飯沢耕太郎編『泉鏡花きのこ文学集成』
潔癖症で有名な泉鏡花。けれど、不思議な生態を見せるきのこに対しては、少し違っていた様子。きのこが出てくる小説や随筆が集められています。
「きのこの舞姫」が特に好きです。幼い頃天狗に拐われて、戻ってきてからも時々天狗のお里に帰るようになった杢若。彼が作るのは、蜘蛛の糸で編んだ、茸のお姫様のドレス。それらはやがて、人を狂わせるようになる。幻想的で、茸への愛があって、うっとりするようなお話でした。
茸の不思議な生態と泉鏡花の不思議な世界観は、とても相性が良いです。きのこ好きの方