忘れられない恋物語 ぼくたちの失敗 森田童子 2 ほっとけない男とほっとけない女
香奈恵さんはお昼を食べてから続きを話そうと言った。僕は香奈恵さんに頼まれてアンチョビを買いに行った。スーパーでアンチョビを見つけた後、カップに入ったあんみつがあったので2つ買った。
香奈恵さんのアパートに向かいながら、今までに経験したことのないドロドロとしたものを感じていた
そして、池袋駅を出た時に見た、麻莉子さんと一緒に歩く男の人のことを思い出した。
あの男の人は、こういう経験を何回も乗り換えた男という感じがして来た。
僕は今目の前にあることから逃げないことに決めた
僕も乗り越えるんだと思った。
そして、何故か分からないが、香奈恵さんをほっとけなかった。
「鈴原君、あんみつも買って来たの?」
「どうして笑ってるの?」
「だって・・ 悪い意味で笑ってるわけではないからね、でも鈴原君らしい・・。」
香奈恵さんは笑いながら料理を始めた。
香奈恵さんが作ってくれたアンチョビのパスタは、
初めて食べたけど美味しいと思った。
食後、香奈恵さんは、あんみつ、久しぶりに食べる
美味しいと言った。
香奈恵さんが食後の珈琲を淹れてくれた。
「私がサークルの新入生歓迎コンパで鈴原君の横に座ったのはね、鈴原君って構いたくなる男の子だからなのよ。何故かほっとけないの。」
「僕も、香奈恵さんのこと、何故かほっとけない。」
「鈴原君も私のことほっとけないんだ。ありがとう嬉しい。」
「香奈恵さんの実家は横浜なんだよね?」
「横浜って言っても広いから。私の実家があるのはは横浜でも田舎よ。 自宅から通えないことないんだけど、ひとり暮らしがしてみたかったから。」
「僕、横浜って、行ったことないんだよ。」
「いいよ。案内してあげる。今日はバイトだから、
来週の日曜日に行こう。」
僕はヒビの入ったサッシのところに行った。
「来週、僕のバイト代が入ったら香奈恵さんのバイト代と合わせてこのサッシ入れ換えてもらおうよ。」
「そんなの悪いからいいよ。」
「気にしなくていいよ。このサッシ見てたくないだろう?」
「ありがとう。鈴原君。」
そう言うと香奈恵さんは、僕を後から抱きしめた。