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我が読書迷走微録

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迷走ばかりの我が読書遍歴を微文で紹介する記録。
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#ドイツ文学

「トニオ・クレーゲル」トーマス・マン

20世紀のゲーテとも評されたドイツの大文豪の若き日の傑作。芸術家とは何か?市民とは何か?
芸術という結論なき理想と現実に揺れる主人公に、幾度自らを重ね合わせたことであろう。

「変身」フランツ・カフカ

不条理の究極を描いたドイツ文学の金字塔。
ユダヤ人という出自ゆえに予言的とも言われる逸話もあるが、その影響力は現代においても変わりない。

「ファウスト」ゲーテ

ドイツが誇る大文豪による壮大な長編戯曲。
悪魔との契約によって主人公の享楽と悲劇の結末。そんな戯曲を24歳から書き始め82歳で書き終えたということ自体も、魂との契約をしなければ不可能であろう。

「車輪の下」ヘルマン・ヘッセ

トーマス・マンと並ぶ近代ドイツ文学の双璧。
青春時代に読み耽った繊細な心模様、波紋のようなセンチメンタリズムは、現代の若者が読んだらどう感じるのだろう?

「ベニスに死す」トーマス・マン

最も敬愛するドイツ文学の巨人が、1912年に発表した中編小説の傑作。
その後ルキノ・ヴィスコンティによって映画化。
死の接近を凌駕する美への陶酔。
コロナ禍における現代において、この傑作の存在は映画版同様に計り知れない。