詩 銀杏細工
銀杏細工 作:米田太郎
てんとう虫の 銀杏細工
じいちゃんを癒す 悲しき玩具
病室の窓辺 何も知らずに
風にあわせて ゆれていました
夏の夕暮れ そよ風のうた
痛みの波が 過ぎ去った後
遠く見つめる 孤独な瞳
気付かれぬように 知らぬふりして
笑わせようと ゆれていました
夏のたわむれ 道化師のうた
明日を託した 静かな手紙
天使になった じいちゃんの夢
涙をふいて 力の限り
強く生きよと ゆれていました
夏の祈りと 惜別のうた
風にゆらゆら ゆれていました
僕の手のひらで ゆれていました
夏の終わりの 銀杏細工