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春にぴったりの本🌸『サクラ咲く』及び『春、戻る』
新年度を迎えた。社会人になってからは、学生の頃ほど何かが変わるというわけでもないが、やはり人事異動やら何やら、そわそわした落ち着かない気持ちになってしまう。
今回は、春にぴったりの本として2冊を紹介したい。
①比較的短く、慌ただしい年度始めでもさくっと読める
②春や桜に関連している
③新しいことを始める人、変化が不安な人の背中を押してくれる
という作品、『サクラ咲く』と『春、戻る』だ。
『サクラ咲く』辻村深月
『サクラ咲く』辻村深月#読了
— 花車📚 (@gerbera_reading) April 2, 2021
図書室での文通を中心に中学生の青春を描く表題作をはじめ、中高生の感情を読みやすい言葉でまっすぐ描く短編集。
自分を変えたいともがく。他の人の悩みに気付く。仲間とかけがえのない時間を過ごす。多くのことを考えて世界を広げていく学生時代の貴重さを実感した。
登場人物と同世代の中高生が読むことが想定されているのだろう。とても読みやすく、短編集ということもあって、忙しいときでも、あまり普段読書をしない方でも、すっと読めるのではないだろうか。
なんだか少し恥ずかしくなってしまうくらい、中高生のみずみずしい感情がそのまま描かれている。
自身が中高生だったときのことを思い出しながら、夢中で読み進めた。学生時代というのは、当事者だったときは辛いことも多かったはずなのに、後から思うと輝いて見えるから不思議だ。
大人になって、色々なことと折り合いをつけたり、自分を納得させたりするのが上手くなること-これが悪いことだとは思わないけれど、努力すればそれだけ成果が出せるとまっすぐに進んでいた中高生の頃を思い出すと、温かい気持ちになる。
また、本書は本好きの人にもおすすめだ。私も児童書を読み返したくなった。
『春、戻る』瀬尾まいこ
『春、戻る』瀬尾まいこ#読了
— 花車📚 (@gerbera_reading) April 3, 2021
結婚を控えたさくらの前に、兄だと名乗る年下の男性が突如現れる。彼の正体は誰だろう。さくらには、蓋をしている苦しい過去があった。
全体的にふわっとした雰囲気だが、変化を不安に思う人を応援する言葉が直球で心に届く。新しいことが始まる春にぴったりの一冊だ。
春に限らないが、結婚や就職、転職など変化を迎える人、想定していたのと異なる道に進むことをなかなか受け入れられないでいる人、思い出したくない過去がある人に寄り添ってくれるような一冊。
こちらは長編だが、比較的短く、とても読みやすい。
『サクラ咲く』はまっすぐな中高生に勇気をもらえるお話だが、こちらの『春、戻る』は、まっすぐも良いけれど、柔らかく、しなやかになることで新たに見えてくることもあると改めて教えてくれる。
「こうしなくちゃ」「こうあるべき」と自分を縛ってしまいがちだけれど、色々なことを受け入れられる広い視野を持つこと、余裕を持つことを忘れずにいたいと思う。
様々な変化がある春は、ざわざわと落ち着かない気持ちになることも多いけれど、おおらかさを持って変化を受け入れていきたい。