見出し画像

海の天辺

くらもちふさこさんの漫画、「海の天辺」を読みました。恋のなんたるかの片鱗を見ました。

私にとっては初めての、いわゆる”少女漫画”でした。乙女心が分かると言うので、単行本を買ってみたのです。

中学生の女の子が若い教師に恋をするという話。前途多難な道のりですが、恋に燃える心はあきらめることを知らないようで、彼女は繰り返し先生にアピールを続けます。

先生の方もまんざらでもないようで、本気か冗談か分からないトーンで思わせぶりな言葉を主人公に投げかけます。

読み進めていくと、女子中学生の心の力学を学んでいるような気持ちになりました。「こういうことが動機になるんだ。」とか、「こんなことで許しちゃうの?」と思う場面が多々あり、非常に興味深く読みました。

ただ一つ、納得できないことがありました。この教師の人間性です。

まず、彼は同じ学校に努める女教師二人に手を出しています。それも、大学を出てそのまま赴任した最初の高校で、2、3年も経たないうちに。

これだけでも相当”ヤバイやつ”ですが、上でも述べたように、彼は教え子の中学生までも本気で意識しているのです。そして、めちゃくちゃ意識しているにも関わらず、それを隠すように平気で嘘をつき、主人公の心を度々傷つけるのです。

若さだと言えばそれまでですが、若い人が全員こんな人ではありません。私は、なぜ主人公がこんなにもこの人を好きになるのか分かりませんでした。

この恋の始まりは一目惚れでした。確かに彼はイケメンで、高身長です。主人公も背が高いので、彼女よりも背の高いこの教師は魅力的だったのでしょう。実際、そのことが分かるセリフもあります。

つまり、彼女が惚れているのはあくまでも外見なのです。そして、その外見に圧倒的に惚れきっているおかげで、数々の悪行も目に入らず、常に良い思い出だけが心の中を駆け巡っているのです。

恋の力は強大だと思いました。是が非になり、非が是になる。そういった事態が起こることもいとわない。それが恋なのかと思いました。

そしてそれは、偶然の出会いによって起こる。そう考えると、恋心とは、とても尊いものだと感じました。

だからこそ、そんな恋に燃えることができた主人公は、最後に心のなかでこう思うのでしょう。

”15歳に 感謝します”


最後までお読みいただき、ありがとうございました!