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化粧品OEM、コストを抑えるために必要なポイントとは

おはようございます、化粧品開発者のけいです。
最近夜はだいぶ涼しくなってきました。皆さん寝るときはクーラーつけていますか?
クーラーをつけると朝寒いし、なければ少し暑いし、、、どうしたらよいかわからない時期ではないですか?
季節の変わり目、体調を崩しやすくなるので気を付けてくださいね!

話は変わりますが、2023年9月27日~29日にインテックス大阪で開催される化粧品開発展に行きます。
当日お越しになる方がいらっしゃれば、会場でお話しできれば嬉しいです!
参考:第4回化粧品開発展【大阪】2023|主催:RX Japan株式会社 (cosme-week.jp)

さて、やはり人気の高い日本製化粧品。免税店などでは数ある中から化粧品を購入する中国観光客(参考1)。
しかしながら福島第一原発の処理水の海洋放出によって美容業界に影響が出てきているようです(参考2)。心配です。
参考1:化粧品がトップ!中国人観光客の日本免税ショッピングの実態と傾向 | HotelBank (ホテルバンク)
参考2:「日本の化粧品買わないで」“処理水放出”で美容業界に飛び火? 中国インフルエンサーが避ける事例も(ABEMA TIMES) - Yahoo!ニュース

今回は前から解説していました化粧品OEM業界の問題点(課題)の解決法【2回目】です。
早速ですが、現状の問題点は以下の5項目です。
1.過剰な宣伝
2.高価格
3.不必要な成分が多い
4.環境への負荷
5.個人差
 
今回は「2.高価格」について詳しく解説していきます。


高価格とは(問題点)

化粧品OEMを行なう上で、価格が高くなってしまう点は多くあります。
昨今では化粧品に関するすべてのコストが上昇傾向で、原料代、容器代、人件費、光熱費、物流費などのコスト上昇により販売者、メーカーともに利益が圧迫されつつあります。
上昇傾向であるからこそ、できることがあります。
今回はコストを抑えるためにどのような対策があるのか、見ていきましょう。

必要以上に高価格にならないためには?

化粧品OEMを行なう上で「希望価格」は非常に重要になります。「いくらで仕入れたいのか」ということです。
OEMを長年行なっているとこのようなご依頼があります。

“高くなっても良いから良い商品を作りたい”
“容器にこだわりたい”
“今までにないものを作りたい”

自分が手掛けるオリジナル化粧品、やはり良いものを作りたいと思うのは当然ですよね。
でも、例えば引越しで家を決めるとき希望の家賃ってありませんか?どれだけ高くなっても良いからキレイで広い部屋に住みたい!というのはなかなかないと思います。これと同じように現実的な相場を持っておく必要があります。
いくらで販売するのか、その価格に見合った商品の訴求ポイントは何なのか、などをざっくりでも持っておくのがオススメです。
化粧品OEMで価格を抑えるために必要なポイントは大きく3つあります。
「既存処方を使う」「容量を調節する」「容器やキャップ、包装をシンプルなものにする」です。それではそれぞれ説明していきます。

1.既存処方を使う

化粧品を作る上で、処方開発は必要不可欠です。当然、唯一無二のものがいいですよね。
しかしながら、この考えに囚われすぎてしまうと値段が高くなってしまうだけではなく、時間も非常に使ってしまいます。
化粧品OEMメーカーには「既存処方」というものが存在します。
これは今までに作ったことがあるもの(実績があるもの)という意味です。
もしかすると、イメージしている作りたい商品をすでにメーカーでは作っている実績があるかもしれません。
その場合はその既存処方を使うことにより価格を抑えることが可能になります。

なぜ既存処方の方が価格を抑えることができるのか・・・?

理由は2つあります。
1つ目、「作るために必要な原料を常備しているため」です。
国内には化粧品OEMメーカーが多く存在しますが、メーカーごとに持っている原料はバラバラです。
例えば水やBG(ブチレングリコール)、グリセリンなど、化粧品には当然のように使われる原料であれば各メーカー共通して持っていますが、セラミドやアミノ酸原料などは持っているメーカーと持っていないメーカーがあります。
持っていない場合は購入する必要があるため、その代金が価格に反映されることになります。
なので、既存処方を持っているメーカーに依頼することが、商品化する上で最も近道となります。
 
2つ目、「研究開発費、人件費などの経費が抑えられるため」です。
ゼロから新処方を開発する場合、研究開発や安全性検査ための費用がかかるためコストが大幅に上がります。さらに新処方開発には時間がかかるため、人件費もかさみます。
 
既存処方は価格を抑えるために考えるべき重要なポイントだと言えます。

2.内容量を調節する

どの化粧品にも内容量があります。
普通に考えると、内容量が200mlと150mlでは値段が違ってきます。
実はここでポイントとなるのが、「配合成分にどれだけ金額が高い成分(原料)が多く入っているか」によってその差額に違いが出てきます。
例えば、化粧水で考えてみます。ここでは単価(一個あたりの価格)を下げるために内容量を200ml→150mlに変更したい場合として考えます。

