京極夏彦『病葉草紙』
京極夏彦が描く、一風変わった長屋もの。
感じとしては、巷説百物語に近い。起きた事件を、存在しない「虫」のせいにして表向きは収めてしまう。ふと、百鬼夜行シリーズの途切れている続きが読みたくなった。
長屋の藤介さんと周囲の人々との軽妙な会話もくすりとくる。とくに藤介が生まれたときには隠居していたという父親の藤左衛門との遣り取りが気が抜けていて面白い。少し軽めなのは、長屋ものだからなのだろうか。
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