エッセイ : ひとり旅で食べた朝ごはん 2 紫蘇入り梅納豆と幻の納豆饅 美味しい納豆の食べ方
僕が子どもの頃、納豆は今とは違い藁で編んだ入れ物に入って売っていた。また、僕の実家には納豆売りのおじさんがいて、自転車に乗って納豆を売っていた。
僕は母親に頼まれて、よくそのおじさんが売っていた納豆を買いに行った。そのおじさんが売っていた納豆は受け取るとまだ温かかった。そして、本当に美味しい納豆だった。
僕が子どもの頃の、藁で編んだ入れ物に入った納豆には、今の納豆の様にタレは付いていなかった。
僕の実家では、醤油と刻んだネギと辛子で和えて、
ご飯にのせて食べていた。
だから僕は今でも、納豆に付いているタレは使わず醤油と刻んだネギと辛子を和えて食べている。
この食べ方が1番好きだ。そして時々このなかに、
生の卵黄を入れて混ぜ、マイルドな味を楽しんでいる。
僕の奥さんは納豆にキムチを入れて、キムチ納豆にしてご飯にのせて食べている。これも美味しい。
キムチ納豆にイカの刺し身を入れたイカキムチ納豆はお酒のつまみにもなる。
味噌味に納豆を入れた納豆汁も奥さんが時々作ってくれる納豆チャーハンも美味しい。
何時だったか納豆カレーを食べたが美味しかった。
納豆はご飯だけに合うわけではない。茹でた熱々のうどんに醤油で味付した納豆を混ぜるだけでも美味しい。納豆パスタも美味しい。
大学時代、ひとり旅で水戸の偕楽園を見た後、旅館に泊まった。朝食に納豆が出て来たのだが、見たこともない納豆だった。旅館の女の人に聞くと、納豆に細かく刻んさだ塩辛く酸っぱい梅漬けと紫蘇の葉を刻んさだものを混ぜた納豆だと言った。大葉では美味しくないので、赤い紫蘇を使っていると言ったご飯にかけて食べると、納豆と梅漬けがよく合っていて、紫蘇の風味がした。これは美味しいと思った
旅館を出て観光を続けた。午後の3時頃小腹が空いたので、何か食べようと思っていると、コンビニではない普通のお店に肉饅が売っているのが見えた。
1番上に肉饅、その下に餡饅、そして1番下が何と納豆饅となっていた。僕は納豆饅を買って見た。
食べてみると肉饅の肉の代わりに味付した納豆を入れたものだと分かった。しかも熱々で美味しい。
僕はもう1つ買って食べた。
茨城県には納豆饅があるんだと思っていたが、その後、納豆饅は見かけなかった。
僕は店の名前と場所をメモっておかなかったことに後悔した。
その後の人生で一度も納豆饅を見ることはなかった
幻の納豆饅となってしまった。