高い成分が多く入っている化粧水の場合(差額100円)
200mlの単価→500円
150mlの単価→400円

安い原料のみで仕上げた化粧水の場合(差額5円)
200mlの単価→300円
150mlの単価→295円

あえて大げさに書きましたが、上のような感じです。
配合成分に高い成分(原料)が多ければ多いほど、内容量を下げた時のインパクトが大きくなります。
高い成分とはどのようなものなのか。。。これは、次の記事「3.不必要な成分が多い」の時に詳しく説明していきます。

3.容器やキャップ、包装をシンプルなものにする

もしかすると、化粧品の原価で一番お金がかかっているのは容器だと考えたことがある人もいるのではないでしょうか?
一概には言えませんが、間違いではありません。
できるだけ価格を抑えるためには、ガラス製の容器よりもプラスチック製のほうが安い、
ポンプよりもスクリューキャップの方が安い、などがあります。
このように材質や形状によってコストを抑えることができますので、まずは作りたい化粧品の容器をイメージしてみると良いでしょう。
また、包装形態によっても価格が変わってきます。
化粧箱は必要か?これは無い方が価格を抑えられます。
封印シールかシュリンクフィルム、どちらにするか?(バージン性を保つためのもの)
これはロットが大きくなればなるほどシュリンクフィルムの方が安くなる場合があります。
 
このように容器や包装形態のパターンはさまざまです。
価格を抑えるためにはできるだけシンプルなものを選ぶと良いでしょう。
容器の種類や形は以下リンクをご参照ください。
参考:中身を守る ―容器― | 日本化粧品工業会 (jcia.org)
 

もしコストが想定よりはるかに高くなってしまったときは一旦立ち止まり、
どこを重点的に削ればよいかを考えてみましょう。
こだわりたいポイントを絞ることで、どこにお金をかけ、どこを削るべきか、を明確にすることができ
商品化までの道のりをスムーズに進めることが可能となります。
 
なお、製造ロットを大きくすると商品単価は下がりますが、金額は大きくなります。下のようなイメージです。

製造ロットが500個、商品1個あたり700円(単価)=35万円(金額)
製造ロットが1,000個、商品1個あたり500円(単価)=50万円(金額)

上記のポイントは「予算内でいかにムダを削って希望に近いものに仕上げるか」の方法になるため、
あくまでロットという考えを抜きにして行える対策となります。
ぜひ、化粧品OEMを行なう際に参考にしてください。
 
そして市場にも上の項目に当てはまっているものは多くあります。
 

市場商品の実用事例

dear-logue cosmetics

500ml
1000ml

https://amzn.asia/d/dBUl7jg

こちらはdear-logue cosmeticsさんのアメリオレイトシャンプーになります。
普段よく見る詰め替え用。容器に注目すると500mlの方はポンプタイプ、1,000L(詰め替え用)はパウチと呼ばれる容器になります。
容器はどちらもシンプルですが、キャップ部分に注目すると1,000mlの方がキャップだけのシンプルな構成であることがわかります。反対にポンプタイプ(別名:ディスペンサー)はいくつかの部品から作られているため複雑であると言えます。よって500mlの方が容器の値段は高くなります。
しかしながら、容器はいずれにしてもシンプルな方であると言えます(特別な金加工や、2重構造などの特殊性は見られません)。
このことからこの商品が一番にこだわっているポイントは中身(バルク)であることがわかってきます。
中身については多くのアミノ酸やエキスなどが配合されているため、商品開発で一番お金がかかっていることが伺えます。
口コミ評価も高いですね、良い商品だと感じます。

資生堂

本体
レフィル(付け替え用)

【SHISEIDO】オイデルミン エッセンスローション | SHISEIDO | 資生堂

こちらは資生堂さんのオイデルミン エッセンスローションです。
サステナブルな容器ですが、今回は内容量と容器のシンプル性に注目してみます。
この容器は2重構造となっており、写真1枚目が本体、2枚目がレフィル(付け替え用)で、ともに内容量は145mlです。
同じ中身、内容量なのにレフィルの方が安いのは、レフィルの方が容器がシンプルであるためだと言えます(そのほかにもあるとは思いますが、内容量と容器形状に絞って考えた場合)。
 
いかがだったでしょうか?
このように市場に出回っている商品を見ると、どこにお金をかけているか(こだわっているか)、なぜこっちの方が安いのか、などを推測することができます。
日常生活の中でこのような部分に注目してみると、色々見えてきて面白いかもしれませんよ。
 

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写真引用元
<ahref="https://jp.freepik.com/free-photo/young-attractive-asian-female-cheerful-enjoy-choosing-cosmetics-in-shopping-mall-blur-bokeh-background_25118120.htm#query=%E5%9B%BD%E9%9A%9B%E5%8C%96%E7%B2%A7%E5%B1%95&position=22&from_view=search&track=ais">著作者:Lifestylememory</a>/出典:Freepik
 


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