癖を改善する方法を心理学的に解説!
あなたには、何か治したい癖はあるでしょうか。
癖というのはやっかいなものです。
自分が意識していないところで起こるだけでなく、時には、社会的に不適切な行動も含まれるからです。
あなたも、誰かから指摘された、是非治したいと考えている癖があるかもしれません。
今回は、癖を心理学的に改善する方法を解説していきます。
あえてやる
もし、あなたが改善したい癖を持っている場合、まずは、その癖をどんどん行うべきです。
私が担当した若い男性の患者は、やっかいな癖に悩まされていました。
自分でするつもりはないのに、何故か「頭を左右に振る」という癖があったのです。
私は、彼に質問をしました。
「あなたは一体何分に1回、その癖が現れるのでしょう」
答えられなかった彼に与えられた最初の課題は、何分に1回、その癖が出現するのか確認することでした。
結果、約5分に1回、癖が出現することが分かりました。
次に彼に与えられた課題は、「3分に1回はその癖を出現させるべきだ」という指示でした。
彼は、私と共に、時計で3分を図りながら実践しました。
そして、家に帰ってからもかかさずそれを練習する様に指示しました。
3分に1回、頭を振ることが身についてきたころに、私は、「マンネリ化を避ける為、
10分に1回、頭を振ることをお勧めします」ともっともらしい指示をだしました。
この様なことを続けていくうちに、彼が頭を振ることは無くなっていきました。
さて、私は一体何をしたのでしょう。
癖の特徴の一つは、「無意識的な行動」ということです。
ですから、最悪の場合には、自分の癖の存在にすら気が付かないこともあります。
無意識的に行動している為、修正が難しいのです。
ここで私がしたアプローチは、“あえて”癖となっている行動を取らせることで、
無意識的に行っていた行動を、意識的な行動に移行させたのです。
これによって、彼の癖は「コントロール出来る行動」に変貌しました。
コントロール出来るということは、やめることも出来るということです。
癖を改善したい場合、意識的にその癖を実践してみるというのが、一つの解決になるのです。
しかし、言うまでもありませんが、あまりにリスクの高い癖に関しては、この様な方法を取るべきではありません。
例えば、リストカットをしない様にアドバイスを求めてくる患者さんに、この様なアドバイスをするのは適切ではありません。
この様な、リスクが高く、他者や自分自身を傷つけてしまうような癖には、次に紹介する方法が適しているでしょう。
代替えする
癖は、一見なんの意味もない、無意味な行動の繰り返しだとみなされることが多いでしょう。
しかし、実は、癖にもそれを行うべき理由があり、癖を行うことで何かのメリットを得ているわけです。
これを、「行動の肯定的意図」と言いますが、これについては、前回の記事が参考になるかもしれません。
つまり、癖を行うことで、受けている恩恵、メリットを突き止めることが重要です。
例えば、アルコール依存症など、ついついお酒に手が出てしまうというのも、広い意味では“癖”になります。
では、なぜ彼ら、彼女らは、お酒を飲むのでしょうか。
その背景には、不安感を軽減したり、お酒を飲むことで、人と楽しくお話をすることが出来るなど、様々な恩恵を受けられるからということが挙げられるのです。
ですから、アルコールを飲まない様に改善したい場合には、お酒以外の方法でこれらのメリットを得られる行動を探さねばなりません。
つまり、別の行動で代替えするということです。
私が担当したアルコール依存症の方は、アルコールを飲みたくなったら、親しい誰かに電話をするという代替え手段をとりました。
その結果、約2年間断酒を継続できています。
アルコールを飲まなくても、アルコールを飲んでいた目的が果たせるのであれば、もはや飲酒をする必要はなくなるのです。
ですから、改善したい癖がある場合、まずは、その癖を行うメリットを考えるのです。
メリットが見つかったら、そのメリットが得られる他の行動はないか考えてみましょう。
あとは、その行動に移行出来る様に、少しの努力を行うだけです。
パターンを崩す
最期に紹介するのは、行動のパターンを変えるというものです。
これは、癖を行う時の行動パターンを把握し、そのパターンに変化を加えるやり方です。
前述した通り、癖とは、無意識的な行動です。
ですが、行動を思い返してみると、ある特定のパターンが見えてくることが多いです。
しかし、そのパターンにはまるきっかけなどが把握出来ていない為に、無意識的な行動に見えてしまうのです。
例えば、私が担当していた患者さんに、非常に子供想いのシングルマザーがいました。
彼女は、アルコール依存症の治療を受けていましたが、なかなか断酒が上手くいかず、私の下へ相談にきたのです。
彼女の話を聴いていくと、飲酒をしてしまう時のパターンが分かってきました。
彼女は、子育ての不安から、夜になると急に寂しい気持ちになり、お酒に手を出してしまうというパターンが構築されていました。
この一連の流れが、無意識的で衝動的であった為、彼女は行動を改善できなかったのです。
しかし、彼女は子供のために断酒をしなければならないと考えていました。
それにも関わらず、自分の行動がコントロールできない無力感から、さらにお酒に頼るという悪循環が起こっているのです。
そこで、私は彼女の「子供想い」という特徴を利用しました。
お酒を飲みたいと感じたら、子供の写真を眺めるという方法を提案したのです。
この提案により、行動のパターンが変わりました。
つまり、以前は、不安になる→お酒を飲みたいと思う→冷蔵庫に向かう→お酒を取り出す
→お酒を飲むというパターンから、不安になる→お酒を飲みたいと思う→子供の写真を見る、というパターンに変わったのです。
これにより、行動は意識的な物となり、コントロール可能な物になりました。
一つの手間を加えることで、衝動的な行動でもなくなり、一旦冷静になれる瞬間を作る事も出来ました。
この、パターンを崩すという方法は、とても手軽に出来る方法です。
例えば、禁煙したい場合、今までは右手で吸っていたタバコを、左手に持ち替えてみる方法があるでしょう。
なぜか左右に手が震えてしまう場合、上下の震えに変えてみる事も出来るでしょう。
アイデア次第で、無限大の方法があります。
パターンを変えること自体が、意識的な行動ですので、“癖”の改善に有効だと言えるでしょう。
癖を改善したい場合、まずは、そのパターンを把握するところから始めてみましょう。
まとめ
今回は、癖を改善する方法について解説しました。
癖の中には望ましい行動もたくさんありますが、中には、癖が影響して生活に苦悩を抱えているケースもあります。
そのような時には、今回紹介した方法を試して頂けたらと思います。
どうしても治らない場合は、私にご相談ください!
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