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腑に落ちる、それが私の原動力
静岡に戻り、Hさんのもとで働きながら過ごしていたころ、私自身で見つけて興味を持ったのが、マーケティング講座でした。もともと家業を手伝いたいという気持ちや、自分自身のスキルアップにもつながればと思い、父にも相談して受講を決めたんです。受講料は50万円。その費用を折半してくれた父の期待や、背中を押してくれる姿勢が本当にありがたかったのを覚えています。
講座では、ブランディングやコンセプト作りなど、初めて学ぶ内容が多く、座学の部分は非常に興味深く感じました。「こうやって戦略を立てていくんだ」という新しい視点を得られたことは、今でも役立つ場面があります。でも、後半に進むにつれて、どうしても「腑に落ちない」と感じる場面が増えてきたんです。
具体的には、SNSを活用して顧客リストを集め、安価な商品を通じてそこから高額商品を段階的に販売していくという手法だったと思います。その考え方自体は理解できたものの、「これが本当に正しいのか?」「人にとって必要なものなのか?」と自問してばかりで、どうしても実践しようという気にはなれませんでした。
そして最終日のリアル講座。結局、私は参加しないという選択をしました。父親も納得はしてくれていました。でも、この講座の経験はここで終わりませんでした(笑)リアル講座に参加していた方から突然電話がかかってきて、「グループ対抗で勝負をしているので、一番安価な商品を買ってもらえませんか?」とお願いされました。さらにその後、「特別に高額商品を割引価格で提供する」と追加の勧誘も…。そのやり方にどうしても納得できなかったのを、今でも鮮明に覚えています(笑)
私は、心から納得できるやり方でなければ動けない。
効率的で理にかなったビジネスモデルもあるでしょう。でも、どれが正しいか、間違っているかではなく、自分が「これなら人にも自分にも勧められる」と心から思えるもの・ことでなくては、私には無理だと思いました。それを大切にしたいんです。
今回の講座で学んだことも多かった反面、「これは私には合わない」とはっきりわかったのも収穫でした。そして、父も「いい経験になったね」と言ってくれた記憶がなんとなくだけどあります。w
世の中にはたくさんのビジネスモデルがあります。中には素晴らしいものもあれば、疑問を感じるものもある。でも、結局は自分自身が腑に落ちるかどうか。そして、それが人にとっても、自分にとっても意味のあるものかどうか。それが、私のこれからを選ぶ基準なのだと、この出来事でもあらためて気づかされた気がします。
続く…