですね。カタクチイワシやウルメイワシの干物の目を通して繋げた物がめざしですからこちらのカタクチイワシかウルメイワシで大丈夫ですよ。」
「すみません、僕は娘たちに本物のめざしを食べさせてあげたいんです。」
「ですので、同じですので、これでいいんですね。」
「いえ、僕にとっては、目を通していない物は
めざしではありません。すみませんが、これだけは他のお店で買わさせて頂きます。」
と言って、僕はめざし以外の会計をしてそのスーパーを後にしたが、目を通しためざしが売っていなくて、隣町のスーパーで漸く見つけた。
僕が家に着くと11時半だった。ご飯は炊きあがっていた。
僕は奥さんが出していってくれた、3人分のお弁当箱にご飯をつめた。同時平行でめざしを魚焼きグリルで焼いた。
ご飯の上に桜でんぶと緑色の煮豆をのせ、冷蔵庫から梅干しを取り出し、ご飯にのせた。
めざしは一匹で良いのだが、6匹繋がっていたので
6匹焼き、ひとり2匹ずつのせた豪華版にした。
娘たちを呼び、お弁当をテーブルに置くと、
「サツキちゃんのお弁当だ~。お父さん、ありがとう。」
と言って嬉しそうに食べてくれた。
サツキちゃんのお弁当ですが、ご飯と桜でんぶと緑色の煮豆の甘さと、梅干しの酸味とめざしの苦味が
一体となって、想像以上に美味しいです。
ぜひお試しください。