すみれの恋 青ブラ文学部
何色が好きかと、彼女は聞かれた。
「んー今日の気分は#cca6bf/紅藤色かな」
彼は訳知り顔にうなずく。
「僕は毎日#7058a3だな」
彼女はなんでもないふうを装いつつ、自分のほおをそっと押さえる。
新入生歓迎飲み会の夜、すみれは帰り際に紙片を渡された。
几帳面な筆跡で、暗号めいたものが記されている。
№7058a3は、すみれ色の色番号。
小首をかしげていると、青のシャツをまとった彼がほほえむ。
青磁色は、たしか#7ebea5だったっけ。
「正解」
と、彼はすみれの心を読んだみたいな反応をする。
それから、なんとなく自然に恋人関係になった。
美大に入ってよかったな、とすみれは笑って手のひらの恋をにぎり返した。
(おわり)
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